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スタートアップに学ぶ新規事業の育て方〜新規事業を第二フェーズまで引き上げるフレームワークとは?〜

新規事業開発

23,000名(※2023年10月末時点)のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月10回程度のウェビナーを開催しております。

2023/01/19回では、新規事業に挑戦するも、なかなか成果があがらないとお悩みの経営企画室長、事務局、新規事業責任者の皆様に向けて、事業成長のプロフェッショナル 長村氏に、短期間で事業を大きくグロースさせるためのビジョン実現・達成プランニング術をご紹介いただきました。
「柔軟な事業計画の変更が必要だと思っているが、社内反発が大きく、事業成長できないと焦りを感じている」
「メイン事業の収益性と比較したきつい指摘が入ってモチベーションが下がり心理的安全性がないと感じる」
こうしたお悩みを持つご担当者様はぜひご覧ください。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめしたので、ご参考になれば幸いです。

※本ウェビナーのホワイトペーパー無料ダウンロードはこちらからできます。

新規事業のフレームワークのWPDL用 2

長村 禎庸氏

長村 禎庸氏

株式会社EVeM 代表取締役CEO
2006年㈱リクルートに入社後、2009年㈱ディー・エヌ・エーに入社し様々なチームのマネージャーを担当。2017年㈱ハウテレビジョンへ取締役COOとして入社し管理部門以外のすべての部門を統括。停滞する業績を急成長させ、2019年同社を東証マザーズ上場に導く。2020年8月ベンチャーマネージャーを育成する㈱EVeMを設立。創業1年にしてベンチャーを中心に100社以上の経営者・マネージャーにオンライン完結型のマネジメントトレーニングを実施。2020年11月『急成長を導くマネージャーの型 地位・権力が通用しない時代の”イーブン”なマネジメント』を発売しAmazonマネジメント・人材管理ランキングにて新着1位を獲得。

樋口 達也氏

樋口 達也

株式会社サーキュレーション プロシェアリング本部マネジャー
金融コンサルティング企業を経て、サーキュレーションへ入社。製造業界を担当するセクションの責任者を務め、自らもB2Cのコマース領域を中心にプロシェアリングコンサルタントとして、100件以上のプロジェクトを担当。特に、(株)ユーグレナグループのD2C企業への支援では、経営者の戦略パートナーとして、社員ゼロ30名全員が業務委託のプロ人材という革新的な経営スタイルの実現に貢献。

酒井 あすか

酒井 あすか

イベント企画・記事編集
新卒で大手人材紹介会社に入社し、中途採用における両面マッチング型の法人・個人営業、グループ会社・地銀とのアライアンス連携業務に従事。丸の内エリアに本社を構える企業への採用支援、100名単位のグループ会社社員に対して営業企画、地銀への人材紹介事業レクチャーに携わる。サーキュレーションではプロ人材の経験知見のアセスメント業務とオンラインイベントの企画〜運営を推進。

※プロフィール情報は2023/01/19時点のものになります。

新規事業の1→10フェーズをコントロールする難しさ

新規事業は、大きく0→1の「価値創造期」、1→10の「グロース期」、10→100の「成熟期」の3フェーズに分けられる。一般的には0→1の立ち上げに最もパワーがかかり難しいイメージがあるが、1→10フェーズも技術やリソースが不足しやすく、コントロールが難しいとされる。
例えば既存技術の応用で初期投資を抑えた結果メンバーが業務過多になり、心理的安全性が担保されないというのも、1→10フェーズに起こりがちな現象の一例だ。これでは新規事業のグロースはままならず、負のサイクルに陥ってしまう。

実際に新規事業のKPI達成度や成功有無の割合を見ると、「未達成」「失敗した」が7割以上を占めるというデータもある。立ち上げたものの事業が伸び悩み成果を実感できないケースは、少なくないことが伺える。

元スタートアップCOOが考える、新規事業の1→10フェーズにおける重要なこと

今回の講師である長村氏は、「外資就活ドットコム」を運営するハウテレビジョンのCOOとして参画した経歴を持つ。長村氏は当時、まだまだビジネス成長のための基盤が整っていなかった同社のサービスを持続発展可能なものとすべく活動し、上場にまで導いた。
このとき長村氏が実施した取り組みは数多くあるが、今回は重要メソッドとして「重要なことに会社をフォーカスさせる」そして「壮大なビジョンに具体性を与える」といった内容に着目した。

長村:新規ビジネスやスタートアップには、余分な人的リソースや資金がありません。だからこそ本当に大事なことだけに力を集結させ、最短最速で目標に向かうのが大事です。
とはいえ、壮大なビジョンだけがあっても「今日、何をしたらいいのか」がわからず動けないので、ビジョンを目標と戦略、KPI、アクションへと落とし込む必要があります。

新規事業のビジョンに具体性を与えるためのメソッドとは?

「ビジョンに具体性を持たせる」といっても、一体何から取り組めばいいのか掴みどころがない。長村氏は以下のようなフォーカス・アクション・プランというプランニング方法のフレームワークを用い、目標を重要アクションにまで落とし込んでいるという。

長村:多くの方は、目標から重要アクションまでに至る間の部分がごっそり抜け落ちます。目標達成のためのアイデア自体は無数に存在するため、いきなり重要アクションを考えると数多くのアクションをこなしていかなければならなくなるでしょう。これは予算や人材が不足している新規事業チームではできませんから、目標に対してどんなアクションを実施するのかを決めるためのプロセスが大事です。

フォーカス・アクション・プランを活用するには、6つのポイントがあると長村氏。以下では、その内容について解説していただいた。

[Point.1]目標の期間

長村:まずは目標を達成するための期間が大事です。1年後、3年後に向けた目標設定では目標が遠すぎて、具体的アクションが生まれにくくなります。逆に当月、来月の目標を追うと、事業の目指す先が見えづらい。ちょうどいい目標をきちんと置いて、事業の方向性も直近のアクションもわかるようにしましょう。大体3ヶ月~半年スパンで目標を置くのがポイントですね。

樋口:チーム単位の方向性を定めるということですが、チームはどれぐらいの人数を想定しておくと良いのでしょうか?

長村:2~30名ほどまでは、これぐらいの期間で良いと思います。

[Point.2]目標の設定

次のポイントは目標設定だ。設定の仕方をほんの少し意識するだけで、メンバーの力を100%以上引き出すことが可能になるという。

長村:ダイエットをする場合、例えば60キロの人が50キロまで痩せようと目標を立てますよね。目標までに10キロのギャップがあるから、運動をしたり食事を改善したりしようと努力をする。目標設定の狙いは、そこにあります。
ビジネスも同じで、個人やチームの力を最大限引き出すために目標設定をしているわけなので、その目標設定自体が「確からしいか」を議論しすぎるのは、あまり意味がありません。非現実的な目標はよくありませんが、手の届くギリギリのラインで設定をすると、チームや個人で創意工夫が生まれるでしょう。
ですから、設定時点では「7割はいけるが、残り3割は見えない」程度の目標を設定し、残り30%を埋めるための方法を考えていきましょう。

樋口:チーム全体で30%の伸びしろを埋めていくんですね。

[Point.3]目標のフォーカス

樋口:続いては目標のフォーカスですね。「『事業が将来目指す姿』に最も貢献度の高いチーム目標にフォーカスする」とありますが、どういうことですか?

長村:失敗する新規事業を見ていると、目標が多いケースがかなりあります。どんな目標を掲げるべきかアイデアはたくさん出てきますが、現時点で何を達成すれば新規事業の将来に一番資するのかを考えて、一つだけ選びましょう。

[Point.4]GAPの特定

次のポイントはGAPの特定だ。具体的には、現状から成り行きで進んだ場合にどんな結果が生まれるのかを分析し、目標との間に発生しているギャップの要因を突き止める必要がある。

長村:例えば「分解された目標と現状のギャップ」というのは、ギャップの捉え方として間違ってはいないものの解像度は低いです。「◯◯という機能が開発されている状態」が分解目標で、現状が「これから開発をする」だとしたら、ギャップにあまり意味がないからです。
大事なのは、このままの体制で開発したらどういう結果になるのかです。「さまざまな遅延が発生し、中途半端な開発で終わりそうだ」という成り行きの結果がわかれば、解決すべき本当のギャップとなります。要因はさまざまあると思いますが、最も大きい要因にフォーカスし、対策を打ちましょう。

[Point.5]方針の設定

ポイントの5つ目が、方針の設定――分解目標達成に向けたアクションの方向性の設定だ。方向性を定めておかないと、やはりアイデアが無数に広がってしまうため、必要なプロセスとなる。

長村:例えばレシピの投稿サイトを運営していて、「レシピの投稿者を大事にしよう」という方針があったとします。どう思いますか?

樋口:抽象度が非常に高いですね。

長村:そうですよね。これでは何も言っていないのと同じです。逆に、「ハンバーグのレシピを投稿しよう」と言った場合も、ただのタスクとしてレシピを投稿して終わってしまいます。
例えば「レシピの投稿者を有料で集めてレシピ数を増やしましょう」であれば、ほど良い抽象度になります。何をすればいいかはわかっていて、どんな風にやるかは試行錯誤の余地がある。そんな抽象度で方向性を設定した上でなら、良いアクションを設定できるでしょう。

[Point.6]KPIの設定

最後のポイントはKPIの設定だ。方針と連動したKPIの方向性を見定めた上で、どんな数値をKPIとするのか選定する必要がある。

長村:KPIは「結果のKPI」「行動のKPI」「納期のKPI」の3種類しかありません。
結果のKPIは「観察数値」と言われるもので、日々のデータベースやダッシュボードで取得している数値のほか、調査やアンケートを通して見られるものです。行動のKPIの数値は、訪問数や制作本数などですね。納期はいつまでに何を作るのかを指します。
立てた方針に対して結果・行動・納期それぞれのKPIのアイデアを出し、どのKPIを追えば方針達成につながるのかをチェックしましょう。

スタートアップに学ぶ新規事業の育て方まとめ

今回のウェビナーのポイントをまとめると、以下のようになる。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。スタートアップに学ぶ新規事業の育て方にご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
スタートアップに学ぶ新規事業の育て方―新規事業を第二フェーズまで引き上げるフレームワークとは?―
本ホワイトペーパーは、2023年1月19日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。新規事業に挑戦するも、なかなか成果があがらないとお悩みの経営企画室長、事務局、新規事業責任者の皆様に向けて、短期間で事業を大きくグロースさせるためのビジョン実現・達成プランニング術をご紹介しています。