プロシェアリングコンサルティング > マガジン > 働き方改革・テレワーク > 【イベントレポート】経営者のための1on1 ―元ソフトバンク人事担当が語る、メンバー能力を最大化させるための4ステップ―

【イベントレポート】経営者のための1on1 ―元ソフトバンク人事担当が語る、メンバー能力を最大化させるための4ステップ―

人材開発・人材育成

23,000名(※2023年10月末時点)のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月10回程度のウェビナーを開催しております。

2022/04/26回では、経営層としてミドルマネジメントに高い視座を与えたいがどうコミュニケーションとっていいのかわからないとお悩みの経営者、部門責任者、事業責任者の皆様に向けて、元ソフトバンク株式会社で「汐留の母」と呼ばれた人事のプロ 澤田氏に、経営者に必要な部下の能力を最大化させる4ステップをご紹介いただきました。
「チームビルディングをしていきたいが個別コミュニケーションの方法がわからない」
「会社として、1on1やコーチングを取り入れたいが、そもそも自分が正しく理解していないのでしっかり理解したい」
こうしたお悩みを持つご担当者様はぜひご覧ください。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

澤田 清恵氏

澤田 清恵氏

カドル株式会社 代表取締役 国家資格キャリアコンサルタントetc.
ソフトバンク株式会社に入社し、人材開発部マネージャーとして活躍。出産・育児復帰後は多数の社内企画立ち上げ、グローバル採用を担当。採用面接・社員面談・研修の延べ人数は4万人を越える。2016年カドル株式会社を設立し、採用〜人事制度構築〜育成〜リストラクチャリングまでの人事コンサルティングを推進。2020年からはビジネスパーソンがパフォーマンスを最大化するための「ココロとカラダの状態をととのえる」リナーシェ、経営者・ビジネスパーソンのメンタルコンディショニングのコンサルティングセッション、サ活コーチング(商標登録申請中)を推進。

鈴木 亮裕氏

鈴木 亮裕氏

株式会社サーキュレーション パートナー
NTT東日本、中国での起業、組織人事コンサルティングファームを経て2015年創業期のサーキュレーションに参画。トップコンサルタントとしてIT領域を開拓後に執行役員に就任。その後、組織急拡大期に人事部長として人事制度設計の再構築を主導、インサイドセールスと大企業のオープンイノベーションを推進する機能を持つビジネスデベロップメント部を管掌した後、2022年8月よりエキスパート職として、エンタープライズ企業向けコンサルティングのパートナー職を担う。

酒井 あすか

酒井 あすか

イベント企画・記事編集
新卒で大手人材紹介会社に入社し、中途採用における両面マッチング型の法人・個人営業、グループ会社・地銀とのアライアンス連携業務に従事。丸の内エリアに本社を構える企業への採用支援、100名単位のグループ会社社員に対して営業企画、地銀への人材紹介事業レクチャーに携わる。サーキュレーションではプロ人材の経験知見のアセスメント業務とオンラインイベントの企画〜運営を推進。

※プロフィール情報は2022/04/26時点のものになります。

事例で学ぶ、1on1導入による成果とは?

VUCAと呼ばれる正解のない現代においては、社内コミュニケーションのあるべき姿も変容している。トップダウンではなく多角的で率直な対話が求められ、その上で従業員は「上司に言われたことをこなす」というよりは、挑戦や工夫を自ら行い、実践から学べるのが理想だ。

そんな時代の中で、1on1は部下の成長を促す効果的な手法とされている。しかし実際には、1on1をしても何を話したらいいのかわからない、効果がないのではないかと感じる方も多いはずだ。
こうした点も踏まえ、ウェビナーでは1on1を有効活用するためのポイントを澤田氏に教えていただいた。

部下の状態によって変えるべき1on1のやり方

大前提として、「1on1は上司ではなく部下のための時間」であると澤田氏。部下がなんらかのアクションプランを持って1on1を終えられるようにするためには、最初に部下の状態について把握すべきだという。

澤田:万人に対して1on1、つまりコーチングスタイルでコミュニケーションを取るのが正解ではありません。部下一人ひとりの個性やスキル習熟度に合わせる必要があります。やる気に満ちあふれていてスキルの高い方なら、コーチングは大きくワークするでしょう。まだ業務をキャッチアップできていない方なら、ティーチングのほうが必要です。あるいはコロナ禍などでストレスフルになっているのなら、カウンセリング的な対話が適切だと考えています。

[成功事例.1:大手の部署導入事例]1年で会社全体の意識改革を実現

ここからは実際に澤田氏が手掛けた事例を2つご紹介いただいた。最初の事例は売上規模5000億円以上の大手企業で、営業組織の受け身体質が課題となっていた。澤田氏は1on1の文化浸透とフォローアップも含め、1年かけて支援したという。

澤田:最初は現状分析のために定量・定性アンケートや現場インタビューを行い、教育方針の詳細を決定しました。その後、方針に基づいて各種トレーニングやフォローアップを実施。どれも売上や提案件数の増加などの大目標に向けて、KPI、KGIを設定した効果測定がポイントです。マイルストーンごとに有効なフォローアップをリバイズしながら走ったプロジェクトでした。

取り組みによって、上司と部下の乖離や業務効率が改善。部下の意識改革に貢献した。

[成功事例.2:経営者本人への導入事例]ボトムアップで業務が推進できるように

続いての事例は、役員が部下との関係性に悩んでいた案件だ。同社はコミュニケーションスキルを強化するために、1on1の導入を図った。

澤田:役員の方は優秀で、部下をぐいぐい引っ張っていく牽引型のリーダーシップを持つ方でした。ただ、影響力の強い上司であるがゆえに、部下はなかなか本音が言えないような状況があったんです。そこで相手のタイプに合わせた適切なコミュニケーションができるように、コーチングスキルを習得していただきました。それを1on1で体現し、内省、共感、傾聴といった文化を社内に醸成されています。

リーダーシップがあるがゆえにトップダウン的になっていた社内文化はボトムアップ型へと転じ、業務推進に好影響と与えたという。

経営者のための部下の能力を最大化する1on1実践の4ステップ

ここからは、1on1を通して自律型の部下をボトムアップで作る際に澤田氏が実践する、4ステップについて詳しく伺った。

[step.1]経営者自身の自己理解を深める

最初のステップでは、ストレングスファインダーなどを活用して自身にどんな特性があるのか、自己理解を深めるという。

澤田:私たちの日常生活において、無意識に行動をして意思決定をしている回数は1日に2万回と言われます。他者を理解しようとする前に、まずは無意識を含めた自分の思考、行動、感情パターンに気付き、その上で部下との違いを探るのがポイントです。

鈴木:その一つの方法として、今回はストレングスファインダーというツールを取り上げていただいていますね。

澤田:ストレングスファインダーの結果から改めて自分の強みを認識し、使えていない強みがあるなら開発する。これによって、無意識に対して自分が意識できる領域を広げられると考えています。

[step.2]強みの自分トリセツを作る

鈴木:自分自身を理解した上で、「強みの自分トリセツを作る」というのが次のステップですね。

澤田:理解していることと言語化できることはイコールとは限りませんから、言語化して整理するのが大切です。また強みというのは、上手く扱えば武器となりますが、ややもとすると人を傷付けてしまう諸刃の剣です。強みが弱みとなってしまうようなトリガーポイントを、具体的なシチュエーションで洗い出しましょう。
私はアンガーマネジメントのファシリテーターもできますので、感情を意識的にコントロールするテクニックについてもお教えしています。

[step.3]自己理解~自分トリセツを部下に応用

トリセツを作成したら、今度はその内容を実際に部下とのコミュニケーションに応用し、1on1の体系化を行う。

澤田:部下の方にもストレングスファインダーを受けていただき、その内容を1on1でブラッシュアップします。内省を促す問いを投げたり、部下が気付いていないトリガーを具体的なシチュエーションからフィードバックしたりするといった形で、一緒に部下のトリセツを作っていきます。

[step.4]コーチングスキルを学ぶ

鈴木:最後に、コーチングスキルを学ぶのが非常に重要だと伺っています。

澤田:自己理解が進んだことでいわゆる心技体の「体」にあたる部分が構築できていますから、ここにコーチングスキルというアプリケーションをインストールするイメージですね。自分や相手の強みを活かすために、上位の資質を引き出すような問いかけやアサインをするのがポイントになります。

鈴木:スライドにあるのが、実際に自分と相手を理解してどんな行動を取っていくべきかを体系的にまとめたものですね。

澤田:例えば「影響力の上司」というのは経営者に多いのですが、このタイプは部下の方にあれこれ言ってしまうんですよね。マイクロマネジメントになってしまうので、そこは見守ることにする。「影響力の上司」に「影響力の部下」がぶつかってしまうとマウントを取りがちですから、フォロワーシップを発揮してサポートする。こういったことが大切ですね。

経営者のための1on1まとめ

今回のウェビナーのポイントをまとめると以下のようになる。

最後に澤田氏から1on1のポイントついてコメントをいただいた。

澤田:1on1の一番のポイントは、内省と共感です。私たちはつい緊急で重要な業務に追われがちなので、日々立ち止まって今週、今月はどうだったのかを定期的に振り返りましょう。そして即座に解決策を提案するのではなく、まずは気持ちに寄り添う。そんなところからスタートするといいのではないでしょうか。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。経営者のための1on1にご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
経営者のための1on1 ―元ソフトバンク人事担当が語る、メンバー能力を最大化させるための4ステップ―
本ホワイトペーパーは、2022年4月26日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。経営層としてミドルマネジメントに高い視座を与えたいがどうコミュニケーションとっていいのかわからないとお悩みの皆様に向けて、経営者に必要な部下の能力を最大化させる4ステップをご紹介しています。