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引越しtechで売上2倍!元スタートアップCxO松田俊明氏の社長参謀としての役割とは

業態変革・DX
引越しtechで売上2倍!元スタートアップCxO松田俊明氏の社長参謀としての役割とは

2006年、文字放想社長(以下:文字社長)が21歳の若さで設立したアップル引越センター。トラック1台からスタートした同社は『引越しを通じて、ひとつでも多くの笑顔を生み出し笑顔溢れる世の中をつくること』を理念に掲げ、”引越しTech”と題しITの力で社内外に改革を起こしながら、右肩上がりで売上を伸ばしてきました。その裏には、社長の右腕としてアイディアを次々に具現化した元スタートアップ副社長の松田俊明さん(以下:松田)の存在がありました。社長と二人三脚の4年間を濃縮してお届けします。

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引越しの見積りをWebサービスで自動化したい。社長の右腕としてアイディアと想いを実現してくれる人材を探していた

株式会社アップル 文字放想社長株式会社アップル 文字放想社長

引越し業界は「キツくて大変」。そんな一般的なイメージとはうらはらに、14歳からとにかく楽しくて働き続けた社長の想い

文字社長:アップルは私が21歳のときに設立した引越し会社です。私が最初に引越し業界で働いたのは14歳の頃でした。引越し業界は一般的にキツくて大変な仕事というイメージがあるかもしれませんが、きちんと働いてさえいれば毎日お客様に「ありがとう」と言ってもらえる素晴らしい仕事だと僕は思っています。なので当時も何の色眼鏡もなく「相手が喜んでくれてこんなに楽しくて、しかもお金ももらえるならもっと早く働けば良かった」という感想しか抱いていませんでした。

ですから当社も純粋に引越しという仕事の良さを発信していこうとしていますし、社内でも人の悪いところよりも良いところを褒める風土作りを心がけていますね。

人は誰でもミスをするもの。業務自動化によって人的ミスをゼロにしたかった

文字社長:2015年当時に実現したかったのは、Webの引越し見積り・予約サービス「ラクニコス」の開発です。ここには、引越し日・段ボール配達・回収日などの聞き間違えや言った言わないのやりとり等の人的ミスをなくしたかったという背景があります。人はどうしてもミスをするものです。指導者の言い方や教え方が悪いのかもしれませんが、何度言っても間違えるときは間違えます。また、長年この仕事をしてきて、私の持つ知識やノウハウを100%実施してくれた人は皆無でした。せいぜい50%程度なのですが、それも1人いるかどうかというレベルなので、教育には時間やコストの限界があると考えていました。細かいミスが重なるとどうしてもネガティブなコミュニケーションが増えてしまうことも悩みでしたね。

こうした状況を打破するには、人がやらなくていい部分は全て自動化してしまえばいいのではないかと考えたのが今回のプロジェクトのきっかけです。システムに数千万円の資金を投資する覚悟もできていたので、ぜひ実行したいと思いました。

ただ、私はラク二コスを筆頭に自分のやりたいことが沢山あるものの、そのアイディアや構想を整理して、具体的なアウトプットに落とし込むことが苦手です。そこをサポートしてくれる存在を探していました。

事業開発の頻度やコスト面を考え、自社に最適だったプロシェアリングサービスを選択

文字社長:プロシェアリング会社サーキュレーションさんとの出会いは、若手起業家・創業者が集まる会合で同社の社長さんとお話したのがきっかけでした。事業開発を行える人材はどうしてもコストが高くなりますし、こうしたプロジェクト自体が頻繁にあるわけでもなかったので、当社に適したサービスだと思いました。

その後担当コンサルタントの方に何人か私の右腕になってくれそうなプロ人材の候補をリストアップしてもらいましたが、特に松田さんがおすすめだと言われていたのであまり選ぶという感覚はありませんでしたね。面談も松田さんだけお願いして、すぐに依頼を決めました。実際にお会いしてみても、笑った表情やリアクションも含めて「絶対にいい人だな」と直感したんです。

オールアバウトや中小ベンチャー企業で新規事業を統括する中で、コミュニケーションの難しさを実感した経験が支援にも生きている

プロ人材 松田俊明氏プロ人材 松田俊明氏

松田:私は大学を卒業してから就職はせず、2年ほど鳶職などをして働いていました。その後出版社に入ったもののすぐに辞めてしまい、次はデザイナーとしてWeb業界に入りしました。Web制作を通じて人の行動を変えられることが楽しかったので、楽天に入社しました。30歳で社長になることを目標として、Webデザインのみならず営業やマーケティング、顧客サポートなど幅広い業務をこなした後にオールアバウトや中小ベンチャー企業で新規事業を手掛け、事業が0から1、や1から10に成長していくフェーズで責任者をしていました。

事業責任者を務めていると周囲から「あなたの好きなようにやりなさい」と言われるのですが、実際はなかなかできないんですよね。自分だけでやるなら頭の中で描いていることを実行すればいいだけなのですが、自分がやりたいことを誰かに伝えるとなると、どうしても意思疎通ができなかったり伝わり方が間違ったり部分的になったりします。そうした、何かを誰かにやってもらうまでの一歩が難しいもどかしさを私自分も感じましたし、かといってNo.2を育てられたのかも疑問です。いろいろな企業の社長の話を伺っていても同じ様な悩みをもっていて、メンバーと意見が合致しない、部下が言われたことだけをやっている、という状況はありがちです。

ですからご支援に入る際は社長がやりたいことを思いも含めて受け止めて具体化するべく、極力スピーディに最初の一歩を踏み出せるように尽力しています。

4年間の支援で会社のシステムから志向性まで把握し、阿吽の呼吸で社長をサポート

引越し業界のことを熟知した文字社長と細かな事業推進力のある松田さんのタッグでプロジェクトを突き進めた

松田:ラクニコスという引越しのWeb見積り・予約システムを作りたいというお話をいただいて、まずは初回の打ち合わせに向けた調査をスタートしました。想定する課題を持つユーザーは存在しているのか、課題解決の手法は本当にWeb予約という方法でいいのかといった部分です。

ただ、結局その調査資料はほとんど使わなかったんですよね。文字さんには「とにかくこれを進めたい!」という強い想いがありましたし、何より文字さんご自身が引越し業界について本当に熟知していたからです。私がプロジェクトの是非を精査するまでもなく、その判断は正しいだろうと感じました。ですから初回時からスケジュール調整をスタートできました。

文字社長:そこから松田さんにサポートいただいたのは、ベンダーに見積りを出してもらうための資料作成やベンダーの情報収集などが主ですね。

松田:システムを開発するために必要なフローや画面イメージ、見積り計算に必要なデータ、料金算出のためのロジック、条件分岐などをまとめていきました。ここが出揃えばおおよその金額感がわかる概算の見積り依頼ができるんです。

文字社長:同時並行で、基幹システムの概要の整理もお願いしました。ラクニコス自体が全システムに紐づくものなので、ラクニコスを開発した後は基幹システムも変えていこうとしたんです。

ラクニコス以外にもあらゆる開発を手掛けてもらったことで、松田さんが誰よりも会社を理解した頼れる存在に

文字社長:ラクニコスと基幹システムが無事完成してからも、松田さんには社長室所属という形でほかにもいろいろな案件をお願いしました。例えば配車システムの要件定義や単身者専用のwebのランディングページ作成などです。

流れとしては私が打ち出す方針に対して何ができるか、どう進めるかといったことを打ち合わせ、毎週内容を整理した資料を作成してもらっています。それを私がフィードバックして、ブラッシュアップして……というフローをひたすら繰り返すイメージです。

特にWebページの制作においては、どんなイメージにするのか、使用するテキストや写真はどうするのかといった細かな内容まで一緒にブレストしてもらっています。要件がまとまって実際に制作会社に依頼したら、その後のディレクションや管理は松田さんにお任せです。当社のシステムや志向性を全て理解してもらった上で制作会社とやりとりしてもらえるので、すごく楽ですよ。

支援開始から1年経過する頃には、松田さんは社内の誰よりも会社について詳しいと思うほどの頼もしい存在になっていました。稼働頻度は当初週に1回でしたが、現在は週2回でお願いしています。

松田:週に2回という貴重な時間をいただいているわけですから、私も詳しくならないといけませんからね。

1を聞いて9まで理解してくれるからこそコミュニケーションに無駄がなく、案件の進行もスピーディ

文字社長:松田さんは過去にWebデザイナーをされていたこともありデザインセンスが優れているので、非常に満足できるアウトプットをしてくれます。ときには打ち合わせでデザインを詰め、デザイナーを介さずに印刷物を制作することもあるくらいです。ただ、その背景にあるのはセンス以上に相手が何を求めているのかを理解する力なんですよね。

デザインでなくとも松田さんは1を言えば9は理解した上で資料を作成してくれて、しかも残りの1割の部分に関しては「私はこう考えたのですが」と言い添えてくれます。やりとりにほとんど無駄が無いんです。当社もコンシューマー向けの事業ですからよく「お客様の立場に立とう」と言いますが、口で言うほど簡単なことではありません。本当にすごいと思います。

松田:ベースとして私自身が自分で事業をやりたいという志向を持っていますから、社長である文字さんはどう考えるだろうか、自分が社長ならどう判断するだろうかという視点を持って業務に取り組んでいます。とても楽しいですよ。

文字社長:あとは、私が何を言っても「面白い!」というスタンスで話を聞いてくれるので、何でも話せるんですよね(笑)。社長の立場だと先週は重要だったことが今週は重要でなくなったなんてこともザラにあるのですが、変更があったからといって嫌な顔をされることもありません。

松田:実際面白いですから(笑)。

ラクニコスによって、人的コストはそのままに売上が倍増する大きな成果が生まれた

文字社長:ラクニコスのシステムを改めて簡単にご説明します。今まではユーザーがホームページにアクセスして見積り依頼ボタンを押すとコールセンターの担当者がメールを返信し、電話をかけて契約するという流れでした。ラクニコスは、これらの工程を全てWeb上で完結します。ローンチしてからすぐに成果が現れましたよ。

当初は単身者のみに提供するサービスとしてスタートしたのですが、10日もしないうちに一気に予約が増えました。ローンチの直後は71件だった受注が、翌月には170件にまでなったんです。繁忙期前にも関わらずです。それから250件、440件とどんどん受注が増えていきました。現在は月間1500件ほどなので、当初の20倍もの数字ですね。営業利益はローンチから2年で1億円増えました。受注件数は2019年7月までの時点で述べ2万2000件を達成して、利用者数も10万人を突破しています。

ここまでの成果が出ている一方で、コールセンターの常駐人数は当時が4名で今も6名程度です。ここ1年で拠点は5箇所増やしましたが、営業マンの人数もさほど増えていません。これまでコールセンターがアナログで対応していたフローを全て自動化できたことで、かなりのコスト削減にもなったのです。営業人員に至っては20名分削減できた計算です。

日本一の引越し会社になると感じられるほどのスピード感ある進化が刺激的

外部のプロ人材と企業の社長という立ち位置だからこそ、緊張感のあるベストな距離感で関係を構築できている

文字社長:4年間支援が続いていますが、松田さんには感謝しかありません。雇用形態を越えた良き理解者でいてくれることが本当にありがたいです。松田さんの能力や人格あってこそですが、考え方の志向性や人生経験が当社にマッチしているのも大きいと思います。

私の「こんなことをしたい」という想いに対して返ってくる松田さんの言葉を聞くと安心できますし、理想の幹部のようでもありますね。本当は社内に松田さんのような右腕的存在がいてくれたらと思うのですが、社員だと第三者の目線で意見を言う緊張感がなくなってしまうので、今の距離感がベストなのかもしれません。

松田:私も長期間にわたり支援させていただいていることに感謝しています。4年間の実感として、アップルさんは日本で一番の引越し会社になれると強く感じますね。出会った頃に比べて、急速なスピードで進化しています。そういう企業の代表に毎週時間をもらえていることがありがたいですし、私のキャリアの中でも強い刺激になっています。

今後の成長を応援する一方で、自分が同じ場所に留まっているとアップルさんのスピード感に置いていかれてしまうなとも思います。私も私の立場としてどんどん進化を続けていきたいです。

レガシーな業界で経営に課題があるなら、プロシェアリングサービスを活用して構造改革を積極的に進めてほしい

文字社長:市場が縮小して斜陽産業と呼ばれるようなレガシーな業界で問題になるのは、経営者のレベルが低かったり業界の環境が悪かったりして、経営を維持できずに立ち行かなくなるという状態です。実際に地方の企業を見ると、経営やコスト、生産性に対する意識が本当に疎かになってしまっているんですよ。

でも、そういう企業こそプロシェアリングサービスがマッチしたら、驚くような成果が生まれる確率が高いと思うんですよね。経営をどう進めればいいのか、プロ人材に身近でサポートしてもらうんです。少し構造改革をするだけで革新的に売上が伸びるかもしれませんし、仮に伸びなかったとしてもほとんどの企業で赤字は解消できるはずです。

たとえレガシーな業界でも絶対的に世の中に必要とされている企業は多いはずです。どんどん改革を進めて持続性のある企業に成長すれば、熱意を持った人が参入するサイクルが生まれ、業界そのものがさらに良くなるのではないでしょうか。

松田:そもそも私が独立したのは、Webの知見を使って地域活性をしたかったからです。ここには、楽天に所属していた当時、地方に埋もれていた会社がネットを利用して製品を売ることで業績回復したり、地域が盛り上がったりしたのを目の当たりにしたという原体験があります。

ですから文字さんがおっしゃったようなレガシーな会社の支援にも興味があります。プロシェアリングというサービスがなければ当時のアップルさんを知ることはありませんでしたし、ほかにも私が知らないだけで社会的な変革を促せるような企業・プロジェクトはまだまだあるはずだと感じます。今後も地方やスモールビジネスの案件を紹介いただけると嬉しいです。

強い思いを持って引越し業界のシステムに改革をもたらしたアップルさん。社長とプロ人材がお互いに尊敬できる部分を持ち、刺激を高め合える関係性を構築できたからこそ長期間の支援を二人三脚で進めてこられたのだと思います。

本日はお忙しい中、ありがとうございました!

左:サーキュレーションコンサルタント 竹内美晴,中央:株式会社アップル 文字放想社長,右:プロ人材 松田俊明氏

社長の右腕として事業開発を行う案件のまとめ

課題・概要

社長自身には豊富なアイディアがあったものの、プロジェクトを進めるために頭の中を整理して具体的にアウトプットする事が苦手だった。Webの引越し見積りサービス「ラクニコス」も構想だけがありなかなか進められない状態の中、元スタートアップCXOの松田さんがアサインされた

支援内容

  • 当初はラクニコスの開発にフォーカス。計算ロジックを始めとする要件定義と外部ベンダーのコントロールを担った
  • 基幹システムの要件定義も同時並行で進めた
  • 配車システムの要件定義やランディングページの制作などさまざまなプロジェクトも担当。元Webデザイナーの経歴を生かしてデザイン面のハンドリングにも大きく寄与した
  • 現在も支援は継続。社長室に所属する形で引き続き社長をサポートしている

成果

  • ラクニコスを無事ローンチ。コールセンターで対応していた当時は月70件程度の受注数だったが、導入後1ヶ月で170件を突破。現在はラクニコス経由で月間1500件を獲得している
  • ラクニコス導入後、2年で売上2倍、営業利益1億円増加。サービスの利用者数は10万人を突破
  • 拠点数も直近の1年間で5箇所増やしたが、人数規模は微増程度。売上を倍増しながら営業人員20名分の工数を削減できた
  • その他にも配車システムの要件定義など社長室という位置付けで次々にアイディアややりたい事を具現化

支援のポイント

  • 外部のプロ人材と企業の社長という立ち位置だからこそ、緊張感のあるベストな距離感で関係を構築しながらアイディアをスピーディーに具現化できている
  • レガシーな業界であっても社会を変革していきたいという思いがある中小企業には、プロシェアリングで構想の具現化を支援してもらうのがもってこい
  • 新規サービスの立ち上げは最初の一歩が肝心。そのアクセルを踏んでくれるのがプロ人材
  • やりたいことが溢れるほど思いの強い社長の右腕となってサポートすると大きなパワーになる

企画編集:新井みゆ

写真撮影:樋口隆宏(TOKYO TRAIN)

取材協力:株式会社アップル

※ 本記事はサーキュレーションのプロシェアリングサービスにおけるプロジェクト成功事例です。

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