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【イベントレポート】SDGs事業開発×最先端テクノロジー活用 ―アサヒのAI事業開発支援実績を誇るプロが語る、社会のニーズに応えるSDGs起点のビジネス開発とは?―

SDGs

17,000名のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月6~8回のウェビナーを開催しております。

2021年5月31日は、時代の変化や市場の動きを受け、SDGs起点の新規事業開発ミッションを抱えている新規事業責任者の皆様に向けて、「SDGs起点のAI新規事業開発」に着目し、SDGs×先端AIモデル開発企業のCOOを務める山田氏にSociety 5.0を実現するAI事業開発の裏側や成功の秘訣についてご紹介いただきました。
「SDGs起点の新規事業開発がミッションだがネタが思いつかない」
「SDGs起点の新規事業開発においてどのように収益性と社会性を両立させていくか知りたい」
こうしたお悩みを持つ方々は必見です。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

山田 勝俊氏

山田 勝俊氏

SDGsと紐付けたビジネスの現場におけるAI活用のプロ
ディーキン大学経営大学院卒業、IT業界、エシカルファッションの日本市場立ち上げ責任者を経て2社起業。2016年より多国籍AIスタートアップ「コージェントラボ」でセールスディレクターとして、AI-OCR「Tegaki」の立ち上げに関わる。その後も国内外で複数社を起業した後、SDGs×AIをコンセプトにした株式会社Recursiveを共同創業。大手から中小まで様々な企業にSDGs観点を取り入れた各種新規事業開発支援を行う。

信澤 みなみ氏

信澤 みなみ氏

株式会社サーキュレーション ソーシャルデベロップメント推進プロジェクト 代表
2014年サーキュレーションの創業に参画。成長ベンチャー企業に特化した経営基盤構築、採用人事・広報体制の構築、新規事業創出を担うコンサルタントとして活躍後、人事部の立ち上げ責任者、経済産業省委託事業の責任者として従事。「プロシェアリングで社会課題を解決する」ために、企業のサスティナビリティ推進支援・ NPO/公益法人との連携による社会課題解決事業を行うソーシャルデベロップメント推進室を設立。企業のSDGs推進支援、自治体・ソーシャルセクター とのコレクティブインパクトを目的としたプロジェクト企画〜運営の実績多数。

花園 絵理香

花園 絵理香

イベント企画・記事編集
新卒で入社した大手製造メーカーにて秘書業務に従事。その後、医療系人材会社にて両手型の営業を担当し全社MVPを獲得、人事部中途採用に抜擢され母集団形成からクロージング面談まで幅広く実務を経験。サーキュレーションでは、プロ人材の経験知見のアセスメント業務とビジュアルに強いコンテンツマーケターとしてオンラインイベントの企画〜運営を推進。

現在のSDGs起点のビジネス開発における市場動向・規模とは?

企業はサスティナビリティを意識した経営へと変革が求められている

SDGsの達成、すなわち持続可能な社会を目指すために経済活動は大きな変革を求められている。ニューノーマル時代とも言われるが、今後変革すべき内容を簡単に表現すると「脱炭素社会」「人権、社会的包摂」あるいは「循環型社会、経済」だ。これまではCO2が大量に排出され、貧困や差別、格差、そして大量生産・消費が発生していたが、これらを全てアップデートするのが「サスティナビリティを意識した経営」ということになる。

これはすでにESG投資の拡大などの形で世界の潮流として現れており、長期志向のサスティナビリティ経営に適応できない企業は、市場から取り残されてしまう恐れすらある。

SDGsビジネスがもたらす世界規模の市場可能性

いかに環境や人権が絡む世界的な課題であっても、企業である以上はビジネスとして成立させる必要がある。その点でSDGsの市場可能性を探ってみると、ここには大きなビジネス機会があると考えられる。
例えばSDGs達成による市場機会の価値は年間12兆ドルにのぼるとされ、2030年までに世界で創出される雇用の推測も約3億8000万人と膨大だ。
さらに国内に目も向けても、気候変動サミットでは2030年に向けた温暖化ガス排出削減目標が46%減と発表され、CGC(コーポレートガバナンス・コード)改定案には気候変動の関連情報に対する開示を求める内容が含まれた。
こうした動きと同時に、ESG投資やサスティナブルファイナンスは拡大の一途をたどっている。

資金の流れそのものがSDGsビジネスの追い風となっている中で、どのように自社ビジネスにサスティナビリティの文脈を取り入れていくべきなのか。
今回は多くの企業が直面する課題について紐解いていく。

SDGsの目標達成にインパクトを与えるAI×SDGsの組み合わせ

なぜAIがサスティナビリティのキードライバーとなるのか?

ウェビナーの講師として登壇いただいた山田氏は、現在SDGs文脈の新規事業開発支援を数多く行っている人物だ。経歴をたどるとそもそもSDGsという言葉が登場する以前から、エシカルファッションの日本市場立ち上げを経験しており、さらに2016年からはいち早くAI業界に参入するなど、時代の先端をひた走っている。

信澤:山田さんが創業した株式会社Recursiveでは「SDGs×AI」をテーマに挙げています。SDGsの課題解決には大きなイノベーションが求められるとよく言われますが、AIがその課題解決のポイントになるのでしょうか?

山田:数年前までAIとSDGsを掛け合わせる考え方はあまり無かったと思いますが、潜在的な可能性は非常に感じていました。その裏付けとして、『Nature Communications』においては17の持続可能目標のうち、8割に対してポジティブインパクトをもたらすといった結果もあります。
こういった観点も含め、AIが世の中にプラスをもたらすと確信しています。

SDGs起点のAI活用による新規事業開発事例

AIの可能性は誰しもが漠然と感じるところだが、実際的にもSDGs領域におけるAI活用が効果的に働くことはまず間違い無いと見てよい。では具体的にどのような業界において活用可能性があるのか、3つ紹介していただいた。

山田:エネルギー、食品、素材領域は非常にわかりやすい例だと思います。エネルギーで言えばまず挙げられるのがデータセンターの消費電力削減です。40%と削減という数字も、AIを活用すれば比較的重すぎないプロジェクトとして推進可能です。
食品業界は温暖化に対する影響度が高いところですから、逆に言えば改善点が多く、そのままビジネスチャンスになります。

実際に山田氏のもとには、どの業界からも偏りなく支援の相談が届くという。「投資家の78%がESGを考慮して投資先を決めるというデータもあるため、特に大企業は自分たちの活動をいかに外に出すのかを必死考えている印象です」と山田氏は語る。

SDGs起点のAI新規事業開発“30”のアイディア集

今回、山田氏にはSDGs起点の新規事業開発アイディアを30ご用意いただいた。本記事では前述でも触れた食品業界とエネルギー業界、さらにセルフケア業界で使えるアイディアを抜粋してご紹介する。

※未公開部分の資料はこちらからDL可能です

【食品業界】24時間365日稼働できるAIの強みが活かされる

山田:少しぼんやりとした書き方をしていますが、例えば一番上の代替肉でいうと、皆さんも生活の中で大豆ミートなどを目にする機会が増えてきたかと思います。ここには当然SDGsの背景がありますし、世界的に市場の取り合いが起きていて、開発が進んでいます。
ここに対してAIは24時間365日働けますから、シミュレーションを通じて新規成分発見を加速できる可能性があります。すると競合優位性を持てるのと同時に、最終的に良い商品となれば世の中にも貢献できる点が多々あるでしょう。
農業についても同様です。日本の場合は少子高齢化で農家を受け継ぐ方がいないケースがありますが、AIや最先端テクノロジーで農業の一部でも自動化を進めていくのが大事です。農薬に対しても当然一部の作業を減らして野菜が育てばそれでいいわけですから、経験や勘だけではなく、プラスアルファのテクノロジーを加えることで貢献できる部分はあるはずです。

信澤:これは実際に社内だけで開発するパターンと、どこかの企業と組んで開発するパターンがあると思いますが、主流になっているのはどのようなやり方なのでしょうか。

山田:食品業界にテクノロジー主流の会社は少ないですから、パートナーシップを結ぶのが一番現実的です。食品業界の企業はかなりデータや知見、経験を持っているので、それらをパートナーシップによっていかに上手くテクノロジーと組み合わせるのかが大事だと思います。

【エネルギー業界】電力の最適化が最も取り組みやすい領域

信澤:エネルギー業界は、まさに大きな市場になっていくと全ての人が感じているのではないかと思います。

山田:一番上に書かせていただいた自社の電力最適化の取り組みは、正直一番やりやすいと思います。データセンターを持っているような企業であればなおさらです。もし巨大なデータセンターであれば、1、2%削減しただけでも莫大な金額になります。CO2削減にも貢献できますから、まずはここから始めるのはアリですね。
また、再生可能エネルギーは太陽光を中心にどんどん市場に広まっていて、スタートアップ企業が車会社と提携して莫大な投資を受け、ユニコーンにまで成長していたりします。ただ、再生可能エネルギー自体も最適化して効率的に分配しなければ無駄になってしまいますから、先端テクノロジーを使って運用していくのも一つの方法であり、ビジネスチャンスです。

【ヘルスケア業界】パーソナライズ化の発展がポイント

山田:ヘルスケア業界に関しては、SDGsが主流になる前からAIの親和性が高いのではということで、さまざまな企業で取り組みが行われています。「AI創薬」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますし、当然パーソナライズ化もどんどん発展していくはずです。

山田:パーソナライズというのは、例えば病院に薬を取りに行くのが大変な高齢者に向けて、薬がなくなるタイミングで自動的に送付するといったことなどです。いろいろな方の都合があるので、そこをできる限りパーソナライズさせて健康を保つ形ですね。

信澤:ヘルスケア業界というくくりでまとめられていますが、これはHR Techの新しい領域にもなり得ると感じます。

山田:なんだかんだとつながっていると思いますよ。ヘルスケア自体はフードテックともつながっていますしね。

Society 5.0を実現するAI事業開発ステップの全体像とポイント

SDGsとAIを取り扱うプロセスにおける2つの重要ステップ

では実際にAI事業開発をスタートした際は、どのようなプロセスを踏めば成長できるのだろうか。まず、SDGs×AI事業開発のストーリーの全体像は以下のような形となる。

山田:ここで絶対に欠かせないのが、主要分野調査、いわゆる市場調査ですね。それからAIを使ったときにどういうキーメトリクスを定義するのかということです。
ほかの部分については、純粋なAIプロジェクトや新規事業立ち上げと被る部分が多いと思っています。

主要分野の調査にあたっては、「SDGsの含まれる169の項目を理解するやり方もありますが、自分たちがいる業界に適している指標・分野を見定めるのが大事」と山田氏。SDGsに関わってはいても自社の既存事業に照らして考えると効率よく進められない部分もあるため、SDGsを細分化し、自社にカスタマイズされた指標を作ることが重要だという。

では、山田氏が語るもう一つの重要なポイントである「キーメトリクスの定義」とはどのようなものなのか。次項で詳しく解説する。

大きなカテゴリの中から自社のキーメトリクスを定義する

信澤:SDGsの中から領域を絞った上で、さらに重要な指標を定義していく。これは、ビジネスチャンスの中で何かポイントになるのか、KGIを定めるということでしょうか。

山田:重要な指標は企業そのものやカルチャー、評価システム、さらには短期・長期によってかなり変わりますが、我々としてはキーメトリクスの定義を大きく上記の4つに分類しています。
左上の「イノベーションの加速」は、短期的に簡単にできるものではありませんから、R&Dが中心になります。最近だと人工知能企業のDeepMindがタンパク質フォールディングの問題を解決したというニュースがありましたが、これは50年近く科学者が追い求めてきた回答を、AIが2年間で発見したものなんです。とてつもない開発で、認知症の原因を解明できる可能性すらあります。
今回はたまたまDeepMindが2年でやりましたが、本当はもっと長期的に考えるべきで、長期で解決できた際にどれだけ世の中や企業に対してインパクトを起こせるのかが指標になります。
ほかにも「高い生産性」は数字として出てくるので、どれだけコストパフォーマンスが良くなったかはわかりやすくなります。「より良い教育と仕事」は長期的なものですね。
上記のような大カテゴリの中で、長期・中期・短期的なのかを自分たちがやる内容に応じて定めていく必要があります。

AI×SDGsビジネス開発を成功させる3つのポイント

最後に、SDGs事業開発×最先端テクノロジー活用を成功させる上で欠かせないポイントについても伺った。ここで見えてくるのは、ただ単に「市場の潮流がSDGsや先端テクノロジーに傾いているからやる」のではなく、双方の本質を見抜いた上で、自社の事業で解決したい課題を定義すべきだという点だ。

山田:言葉は悪いかもしれませんが、SDGsに当てはめるだけなら誰でもできます。しかし本当はSDGsが何のために作られたのか、つまり「このままだと地球に住めなくなる」という話のインパクトをきちんと理解した上で、自分たちの事業がどれだけ地球や次世代、そして企業にとって良いことになるのかを見定めるのが大事です。
また、今回私は先端テクノロジーの話をしましたが、ノンテクノロジー企業であっても、柔軟に先端テクノロジーをいかに取り入れるのかを考えるのが大切です。一度やってみると「こんなに楽になるのか」と思えることがあるはずです。
現在AIはガートナー的に言えば幻滅期にあり私もその通りだと思いますが、ある程度見定めがついていった結果、今後は本当に役に立つAIが登場しますから、終わりでは全くありません。今後さらに良い時期が始まっていくと思うので、そういう意味でも柔軟な思考を持つべきだと思います。

信澤:SDGs×最先端テクノロジー活用という領域においてどのような可能性があるのかを会話して教えてもらいながら、自分たちのビジネスチャンスを探り、そこからパートナーシップを考えていく。これによって、より大きなイノベーションを起こす領域の発見につながるのではと思いました。

SDGs事業開発×最先端テクノロジー活用まとめ

今回のウェビナーのポイントを、「すぐに取り組んでいただきたいこと」として以下の3点にまとめた。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。SDGs事業開発×最先端テクノロジー活用にご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
SDGs事業開発×最先端テクノロジー活用 ―社会のニーズに応えるSDGs起点のビジネス開発とは?―
本ホワイトペーパーは、2021年5月31日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。アサヒHDのAI事業開発支援実績を持ち、SDGs×先端AIモデル開発企業のCOOを務める山田氏のご経験を元に、Society5.0を実現するSDGs起点のAI事業開発の裏側と成功のポイントについてご紹介しております。