業務を標準化して生産性アップを目指す!業務改革プロジェクトを推進 〜「コンサルティング」へのイメージがポジティブに変化、新たな変革に期待〜
旅行業界の変革者として急拡大を遂げてきた「株式会社エイチ・アイ・エス」。ホテルの販売プラットフォームを運営する部署においてOTA(オンライン・トラベル・エージェント)事業を開始するも、業務増加で人材が不足。まずは、現場業務の現状分析にあたるべく、コンサルティングファーム出身の業務改善のスペシャリストをプロ人材として活用することを決断。サービスの導入に至った背景やプロジェクトの現状について、VACATION事業グループ・グループリーダーの桜井亮太氏に伺った。
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採用からBPRへ方針を切り替えるも業務改善をリードできる人材が不在
VACATION事業グループは、世の中のオンライン化に適応できるように、ホテルと我々のシステムを連動させて、料金や空室状況をリアルタイムで見えるようにするOTA事業を担っています。当社の歴史に鑑みても新しい事業体です。年々増加する業務量にともない、人事にアルバイト人員採用の要望を出していたのですが、役員から人員を増やす前にこのタイミングで業務改善を検討しては?というアドバイスがあったんです。確かに、約50名いるメンバーのうち、OTA事業について仕入れから契約、販売するまでのプロセスを掌握しているメンバーは限られており、属人化の一途を辿っていました。そのため、事業の全体像を説明することが難しかったり、業務のナレッジ共有が乏しかったりと、「人は足りていないけど増えたとしても指示できる人も足りない」という状態だったので、役員が指摘するように業務整理は必要だろうと感じるところではありました。
「コンサルティング」へのイメージがポジティブに変化、新たな変革に期待
サーキュレーションのことは、別で会社同士のお付き合いがあって知っていたので、人事からコンサルタントの中村春香さんを紹介してもらいました。中村さんには、事業の内容やビジョン、現状の悩みや課題を丁寧にヒアリングしていただきました。まさに“お悩み相談”のような話をしっかりと整理しながら聞いて頂き助かりましたね。
そして中村さんから、旅行業界に詳しくなくても、運用スキームを可視化して、業務を整理し標準化できるプロ人材が最適であるとの提案を受けて、活用を検討することになりました。 方向性が明確になったところで紹介していただいたのが、Kさんです。Kさんはコンサルティング会社出身、経歴を拝見する限りとても優秀で経験も知識もある方だったので、正直、あまりにすごすぎて相性が合わないのでは……と思っていました。しかし、実際お目にかかると、とても腰が低く柔和な方でこの方とならうまく協業していけそうだと感じました。
当社はこれまで、積極的にコンサルティング会社は利用することなく、ここまで成長してきました。また、業界に関する知見については当社も自信を持っているので、外部のプロ人材をどこまでうまく活用できるかという点には不安がありました。とはいえ、最近はオンライン化による新興の競合が台頭してきたので、これまで通りのやり方ではいけないという意識も芽生えてきていたところでした。
そうした意味で、Kさんは業界についての知見はお持ちではありませんでしたが、面談でお話しをする中でいま抱えている課題を解決するために必要なのはKさんのコンサルティングだと確信が持てたので、導入を決断しました。
初打ち合わせから業務整理がスタート、プロ人材のスキルに驚く
最初に2時間ほどかけて、私からKさんに事業グループの役割や現状の課題についてお伝えしました。驚いたのは、会話の中からポイントを抽出して、その場で整理し、体系化されていたことです。文字を入力するだけではなく、課題をきちんと浮き彫りにしているところにコンサルタントとしての職人技を垣間見た気がします。短い時間でしっかりと業務を分類して頂き、おおよその整理はできたのではないかと思うほどでした。
次のステップとして、事業グループの7チームのメンバーから、トータル4回に分けて具体的な事業内容を聞き取って、可能な限り可視化してもらいました。さらに、出てきた業務スキームに基づく、メンバーの不満や悩みも踏まえて、改善の重要度や優先度を整理していただいたのです。
というのも、たとえば仕入れから実績管理、生産までを事業グループ内で完結させているのですが、精算に関わっている人は契約について知らなかったり、予約受付担当の人は仕入れのことは知らなかったりと、同じ事業グループ内にも関わらず、業務内容を把握できていないことによる理解不足から、ストレスが生まれてしまっていました。この辺りの解消も見据えて、業務整理を進めていただくことにしました。
驚いたのは、リアルな業務の部分を聞き込んでくれるところです。たとえば、システム接続の話にしても、どんなホテルと繋がっているのかとか、具体的な実務についてメンバーは何と呼んでいるのかとか、細かな話にまで耳を傾けてくれる姿勢が新鮮でした。こちらとしても、よりリアルな実務の話をコンサルティングに活かしてくださるので、「外部の方だから、そこまで話してもムダかな」と思わずに、細かいことまで伝えるようになりました。
BPRは表面的になりがちではと懐疑的だったのですが、Kさんの「ミクロまで掘り下げるアプローチ」の効果もあって、より精度の高いものにつながっていると思います。
M.K氏(30代男性)コンサルティングファーム出身、現スタートアップ企業 副社長
コンサルティングファームを経て、現在は、スタートアップ企業の副社長としてAI事業等を運営。
メンバーインタビューで現状把握から課題定義に落とし込む
支援内容をまとめると、取り組みの大枠としては「現状把握・課題定義」「実行準備」「実行・PDCA」になります。具体的には、「現場社員インタビュー」→「業務の可視化」→「解決の優先順位付け」→「プロジェクトリーダーアサイン」→「プロジェクト進捗確認」と進めていく予定です。現時点で、「解決の優先順位付け」まで進捗しています。そのため、最終成果はこれから測定することになりますが、少なくともこれまでメンバーが抱えていた不満や課題は可視化できたと思います。また、テクノロジーの進化が著しい昨今、Excelを使って数時間掛けて行っている業務の話題になった際には、これまでに利用してこなかった手段をいくつか紹介していだき、効率化のアイデアを次々にご提案いただきました。Kさんの支援を通して感じたのは、社内でもここまで事細かに現状の課題や運用スキームの相談をしていなかったということ。私も含めて「自分で解決するしかない」、という状況が続いていました。現状のヒアリングをしようにも、メンバーの悩みを細かく聞いている余裕がある人間はいないので、Kさんに吸い上げてもらって、それを整理した方が効率的だと実感しました。あとは、定期的に来社していただいていることで、こちらもきちんと考える時間を取れるんですよね。仮に事業グループ内で同様のプロジェクトを作ったとしても、忙しくて後回しにする可能性が高いと思います。業務整理しようとか、質問を整理しようと予定していても、結局は売上や業績に関わる仕事を優先させてしまって、後回しになってしまうはず。そうした意味でも、プロ人材の活用は「宿題」をきちんとやり遂げるためにも有効なのだろうと思います。
海外支店にも横展開できるマニュアル作成を目指す、これからも伴走してもらいたい
VACATION事業グループで言うと、新しい業務マニュアルを作成したいと考えています。それにより人による知識のばらつきをなくし、「知っている人だけができて、知らない人ができない」ということをなくしたいです。他事業グループとは毛色が異なる役割を担ってきたので、海外支店も含めてマニュアルを横展開していきたいです。
また、事業グループ内のやりとりコストを軽減したいと考えています。明確なルールを決めることによって、改善されることがまだまだあると感じています。
たとえば、この案件を誰に持っていくのか判断するにしても、曖昧なものが多いため、決められずに案件が行ったり来たりしてしまうので、3分で解決するような話をスタッフ同士でずっとキャッチボールしている……ということも。それはルールがないからなので、細かいところも規範をつくることで、小さなストレスをなくし、ひいては結果的にみんながもっと気持ちよく仕事できるようになるはずです。
そのゴールを達成させるためには、Kさんと中村さんの存在が不可欠ですので、これからも伴走者として協力していただきたいです。