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【イベントレポート】商品コンセプトの創り方 ―資生堂の人気商品を多数生み出したプロに学ぶ、ヒット商品の要となるコンセプト創りの3つのポイント―

ブランディング

18,000名のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月6~8回のウェビナーを開催しております。

2021/09/22回では、DX推進が急務となり、日々挑戦を続けるDX推進室・経営企画室の皆様に向けて
中外製薬で現役のDX責任者として推進体制を再構築し、2年で同社のDXを大きく前進させた志済氏に、自身の過去の経験も活かしながら非IT企業のDX推進を進める上で大切にしているポイントをご紹介いただきました。
「DX推進責任者に任命され戦略はつくったが、実行フェーズで立ち往生している」
「デジタル人材を採用したいが全くうまくいかず、描いた社内体制を構築できず悩んでいる」
こうしたお悩みを持つご担当者様はぜひご覧ください。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

冠 典子氏

冠 典子氏

資生堂のヒット商品の生みの親、EC市場でも活躍する商品企画開発のプロ
資生堂にビューティーコンサルタントとして入社し、その後、商品開発・マーケティング企画、販売に携わり、ブランドマネージャーとして長期に渡り活動を続ける。その間に「肌水」「ウォーターinリップ」「シーズ泡立つメーク落とし」「ナチュルゴ」などのヒット商品を開発・育成し、数々の記録を達成。独立し、商品づくりの要となるコンセプト設計力を強みに大手メーカーや通販メーカー、異業種からの新規参入メーカー等、コンサルティング実績多数。現在は、大手メーカーやEC市場で活躍するブランド、異業種からの新規参入などのディレクションを行っている。

樋口 達也氏

樋口 達也

株式会社サーキュレーション プロシェアリング本部マネジャー
金融コンサルティング企業を経て、サーキュレーションへ入社。製造業界を担当するセクションの責任者を務め、自らもB2Cのコマース領域を中心にプロシェアリングコンサルタントとして、100件以上のプロジェクトを担当。特に、(株)ユーグレナグループのD2C企業への支援では、経営者の戦略パートナーとして、社員ゼロ30名全員が業務委託のプロ人材という革新的な経営スタイルの実現に貢献。

板垣 和水

板垣 和水

イベント企画・記事編集
慶應義塾大学在籍中にITベンチャーでのインターンに2年間従事。オウンドメディアのSEOやチームマネジメント、100本以上の記事ディレクション/ライティングに携わる。卒業後サーキュレーションに入社し、プロ人材の経験知見のアセスメント業務とコンテンツマーケターとしてオンラインイベントの企画〜運営を推進。

※プロフィール情報は2021/9/22時点のものになります。

商品飽和時代、差別化には技術力強化しか道はないのか?

消費者は毎日、高品質/低価格のたくさんの商品に出会う

現代が商品飽和の時代というのは感覚的に理解できるが、実際に世の中で販売されている商品を数字として認識してみると、現実の厳しさがより窺える。
例えばセブンイレブンでは店頭に常に2500品が並び、週間では100品もの新しい商品が登場。年間で言えば、5000品もの商品が展開されている。UNIQLOの場合も店頭商品数は2000品に及び、新商品は毎週リリースされている状況だ。
毎日のようにあらゆる商品が提供される中では、品質やコスト面で差別化を図ることは非常に困難だと言えるだろう。

商品企画開発において大切な「コンセプト創り」の考え方

どんなに良い商品を低価格で提供しようとしても、他社も同じ面で勝負をする以上は限界が出てくる。このとき重要なテーマとなるのが、「コンセプト創り」だ。ヒット商品の多くは優れたコンセプトを持ち、価格帯を問わず消費者の心を捉える。
逆に、強いコンセプトがあって初めて強い商品が生み出せるのだとも言える。これを踏まえて、「コンセプトを創る3つのメリット」をまとめた。

以上のように、ビジネスのスタート時点からコンセプトは重要な要素となる。今回のウェビナーでは、実際にどのような過程で強いコンセプトが創られていくのか、たっぷり冠氏に解説いただいた。

資生堂のヒット商品の生みの親、冠氏の商品開発事例

約20年にわたり資生堂でマーケティングを担当してきた冠氏は、現在は独立し数多くの商品創りを手掛けている。
今回はコンセプト創りのポイントを伺う前に、まず冠氏の経歴の中から2つの事例をご紹介いただき、コンセプトがどのように強い商品を生み出しているのかを探っていく。

商品開発の実践事例①:老舗化粧品メーカーの「国産オーガニックスキンケア」

最初に紹介するのが、老舗の化粧品メーカーにおけるオーガニックスキンケアブランドの立ち上げ事例だ。
冠氏はもともと低価格商品一辺倒だったマーケティング展開に危機感を覚えていたメーカーから、「第二の柱となるブランドを生み出したい」という相談を受けたという。

樋口:そこで注目したのがオーガニックなんですね。一体どういうところに着目したのでしょうか?

冠:当時はカテゴリとして「ナチュラルスキンケア」が注目されていました。その中にオーガニックというカテゴリがあったのですが、ほとんどが輸入品で構成されていたんです。私は日本の女性は世界中で最も厳しい選択眼を持っていると考えていたので、輸入品では彼女たちにとって物足りないだろうと思いました。そこに着目してたどり着いたのが、口うるさい日本女性を唸らせる「国産オーガニックスキンケア」です。

このコンセプトが刺さり、商品はオーガニックライフを楽しむという提案も含めて話題に。新たな市場の先駆者となった。

商品開発の実践事例②:OEMメーカーの「こだわり層=洗顔マニアに向けた洗顔料」

もう一つご紹介するのが、OEMメーカーがあえて自社のオリジナルブランドの新商品開発に挑んだ事例だ。クライアントによって売上を左右されてしまう領域だからこそ、安定した収入源となるビジネスを展開したかったケースだという。

冠:当時、別件でコンサルに入っていたOEMメーカーの社長から洗顔料の中身を渡され「これに何か使いみちはないか」と相談されて始まったプロジェクトの事例です。

商品のすでに出来上がっていた中身ありきで受けた相談に対し、冠氏が着目したのは洗顔料が持つ独特のテクスチャー、すなわち質感だった。

冠:印象的な「ねちっとした」独特の質感を武器にできるのではというところから、コンセプトを考えはじめました。ターゲットはいわゆる普通の洗顔ユーザーではなく、これまで洗顔にこだわっていろいろな製品を使い尽くしてきた洗顔マニアです。こだわり層に当てた「洗顔マニアのための洗顔料」ということで、価格もかなり高めに設定しています。

既存処方の中身から「泥独特のテクスチャー」という強みを見出した冠氏。ターゲットを思い切って絞った攻めのコンセプトが話題になり、大規模な宣伝なしで@コスメランキング1位を獲得。オンラインだけではなく店販へと販売チャネルも拡大した。

2つの支援に共通するのはコンセプト創りへのこだわり

上記2事例に共通するのは、言うまでもなく商品の根幹であるコンセプト創りに徹底的にこだわっていることだ。
まずはコンセプトをしっかり設計し商品のあり方を決め、中身機能やデザインについても一貫性のある商品に仕上げているという点が共通している。

冠:強いコンセプトができると、自ずと商品そのものの設計がコンセプトに寄り添うように決まっていきます。デザイナーもなんとかコンセプトを具現化しようとデザインしますから、非常に訴求力のあるデザインが生まれやすくなります。

消費者に選ばれる商品コンセプト創りの3つのポイント

コンセプトが商品創りの基盤となることが十分に理解できたところで、実際に消費者に選ばれる商品コンセプトを創るにはどうしたらいいのか、3点に絞って伺った。
一つには、「戦うため」のコンセプトを考えること。コンセプトは成分などの中身情報以外の要素にも着目すること、最後にコンセプトづくりのための「引き出し」を豊かにすることが求められるという。

Point.1:「戦うため」のコンセプトを考える

どの企業も強いコンセプトを作るための考案をする一方で、多くの企業が陥りがちなのが、成分や機能など「商品の特長」をコンセプトにしてしまい、市場で十分に「戦えない」というケースだという。これに対して冠氏が目指すコンセプトは、「他社にはない唯一無二の要素を作り出すこと」だ。

冠:コンセプトを検討する際、さまざまなコトが唯一無二の要素になり得ます。商品の成分や機能、技術だけではなく、商品をとりまいている要素を上から、下から、斜めから、というように様々な角度から見てアイディアを洗い出しさらに料理してみる。ここまでできれば、市場で戦える強いコンセプトに近づけることができると思います。

樋口:冠さんは、魅力に思う部分を普段どのように探っているのでしょうか?

冠:いろいろなことに自分が興味を持つことですね。商品の中身そのものだけではなく、商品を取り巻く環境にも目を向けると、ヒントがたくさんあります。

実際に冠氏が手掛けた商品の一つに「ウォーターinリップ」があるが、これはもともと資生堂の中では既存技術であった「リップクリームの乳化技術」と、「ツルツルのテクスチャー」という2つの要素をかけ合わせて生まれた商品だ。冠氏はこれらの要素を「ウォーターinリップ」という言葉に上手く転換できたことが成功要因の一つだったと語る。

技術や成分、ターゲット、使い方など商品の諸要素をかけ合わせ、消費者に「ありそうでなかった新しさ」を感じさせるコンセプト開発が必要なのだ。

Point.2:中身情報「以外」の要素にも着目する

コンセプトを創るための要素の洗い出しという意味では、商品以外の情報も加味する必要がある。実際のところ、商品情報だけを見てコンセプトを創ろうとした結果他社との差別化ができないというのも、よくある落とし穴だ。

冠:新しい技術や成分は頻繁に生まれてくるようなものではありませんし、だからと言って目の前に転がっているネタをそのまま使っても差別化はできません。
そういうときはまず、商品だけではなく周りの環境全てを棚卸ししてみて、マッチングできる要素を探ります。例えば、既存ブランドであればそのブランドの強みと弱み、顧客の特徴、自社が持っている技術、オリジナルの成分、こうした要素を市場のニーズとマッチングさせて、パズルのように組み立てていくのです。

Point.3:コンセプトの「引き出し」を豊かにする

最後のポイントは、コンセプト作りのために常日頃から発想のストックをしておくということだと冠氏。どんなに競合他社の商品をチェックしても、商品周辺の棚卸しをしてみても、それだけで戦えるコンセプトが生まれるとは限らないからだ。

冠:同じ業界にずっといると、万策尽きてありきたりなコンセプトしか発想できないという悩みが生まれます。ですから私はほとんど化粧品を参考にはしないです。代わりに異業種の商品や広告を見ています。ECサイトやWeb広告、TVCM、電車の中吊りなどをよくヒントにします。

ここで冠氏がストック例として挙げたのが、「ワンダ」のモーニングショットだ。

冠:私はこれを中吊り広告で初めて見たのですが、ただの缶コーヒーを「朝飲むもの」にしたんですよね。使用シーンの提案の仕方が素晴らしかったので、私のコンセプトの引き出しに収納されました。実際に、スキンケア商品で「本来は夜行うケアだが、日中に行うことこそ大事」という提案をして、非常に上手くいっている例もあります。

コンセプトワークはトレーニングによって成功する

ここまでご紹介した内容を総括すると、以下の通りだ。エッジの効いたコンセプトを創ることがヒットの可能性を高めるのだと頭に入れておくことで、ブレない商品企画開発が実現する。

また、冠氏いわく、コンセプトワークは「センスではなくトレーニング」だという。時にはプロの視点での助けを得ながら、自分たちが考えたアイデアを深堀りする作業を積み重ねることが、コンセプト創りを成功に導くのだろう。

商品コンセプトの創り方まとめ

今回のウェビナーのポイントを、「この後、すぐに取り組んでいただきたいこと」として以下の3点にまとめた。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。商品コンセプトの創り方にご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
商品コンセプトの創り方 ―資生堂の人気商品を多数生み出したプロに学ぶ、ヒット商品の要となるコンセプト創りの3つのポイント―
本ホワイトペーパーは、2021年9月22日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。資生堂にて数々のヒット商品を生み出し、独立後もEC市場で人気のブランドのディレクション実績を持つ冠氏のご経験をもとに、商品企画開発の肝となる商品コンセプト創りのポイントをご紹介しております。