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小売業界の課題から考える激動の時代を生き抜くための成長戦略

マーケティング戦略
小売業界の課題から考える激動の時代を生き抜くための成長戦略

デジタルツールの発展や顧客とのタッチポイントの多角化などにより、小売業界を取り巻く環境は大きく変化しています。認知・集客力に課題を抱えるなど、既存のビジネスモデルに限界を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

小売業界を取り巻く環境変化や課題を理解し、新たな発想でビジネスの可能性を広げる成長戦略を実行していく必要があります。

本記事ではサーキュレーションで行われた、小売流通業界で多数の実績を持つプロによるセミナーの内容をもとに、激動の時代を生き抜くための成長戦略を解説します。

山口貴光 氏

セミナー登壇者様:山口貴光 氏

ワールド、JUNをはじめとした大手アパレル企業4社でブランドの新規立ち上げ、百貨店のフロアプロデュース、リブランディングなど、主に変革型の事業を中心にプロジェクトの責任者を歴任。独立後、株式会社レバレッジラボ-研究所を設立。「戦略」×「クリエイティブ」×「デジタル」の視点から「成長の仕組み」を設計する事業推進プロデューサー・戦略プロセスデザイナーとして活躍。戦略立案から実働支援・事業プロデュースなど、小売流通業界で多数の支援実績を持つ。

小売業界を取り巻く環境変化と課題

激動のデジタル時代において小売業界を取り巻く環境変化は大きく、それに伴い経営者や事業責任者の方々も様々な課題を抱えているのではないでしょうか。

新たな発想でビジネスの可能性を広げていくために、まずは4つの視点から小売業界の課題と今後について考えていきましょう。

小売業界の環境変化と課題を捉えるための4つの視点

4つの視点とは

  1. 戦略軸
  2. 消費者心理
  3. 人・組織のあり方
  4. デジタルシフト

です。それぞれの視点について、見ていきましょう。

激動のデジタル時代「小売業界」を取り巻く環境

戦略軸

まずは戦略軸です。外部環境の変化に対して「選択と集中」と言う言葉をあたかも打開策のように主張する声をよく耳にします。しかしその答えは本当に正しいのでしょうか。

例えば、紳士服の市場規模は25年間で7割も減っていますが、その中で大手4社の業績は堅調です。その秘密は、「選択と集中」ではなく、非関連多角化戦略にあります。これらの企業はエンターテインメント事業など買収で得た事業を本業と並列で運営しています。市場規模の減少を予測して多角化させることで経営を安定路線に乗せています。成功企業の特徴を紐解くと、より踏み込んで顧客の心理、購買行動、ライフスタイルまで視野を広げている企業、ブランドは実際新たな顧客体験を創り出し支持されています。

25年間で「7割減!」紳士服業界の市場規模、しかし大手4社の業績が堅調である謎?

消費者心理

次は消費者心理です。モノが売れない時代とよく言われますが、なぜ売れないのかを考えたことはあるでしょうか。

現在の市場は、デジタル領域が重要な顧客接点になっています。SNSで話題の店へいく前にはスマホで下調べという人も多いでしょう。購入を決める前、店に行く前に消費者がネットで情報を収集することに加え、ネットで商品を購入する傾向が加速していることを考えると、ブランドの価値をあげる為の主戦場は実店舗、カタログ、パッケージなどのデザインといったアナログ領域だけではなく、ECサイトやコーポレートサイトなどのデジタル領域にまでシフトしてきています。消費者に選ばれるハードルが格段に高くなっている今、オンライン・オフライン関係なく、興味・関心のある表現で信頼を勝ち取ることが求められています。

売れる以前に、選ばれることのハードルが格段に高くなっている

人・組織のあり方

3点目は人・組織のあり方です。小売業界の構造不況には、求められる人材ニーズのギャップや不合理な商習慣などが根底にあります。

価値観が多様化する中、顧客はより「パーソナル化」を必要としています。それにも関わらず、小売業界においてはデジタルスキルを駆使してビジネスを推進し、価値を生み出す人材が圧倒的に不足しているのが現状です。

求められる人材ニーズに大きなギャップと動き

デジタルシフト

最後がデジタルシフトです。デジタルシフトは「最小の労力(資金)で最大の効果(売上)を実現させる武器です。しかし、多くの企業がデジタルシフトに課題を抱えているのはなぜでしょうか。

それは、デジタルシフトの前に考えるべき要素が抜け落ちているからなのです。デジタルシフトの前に、目的の明確化やリスクの見極めなど事前に「シナリオプランニング」を練る必要があります。

なぜデジタルシフトはうまくいかないのか?

激動の時代に小売業界がとるべき成長戦略とは

これまで述べてきた4つの視点が、小売業界を取り巻く環境と課題です。それでは、これら4つの視点を踏まえたうえで、激動の時代に小売業界がとるべき成長戦略は何でしょうか。

成長戦略は、下記の2つのSTEPを踏んで進めていくことがポイントです。

STEP1:土台構築フェーズ

まずは土台構築フェーズです。「マーケティング」と「ブランディング」双方の役割を最適化した打ち手を考えていきましょう。SNSや口コミなどで、どこにいても欲しい情報を簡単に手に入れられる時代。以前に比べて消費者の購買行動も劇的に変化しています。

そこで重要になるのが事業の価値や特徴、強みに一貫性を持たせる「統合プラニング」という考え方です。具体的な方法をご紹介します。

テクノロジーの進化によって、お客様の購買行動は劇的に変化

ペルソナ設計で顧客の「共感ポイント」を見極める

まずはペルソナを設計し、顧客の「共感ポイント」を見極めましょう。その際に、顧客をリアルにイメージして、ライフスタイルや性格などできるだけ具体化してくことが重要です。

そして、設計したペルソナから顧客がどんな感情を抱き、どんな行動をしているか、つまり顧客の「共感ポイント」を見極めていきます。共感ポイントが見極められたら、それを起点にして商品開発やプロモーション施策を連動させていきましょう。

ペルソナ設計で顧客の「共感ポイント」を見極める

タッチポイントごとに適切なコミュニケーション施策を実行する

また、顧客とのタッチポイントが多角化する現状では、タッチポイントに応じて適切なコミュニケーション施策を実行することも非常に重要になります。店舗、SNS、口コミなどのタッチポイントによって顧客の購買心理も異なります。顧客の状態に応じて、最適なコミュニケーション施策を見極めていきましょう。

その際、タッチポイントを洗い出し、施策を一覧化するとわかりやすいでしょう。

タッチポイント(お客様との接触)への適切なコミュニケーション施策

STEP2:差別化構築フェーズ

土台を構築したところで、差別化構築フェーズに入ります。STEP1の土台があるからこそ、多様で効果的なアプローチが可能になるのです。

顧客を動かし、行動させる仕掛けづくり

今は顧客に買わせるのではなく、選んでもらう時代です。そこで、小売業界側も「選ばれる理由・根拠」にフォーカスして戦略的に「仕掛ける」ことを意識しましょう。

例えば、ブランドの歴史やものづくりのストーリー、創業エピソードなどを見せることは非常に効果的です。具体的なストーリーが顧客の共感を呼び込み、ブランド価値の向上や選ばれる理由につながっていくのです。

「顧客の心を動かし、行動させる」仕掛けづくり

一貫したメッセージを適切な手段で発信

伝えるべきメッセージが決まれば、次は情報発信です。いくらここまでのSTEPで伝えるべきメッセージが固まっても、それが顧客に伝わらなければ意味がありません。「言語化」「ビジュアル化」していくことが重要です。

そこでお薦めなのが『企業のメディア化』=オウンドメディア・コンテンツマーケティングです。

これらは広告ではなく、顧客にとって本当に価値ある情報を伝えることで顧客との関係性を強化していく方法です。広告費をカットできるだけではなく、顧客のロイヤルティーを高められるなど大きなメリットがあります。コンテンツ制作などの労力は必要ですが、すべてが自社の資産として残ります。継続することでコンテンツSEOの効果が発揮され、サイトからの流入が爆発的に増えてきます。そうなると広告を使わずとも、その分野で専門的な企業、ブランドと認知される可能性も高まります。

情報発信を武器にする!広告費に頼らない認知・集客=プロセス

まとめ:激動の時代に生きる小売業界がとるべき成長戦略とは

ここまでで、小売業界を取り巻く環境変化や課題、その中で小売業界がとるべき成長戦略について解説してきました。しかし、自社内にデジタル人材がいないなどの理由で、実現が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。

自社単独で多様なニーズに対応することが困難な時代、ヒントになるのが外部のプロ人材の活用です。業界の枠を超えたシームレスな連携、背景の違うプロの登用など、過去に縛られない新たな経営指針こそ、デジタル時代を生き抜く上でシナジーを生み出す重要な成長戦略になりえます。デジタル時代には、小売業界においても意思決定のスピードや変化への対応力などが求められます。統合プラニングに強みを持った外部のプロ人材の知見を活用することも、選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

なお、本記事はセミナーでお話しいただいた内容から一部を抜粋したものです。セミナーでは、小売業界の成功事例なども多数ご紹介いただきました。もっと詳しく聞きたい方は、次回の開催をご期待ください。

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