プロシェアリングコンサルティング > マガジン > 新規事業開発 > 【イベントレポート】カーボンニュートラル時代の事業開発 ―サステナビリティ/SDGsを新規事業の機会に変えた先進の取り組み事例とは―

【イベントレポート】カーボンニュートラル時代の事業開発 ―サステナビリティ/SDGsを新規事業の機会に変えた先進の取り組み事例とは―

新規事業開発

19,000名のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月6~8回のウェビナーを開催しております。

2022/02/15回では、カーボンニュートラルや脱炭素をふまえた新規事業を検討されている皆様に向けてSDGsと紐付けたビジネスの現場におけるAI活用のプロ 山田氏に、サステナビリティ/SDGsを新規事業の機会に変えた先進事例についてご紹介いただきました。
「次の時代に成長可能性がある新規事業領域を見出したい」
「サステナビリティ/SDGsの可能性をふまえた新規事業領域を見出したい 」
こうしたお悩みを持つご担当者様はぜひご覧ください。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

山田 勝俊氏

山田 勝俊氏

SDGsと紐付けたビジネスの現場におけるAI活用のプロ
ディーキン大学経営大学院卒業、IT業界、エシカルファッションの日本市場立ち上げ責任者を経て2社起業。2016年より多国籍AIスタートアップ「コージェントラボ」でセールスディレクターとして、AI-OCR「Tegaki」の立ち上げに関わる。その後も国内外で複数社を起業した後、SDGs×AIをコンセプトにした株式会社Recursiveを共同創業。大手から中小まで様々な企業にSDGs観点を取り入れた各種新規事業開発支援を行う。2022年1月には先端テクノロジーを駆使しCO2とESG評価の可視化・改善案を行うDataseedのα版をローンチ。

信澤 みなみ氏

信澤 みなみ氏

株式会社サーキュレーション ソーシャルデベロップメント推進プロジェクト 代表
2014年サーキュレーションの創業に参画。成長ベンチャー企業に特化した経営基盤構築、採用人事・広報体制の構築、新規事業創出を担うコンサルタントとして活躍後、人事部の立ち上げ責任者、経済産業省委託事業の責任者として従事。「プロシェアリングで社会課題を解決する」ために、企業のサスティナビリティ推進支援・ NPO/公益法人との連携による社会課題解決事業を行うソーシャルデベロップメント推進室を設立。企業のSDGs推進支援、自治体・ソーシャルセクター とのコレクティブインパクトを目的としたプロジェクト企画〜運営の実績多数。

板垣 和水

板垣 和水

イベント企画・記事編集
慶應義塾大学在籍中にITベンチャーでのインターンに2年間従事。オウンドメディアのSEOやチームマネジメント、100本以上の記事ディレクション/ライティングに携わる。卒業後サーキュレーションに入社し、プロ人材の経験知見のアセスメント業務とコンテンツマーケターとしてオンラインイベントの企画〜運営を推進。

※プロフィール情報は2022/2/15時点のものになります。

世界的な動きの中で最も着目すべきカーボンニュートラルの取り組み

2021年はさまざまな国際会議において、脱炭素社会――カーボンニュートラル時代の舵切りがなされ、日本でも企業の取り組みやメディアを通した脱炭素の呼びかけが活発化している。これは単なる傾向ではなく、コーポレートガバナンスコードやTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の改訂などにより、中長期視点での企業の変革が強く求められているような状況だ。

ここにはSDGsへの取り組みやESG投資の拡大も絡んでいるが、大勢を見たときにやはり最も着目されやすいのはカーボンニュートラルへの取り組みだ。国としての目標達成に向けて、どんな企業もイノベーションを起こしていくべき分野だといえる。

「Dataseed」の取り組み事例に学ぶカーボンニュートラル時代の事業開発

さて、今回のウェビナー講師である山田氏はAIとサステナビリティの知見を持つ、まさに時代の最前線で戦うプロ人材だ。同氏は2020年に「SDGs×AI」をコンセプトにした株式会社Recursiveを共同創業しており、Google Advisor Program for SDGsにも選ばれた数少ない日本企業として実績を積み上げている。
そこでまず、最先端の環境の中で山田氏が立ち上げた新規事業の事例について簡単に教えていただいた。

ESGの可視化から改善までを可能にするクラウドサービス「Dataseed」

Recursiveが2022年にα版のリリースしたのが、ESGの可視化・改善などが可能になるダッシュボード「Dataseed」。ESG評価に必要なデータ収集と評価を行うだけではなく、改善案やソリューションまでを提案する「ESG経営オールインワンプラットフォーム」として市場に展開中だ。

Dataseedはカーボンニュートラルの中でも「算出と評価」に着目したプロダクトだといえる。ただし山田氏はただ単にCO2排出量を測るのではなく、サステナビリティ経営の一歩先を読んだ企業戦略のあり方まで視野に入れて、本プロダクトを開発した。

山田:温室効果ガスは定量的に測りやすく成果も見せやすいので、測定は必須です。一方で想像してほしいのが、今後それが当たり前になったときのこと。ほかにも水の消費量や廃棄物、公平な賃金、女性活用などさまざま課題がありますよね。温室効果ガスはあくまでSDGsの中でエンバイロメントの一つに過ぎませんから、企業としてはカーボンニュートラル以外の部分で差別化を図らないと、ESG投資家から良い評価をされません。だからこそ現段階からESG評価を可視化することが大事であり、本質的であると考えました。

「Dataseed」で実践した事業開発の詳細10ステップ

企業が今後向かうべき方向の指針としてリリースされたDataseed。実際の事業開発のステップは以下の通りで、流れ自体は一般的な新規事業創出とさほど変わらない。この中でポイントとなる部分を簡単に解説いただいた。

山田:最初の部分についてはアイデアを着想したというよりも、自分たちでサステナビリティやSDGs、ESG市場にどんなビジネスモデルが生まれ、誰が投資しているのかを調査しました。例えば世界をリードしているY CombinatorやSequoia CapitalといったVCを見るのもわかりやすいですね。ヨーロッパではすでにさまざまなサステナビリティ関連の事例が登場しているので、日本やアジア市場にはどんな可能性があるのかをステップ2~4までの間に現実的に落とし込んでいった形です。正直、泥臭い作業だったなと思いますよ。

サステナビリティ/SDGs時代の事業開発における3つの壁

以上のプロセスを踏まえ、山田氏が感じるこれからの事業開発における壁を3つ挙げていただいた。アイディエーション、テクノロジー、マーケティング&PR。いずれも重要なポイントではあるが、中でも最も多い課題はアイディエーションだという。

山田:カーボンニュートラルをテーマにするとしても、社内向け・社外向けの2つに分けられるかと思います。まず社内向けであれば、優先順位がわからない、あるいはまずは他社事例が欲しいというケースが日本企業にはかなり多いです。あとはESGやSDGsと既存事業がどう結び付くのかがわからないというのも大きな課題です。

こうした傾向は社外向けであっても同様で、例えば同じようなアイデアばかり出てくる、そのアイデアの良し悪しが判断できない、既存業務とどこまで離れた業務をすべきなのか判断ができないなど、事業アイデアに関わる悩みは尽きない。

山田:実際のところ簡単に上手くいく新規事業は少なく、調べてみるとGAFAですらたくさんの失敗をしているんですよ。それが受け入れられないとアイデアが出てくるまでに慎重になりすぎてしまい、機会を逃してしまいます。アイデアそのものの問題というよりも、人事制度やカルチャーから変革していかないと、アイディエーションの活発化は難しくなるということです。
その上、アイディエーションにおいては三方良しならぬ四方良しまで考える必要があります。関わる人全てにとってWinが多ければ多いほど魅力的になるわけですが、そのためにはそもそものビジネスマインドを変えて、幅広く考えるのがポイントですね。

新規事業責任者が押さえるべき脱炭素時代の3つの事業開発シナリオとは?

ここからは最も重要なアイディエーションでの壁を乗り越えるべく、どのような手法があるのかについて伺っていった。

[シナリオ.1]着目すべき14領域の成長分野を押さえる

信澤:まずは国として2兆円もの基金が動いている、グリーン成長戦略の14分野に着目するということですが、山田さんからはこれら一つひとつにチャンスがあるように見えますか?

山田:分野によってはできる範囲が限られている点もありますが、特にエネルギー関係は一番わかりやすいですし、食料分野でもできることは多いかと思います。

信澤:例えば食料分野ではどんな可能性があるのでしょうか?

山田:食の分野で一番多いのは、不使用部位を使用した新しい商品開発です。不使用部位とは、食糧生産をする上で発生する野菜の切れ端や、飲食店で残ってしまった食材など。現在は例えばお通しにして出すなど、現場の人が活用アイデアを考えなければいけません。
これをAIなどの先端テクノロジーがアイデアをレコメンドする形にすれば、ゴミを新しい商品として売上に変えられる。フードロスの削減につながるだけではなく切れ端なのでプライスも下げられ、消費者にまでWinになります。現場負担に対するアイディエーションを、テクノロジーで作っていくという発想ですね。

[シナリオ.2]既存アセットを活かした事業開発を検討する

信澤:シナリオ2ではアイディエーションというよりも、「既存を活かす」という観点をいただいていますね。

山田:先ほどの食の不使用部位の話に近いのですが、ゴミとして捨ててしまっているものを新たな形で使うのがアップサイクルです。実は売上になったり人の喜びにつながったりする例は多いので、既存アセットでも活かせるものがあると気付くと、発想が変わると思います。

[シナリオ.3]グリーンバリューチェーンから事業機会を見出す

信澤:3つ目はグリーンバリューチェーン起点の事業機会ということで、これはサプライチェーンとリサイクルチェーンがある中で、自分たちがどこにチャンスを見出すのかという観点ですね。

山田:サプライチェーンはScope1~3に該当するのでかなりいろいろなチャンスがあるかと思いますし、多くの企業が可視化に注目していますね。ただ、データを自動的に集めるというのはかなり大変なんですよ。特にサプライチェーンが長いグローバル企業はテクノロジーを使って自動的にデータを収集するニーズがありますから、このあたりはチャンスになるのではないでしょうか。
さらにデータ収集が終わったらどうするのかという話になるので、そこでコンサルティングやソリューションを提供するのも一つの手です。

カーボンニュートラル時代の事業開発

今回のウェビナーのポイントを、「すぐに取り組んでいただきたいこと」として以下の3つのポイントにまとめた。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。カーボンニュートラル時代の事業開発にご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
カーボンニュートラル時代の事業開発 ―サステナビリティ/SDGsを新規事業の機会に変えた先進の取り組み事例とは―
本ホワイトペーパーは、2022年2月15日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。サステナビリティやSDGsが叫ばれる中、「成長可能性を秘めた新規事業領域の案が欲しい」「特にカーボンニュートラルや脱炭素関連の新規事業を打ち出したい」という方に向けて、実際の先進事例と共に、カーボンニュートラル時代における事業開発のポイントをご紹介しています。