人事制度設計のノウハウ~今注目の制度5選や手順を紹介~
企業が長期的に安定して成長していくために人材の獲得や定着が非常に重要であることは周知の事実です。そしてそのためには、魅力的で効果的な人事制度設計が欠かせません。本記事では、その人事制度設計の概要から今話題の人事制度、コンサルタント活用のメリットや選ぶ際のポイントなどを幅広く解説していきます。
人事制度とは
人事制度とは、企業における給与や昇給・昇格にかかわるものや、福利厚生などの従業員が快適に働くための条件など、さまざまな条件を定めた制度のことです。ヒト・モノ・カネと言われているように、人材は企業経営において根幹をなすものであるため、人事制度は企業にとって非常に重要な制度です。
人事制度の目的
前述したように、人材は企業にとって非常に重要な経営資源です。人材流出が続いてしまえば企業経営は立ち行かなくなってしまいます。人事制度では、公正な評価によって従業員の不満を和らげ、適切な報酬や教育、福利厚生などによって従業員のモチベーションを高めることを目的としています。その結果として、従業員の帰属意識の向上や離職防止といった効果が期待されています。しかし、いままではしっかりとした人事制度を策定していない企業も多く、その結果、従業員の他社への人材流出やモチベーション低下を招いていました。
近年の驚異的な人手不足や働き方改革の推進によって、企業を取り巻く経営環境は大きく変わってきています。売り手市場によって人は、より条件の良い企業を選ぶようになり、人事戦略に多大な影響を与えています。結果として、企業は新たな人事戦略の策定を迫られ、その中で再度、人事制度の見直が注目されています。
人事制度の種類
等級制度
等級制度は、従業員を「職能」「職務」「役割」の3つの基準によって分類し序列化する制度です。この等級制度によって、評価制度や報酬制度が決定されるため、人事制度の基本となる制度です。等級制度の代表的なものが、「職能資格制度」と「職務等級制度」です。一般的に、前者が「人」に対する評価であるのに対して、後者は「仕事」に対する評価であることが特徴です。
職能資格制度は、従業員の能力ごとに等級分けを行う制度で、日本国内の企業において広く普及してきた人事制度です。しかし、その能力の評価に対して明確な基準を設けずに運用している企業も多く、年功序列になりやすい制度です。そのため、徐々に年功序列が見直されている昨今では、後述する職務等級制度に置き換える企業も散見されるようになりました。職務等級制度は、学歴や経歴といったキャリアや雇用形態に関わらず、純粋に仕事のみで評価し序列化を行う制度です。そのため、成果主義を基本とする欧米においては一般的な等級制度です。日本国内でも働き方改革による同一労働同一賃金の普及など、従来の等級制度が見直されるなかで、職務等級制度が取り入れられるようになりました。
そしてもうひとつ、近年普及しつつある等級制度が「役割等級制度」です。職務等級制度は仕事の成果に対して等級分けがされるため、実績に応じて公平な評価が行えます。しかし、長く年功序列の等級制度を続けてきた日本企業の企業文化にマッチしない部分も多くあり、従業員の不満になることもありました。そこで、人を基準とする職能資格制度と、仕事を基準とする職務等級制度の良いところを掛け合わせた等級制度である役割等級制度が注目されるようになりました。
役割等級制度は「ミッショングレード制度」とも呼ばれており、職能と職務という「役割」によって等級分けを行うことが特徴です。この役割等級制度でも年功序列が排除されており、役割や成果に応じた評価によって昇給や昇格が行われます。そのため、まだ勤続年数の浅い若手でも活躍できることから従業員のモチベーションが向上しやすいという特徴も持っている等級制度です。
評価制度
評価制度とは、企業における従業員の能力や役割に対する実績・貢献度を評価するための人事制度です。この評価制度によって、従業員の昇給や昇格、適切な人員配置、教育プランの策定などを行えます。評価制度の内容は企業によってさまざまで、評価を直接、報酬制度や昇格制度の判断基準とする企業もあれば、従業員へのフィードバックのためだけに利用する企業もあります。
従来の国内企業では年功序列を中心とした評価制度が採用されていました。そのため、個人の能力や実績は評価されにくく、従業員の不満や離職の原因ともなっていました。さらに、昨今では深刻な人手不足や働き方改革による就労環境の多様化、人材のグローバル化などが進んでいるため、これまでの評価制度による適切な評価が困難になっています。その結果、現在ではa href=”https://circu.co.jp/pro-sharing/mag/article/2375/”target=”_blank”>360度評価やリアルタイムフィードバック、ノーレイティングといった比較的新しい評価制度を取り入れる企業が増えてきています。
報酬制度
報酬制度は、従業員の昇給や降給、賞与やインセンティブといった金銭的な報酬や、実績に応じた福利厚生の提供、裁量範囲の拡大、表彰といった非金銭的な報酬を決定するための人事制度です。一般的に等級制度や評価制度をもとに報酬制度が決まるため、その3つの評価制度には密接な関係があります。その中でも報酬制度、特に金銭的な報酬は従業員の生活に直接的に影響するため、適切な報酬設定がされないと不満が出やすい部分です。だからといって報酬設定を高くしてしまうと人件費の高騰につながり企業の業績悪化の原因ともなるので、慎重な設定が不可欠です。
昇格制度
昇格制度とは、企業における昇格の条件となる基準を定めておく人事制度です。昇格条件を明確にしておくことで、効率的な人材配置や社員のモチベーションを高められます。この昇格条件が明確になっていないと、昇格対象にならなかった従業員の不満が高まったり従業員どうしの人間関係の悪化を招いたりすることにつながるため、しっかりとした制度設計と周知が必要です。
教育・人材開発
先に述べた等級制度、評価制度、報酬制度、昇格制度の4つが基本的な人事制度ですが、従業員に対する教育や人材開発も人事制度にとっては欠かせません。ジョブローテーションやキャリアディベロップメントプログラム、タレントマネジメントシステムなどによる人員配置、人材開発を適切に行うことが重要です。また、研修制度やフィードバックなど従業員に対する教育を繰り返し行っていくことで、はじめて人事制度が完成されると言っても過言ではありません。
福利厚生
そして福利厚生も人事制度のひとつとして重要な役割を持っています。福利厚生は社員旅行や交際費の支給、住宅手当といったものから資格取得費用の支給や書籍代の補助など、さまざまな福利厚生が取り入れられており、企業によってもっとも特色が出やすい人事制度です。そのため、従業員のモチベーション向上や離職防止に役立つだけではなく、資格取得による従業員のスキルアップ、人材募集の際のアピールポイントにもなります。
今注目の人事制度
1on1
1on1は1on1ミーティングとも呼ばれており、定期的に上司が部下と行う個人面談です。業務に対する進捗状況や成果、問題点といったものを共有し、その結果をもとに気づきを促すことで部下の育成を目的とした教育・人材開発に関する人事制度です。2012年にヤフーが1on1ミーティングを取り入れ高い成果を上げたことで注目されるようになりました。1on1ミーティングは、部下の成長を促すだけではなく、上司自身の成長にも効果があります。上司は、定期的に部下とコミュニケーションをとることで信頼関係の構築や現場の状況把握が可能です。その結果、円滑なチーム運営が可能になりマネジメントスキルの向上にも役立ちます。また、コミュニケーションが活発になることで生産性の向上や風通しの良い職場づくりにも役に立つと、近年さらに注目を集めています。
360度評価
360度評価とは、被評価者が上司や同僚、部下、他部署の担当者など立場の違うさまざまな人から多角的に評価を受ける評価制度です。従来のように上司からのみ評価される評価制度とは異なり、立場や関係性の異なるさまざまな人から評価されることで現実に即した公平な評価ができると注目を集めています。
360度評価では、一般社員だけでなくマネジメント層の育成にも高い効果があるとされています。また、公平な評価が可能なため、風通しの良いフラットな組織運営に役立つほか、従業員自身が評価に関わることによる帰属意識の向上やモチベーションの向上も期待できます。
成果主義の導入・年功序列の見直し
いままで国内の企業では、等級制度や昇格制度、評価制度などの人事制度において、個人の実績ではなく、勤続年数などによって評価される年功序列が基本となっていました。そのため、能力の高い若手社員などにとっては不満がたまりやすく、モチベーションの低下や離職の原因ともなっていました。しかし、働き方改革による就労環境の変化や深刻な人材不足によって、徐々に年功序列制度が見直され、個人の能力や実績によって評価される成果主義が導入されるようになりました。
しかし、完全な成果主義は日本の企業風土にはなかなかなじむことができず、さまざまな問題も抱えていました。そのため現在では成果という仕事に対する評価だけではなく、役割といった人に対する評価も取り入れた役割等級制度が注目されています。
リアルタイムフィードバック
リアルタイムフィードバックも近年トレンドの評価制度です。従来の評価制度は半年に1度や1年に1度といった長い期間で評価を行っていました。しかし、近年はビジネス環境が変化するスピードが非常に速くなっているため、半年や1年といった期間では、ずれが生じてしまい適切なフィードバックが行えないという問題がありました。そこで、随時フィードバックを行うリアルタイムフィードバックが注目されるようになりました。
リアルタイムフィードバックでは、フィードバックまでの期間が短いため、ずれが生じにくく、問題点や課題点もすぐに軌道修正できます。また、成果に対してもすぐに評価されるため、従業員のモチベーションの向上やエンゲージメントの向上に高い効果を発揮します。
リアルタイムフィードバックを導入している企業として有名な企業が、フリーマーケットアプリで圧倒的な知名度を誇るメルカリです。同社では、「ピアボーナス制度」というリアルタイムフィードバック制度を導入しています。これは、社員が良い仕事をしていると思った人に対してリアルタイムに評価しインセンティブを贈り合うという制度です。この制度によって、一人ひとりのパフォーマンスを高めると同時に、社員間の信頼関係の醸成やコミニケションの活性化を実現しています。
ノーレイティング
ノーレイティングも新たな評価制度として注目されている人事制度です。従来の評価制度では、従業員のスキルや実績、組織への貢献度などによって、A・B・Cなどのようにランクを付けて評価するレイティングが主流でした。しかし、一般的なレイティング制度の場合、1年をとおした年次での評価のため、ビジネススピードが速くなった現在では、たびたび評価エラーを起こすなど次第にレイティングが機能しなくなってきました。
そこで海外の企業で導入されはじめたのが、ノーレイティングです。ノーレイティングでは、年次の評価を廃止すると同時に、レイティングによるランク付けも廃止しています。この評価制度は、先にも紹介した1on1やリアルタイムフィードバックといった評価制度の延長線上に存在します。年次での評価を行わないかわりに、1on1によるリアルタイムフィードバックを行います。レイティングされないため、評価される側の従業員が納得しやすく不満の少ない評価が可能です。また、非常に短いサイクルでフィードバックが繰り返されるため、軌道修正が容易になり生産性の向上も期待できます。
IllustratorやPhotoshopといったソフトウェア会社として有名な米国企業のアドビシステムズもノーレイティングを取り入れていることで知られています。同社では、「チェックイン」という、社員が直属の上司と約3カ月ごとに個別面談を行い、目標に対する成長点や改善点を話し合う制度を2012年に世界中の全拠点に取り入れました。その結果、従業員が従来の評価制度によって抱いていた不満が解消され、離職率が大幅に減るとともに会社に対するエンゲージメントを大幅に高めることに成功しています。
人事制度コンサルタント
人事制度コンサルタントとは?
人事制度コンサルタントとは、企業の人事制度導入において、現状の調査・分析、人事制度の設計や導入、フォローアップなどを一貫して任せられるコンサルティングサービスです。人事制度設計を自社ですべて行うよりは費用がかかりますが、プロによる質の高いサービスを受けられます。
人事制度コンサル活用のメリット
外部の目による的確な制度設計が可能
人事制度コンサルの最大のメリットともいえるものが、社外からの第三者としての目線で自社の現状の把握や人事制度の設計ができる点です。人事部など自社の人間が現状を分析したり人事制度を設計したりする場合、社内のしがらみや利権といったものに影響されてしまうことがあります。しかし、人事制度コンサルタントの場合は社外の人間なので、そのようなしがらみや利権といったものに影響されない、公正で客観性のある適切な人事制度設計が可能です。
人事制度のプロによる専門知識・ノウハウの活用
そしてもうひとつ、人事制度コンサルタントを利用するメリットが、人事制度のプロによる専門知識やノウハウを活用できるという点です。人事制度コンサルタントは、人事制度設計において数多くの経験を積んできた、その道のプロフェッショナルです。そのため、今まで培ってきた多くのノウハウだけではなく、最新のトレンドなど幅広い専門知識を持っています。人事制度コンサルタントに依頼することで、その知識やノウハウを自社の人事制度設計に取り入れ活かすことが可能です。
人事担当者の負担軽減
自社で人事制度の設計をすべて行った場合、制度設計を担当する人事部などの担当者に大きな負担がかかってしまいます。しかし、人事制度コンサルタントに人事制度設計を依頼することで、担当者の負担を大きく軽減できるというメリットがあります。
人事制度コンサル活用のデメリット
費用がかかる
人事制度コンサルタントを活用する際の最大のデメリットが、費用がかかるという点です。自社で人事制度設計をすべて行った場合には、かかる費用は担当者の人件費のみですが、人事制度コンサルタントに依頼した場合は、コンサルタント料として相応の費用がかかります。また、その費用もコンサルティングファームによってさまざまで、場合によっては当初の費用に対して追加費用が発生するなど、余計な費用がかかってしまうこともあります。
コンサルタントの選び方を間違えるとミスマッチが発生することも
もうひとつの人事制度コンサルタントを活用する際のデメリットがコンサルタントの選び方を間違えると、ミスマッチが起こってしまうことです。現在、人事制度設計を行うコンサルティングファームは数多く存在しています。その数多くの中から、自社にマッチしたコンサルティングファームを見つけ出すことは、非常に時間と労力がかかる作業です。自社にマッチしていないコンサルタントを選んでしまった場合、出来上がった人事制度設計が自社の理念と一致していないなどのミスマッチが起こってしまう可能性があります。そのようなデメリットを回避するためには、コンサルティング選びを慎重に行う必要があります。
失敗しない人事制度コンサルの選び方
コンサルの専門領域が自社の課題と一致しているか
人事制度コンサルタントを選ぶ際に重視しなければならない点が、そのコンサルタントの専門領域が自社の課題と一致しているかということです。前述したように、いまや人事制度コンサルタントは数多く存在しており、コンサルファームや担当者によって得意な分野が異なっています。そのため、自社の課題と合致する分野に長けたコンサルタントを選ぶことが人事制度設計を成功させるためには重要です。
十分な実績がある人事制度コンサルを選ぶこと
そしてもうひとつ、人事制度コンサルタントを選ぶ際に重視するポイントが、十分な実績があるコンサルタントを選ぶことです。十分な実績があるコンサルタントは、成功事例やノウハウなど多くの情報を持っています。逆に、実績があまりないコンサルの場合、そういったノウハウがないため人事制度設計が失敗する可能性が高くなってしまいます。また、知識やノウハウがないため、人事制度設計の効率が悪くなってしまい追加費用など余計な費用がかかってしまう可能性もあります。
実際に会って話すことが一番の近道
人事制度コンサルタントを選ぶ際に最も効果的なことが、実際にコンサルタントと会って話してみることです。実際にコンサルタントと話すなかで、そのコンサルタントとの相性や知識量、人柄といったものをある程度把握できます。また、十分な実績と経験を持ったコンサルタントの場合、まだ相談の段階でも適切なアドバイスをしてくれます。逆にノウハウが少ないコンサルタントの場合、契約に至る前にアドバイスをしてしまうと、それ以上提供できるノウハウがないため情報を出し惜しみしてしまいます。そのため、実際に会って話した際に情報の出し惜しみをするようなコンサルタントは選ぶ際に除外したほうがよいでしょう。
人事制度設計構築マニュアル
まずは自社の経営理念を確認し方向性を決める
人事制度を設計するにあたって、その根幹ともなるものが自社の経営理念です。人事制度は、会社が従業員のことをどう考えているのか、どういう人材になってほしいのかといった従業員に対してのメッセージにもなります。そのため、人事制度を設計する際には、まず自社の経営理念や基本理念を再確認し、人事ポリシーを決めることが最初の課題です。
現状把握・概要設計
経営理念を再確認し、人事ポリシーが決まったあとは、現状把握を行い人事制度の大まかな設計となる概要設計を行います。現状把握では自社が抱える人事制度の課題の分析、従業員などへのヒアリングによる現在の制度に対する満足度などを調査します。その結果をもとに、人事制度の基本となる等級制度や評価制度、報酬制度などをどのように策定・改善していくのかを決めていきます。
等級制度の設計
人事制度の骨子ともなる部分が等級制度です。評価制度や報酬制度などの人事制度は等級制度によって決定されるため、まずは等級制度の設計を行います。等級制度では、自社の経営方針、企業文化・風土、経営環境などに合わせて職務資格制度や職務等級制度、役割等級制度など、どのような等級制度を取り入れるのかを決めていきます。また、その等級を何階層にするのか、その等級に達するための条件など等級に関する詳細な内容も設計していきます。
評価制度の設計
等級制度の設計のあとは、その等級に基づいた評価制度を設計します。評価制度の設計では、評価項目や評価基準、評価方法などの詳細を決めていきます。この評価制度によって従業員のモチベーションが大きく変わることになるため慎重な設計が必要です。また、評価項目や評価基準は従業員に対してのメッセージともなる部分なので、自社がどのような人材を求めているのかといった人材像を明確にすることが大切です。
報酬制度の設計
次に、等級や評価制度で決まった評価基準を給与や報酬に反映するための報酬制度を設計します。報酬制度を設計する際には、自社の中での給与格差などの内部要因や、同業他社の賃金水準や現在の景気・物価などによる外部要因を総合的に考慮します。また、決定した報酬による人件費が今後の経営に影響しないのかといった長期的な目線でのシミュレーションも十分に行ったうえで設計する必要があります。
教育・人材開発や福利厚生などの設計
基本となる人事制度の設計のほかに、教育や人材開発、福利厚生といった人事制度の設計も行います。教育や人材開発、福利厚生は企業によって特色が出やすく、人材獲得における採用戦略や従業員の育成による成長戦略などにも大きく関わってくる部分です。この教育・人材開発や福利厚生の設計においても、報酬制度と同様に将来的なコストを十分に考慮したうえで検討する必要があります。
シミュレーションを行い変化に備える
人事制度の設計が完成した段階ですぐに運用を開始するのではなく、必ず綿密なシミュレーションを行う必要があります。せっかく設計した人事制度でも、会社の収益を圧迫したり従業員のモチベーション低下につながったりしてしまっては、長期的に継続していくことは困難になってしまいます。そのため、報酬制度設計や福利厚生の設計などで行ったシミュレーションをもとに、今後の人件費や人材育成、福利厚生にかかるコストの変化などを長期的にシミュレーションしなければなりません。また、新たな人事制度によって起こりうる従業員の反発などを十分に検討し、対策を立てることが重要です。そのためには、しっかりと従業員へ制度の趣旨を説明し理解を求めることや、従業員が制度になれるための移行期間を長く設けるなどの配慮も必要です。
運用を開始し改善を重ねる
新たな人事制度への移行の準備が整った段階で、実際に人事制度の運用を開始していきます。人事制度設計を成功させるためには、運用後のアクションがカギです。人事制度は作って終わりではなく、その後の状況をみながらPDCAを繰り返し改善していくことが非常に重要です。そうすることで、組織内に人事制度が深く浸透し、本当に自社に合った人事制度が完成します。
人事制度設計で自社の魅力を最大化する
昨今では深刻な人手不足が叫ばれており、多くの企業が人材獲得などにおいて苦戦を強いられています。そしてその傾向は、人口減少などによってさらに深刻になっていくと予想されます。そのような環境の中で企業が生き残っていくためには、従業員一人ひとりのモチベーションの向上やエンゲージメントを高める必要があります。今現在、大きな成功を収めている企業のほとんどが、独自の人事制度によって従業員に対する自社の魅力を高めています。今後、企業が長く成長し続けるためにも、しっかりとした人事制度の構築が必要不可欠です。ぜひ魅力的な人事制度を構築して、100年、1000年と続く企業を創り上げていってください。
参考
- https://jinjibu.jp/f_ps_system/article/detl/outline/928/
- https://rc.persol-group.co.jp/consulting/solution/personnel-management-system.html
- http://www.knowledgewing.com/kcc/talent-management/blog/2018/04/10/personnelsystem.html
- https://www.kaonavi.jp/dictionary/qahyoka_jinjihyokatrend/
- https://lightworks-blog.com/real-time-feedback
- https://help-you.me/blog/soshikijinjiconsultant
- https://bizhint.jp/report/263020
- https://bizhint.jp/keyword/42422