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2018年、働き方改革はさらに加速
2018年の施政方針演説で、安倍首相が最初に切り出したのは「働き方改革」でした。働き方改革の詳細な説明は別の記事に譲るとして、2018年は働き方改革がさらに加速し、組織・個人における働き方が大きく変化する年であることは疑いようもない事実です。
筆者は人材業界に身を置いて15年になりますが、「働き方」が組織・個人相互に大きな影響を及ぼし合うのを見てきました。1つの働き方に収束することなく、お互いにとって最適な形を模索し続けることが重要です。
そこで、本記事では企業の成長ステージ別に求められる機能や人材のフレームを具体的にご紹介します。経営者の方は募集職種の選定に、ビジネスパーソンの方は企業選択や働き方を考えるうえで参考にしていただければと思います。
企業は「0⇒1⇒10⇒100」で成長
始めに「0⇒1⇒10⇒100」というフレームをご紹介します。すべての企業は、何も形がない0の状態から始まり、1つの商品の形にしていきます。これが「0⇒1」のフェーズです。1を生み出した後は、「1⇒10」にするフェーズになります。0から1のアイデアを生み出すフェーズと、1つの商品を汎用化して10にするフェーズは大きく異なります。最後が「10⇒100」のフェーズです。これは、汎用的に作れるようになった商品を多数の顧客に届けられるようにするフェーズになります。
このように、企業は「0⇒1⇒10⇒100」のフェーズを経て成長していきます。求められる機能や人材を考える際には、企業がどのフェーズにいるのかを押さえておくことが重要です。
組織は戦略に従う
それでは、それぞれの成長ステージにおいて組織はどうあるべきでしょうか。経営学の世界的な権威であるアルフレッド・チャンドラーは、「組織は戦略に従う」と唱えています。創業期のタイミングで創業者は、企業をどのようにしたいか(ビジョン)、そしてビジョンをどのように実現するか(戦略)を明確にすることが重要です。その後に、戦略を実現するためにはどのような形が最適か(組織)を考えるというわけです。
創業者は企業の成長ステージすべてにおいて、ビジョン⇒戦略⇒組織を実行していくことが求められます。
ここからは、企業の成長ステージを「創業期(0⇒1)」「成長期(1⇒10)」「安定期(10⇒100)」と定義し、日本を代表する製造業を例に説明していきます。
【創業期(0⇒1)】開発・生産・販売のサイクルが回れば十分
大企業も元をたどればベンチャー企業から出発しており、創業期を経験しています。パナソニックやソニーも、松下幸之助の松下産業、井深大・盛田昭夫の東京通信工業というベンチャー企業から始まっています。ジェフ・ベゾス氏が率いるAmazonも倉庫から始まりました。ビジネスアイデアをもとにたった1人で本のカタログ化、配送のビジネスモデルを考えたわけです。このように、創業期においては創業者自ら商品を開発・生産し、顧客の元へ届けるという一連のビジネスモデルを構築して実行する場合が多くあります。下記の表は、一般的な製造業のビジネスプロセスを表したものですが、創業期は究極的には開発・生産・販売のサイクルが回れば十分です。
したがって、創業期に必要な人材は創業者や経営陣のみ、採用するとしても最低限にとどめるのが一般的です。
【成長期(1⇒10)】優秀な専門スタッフの採用と組織化がカギ
成長期は、仕事の汎用化が求められるフェーズです。多くの顧客にスピーディーに届けるために、資金調達・人員調達が必要になります。最近ではベンチャーキャピタルやクラウドファンディングなど外部からの資金調達を実施するケースも増えていますが、それでもベンチャー企業が最も苦労するのは資金繰りです。金融機関との資金調達方法の段取りや事業全体のコスト構造の見直しなどを、緻密に設計することが求められます。
また人員調達については、創業者が担っていた業務を少しずつ専門スタッフに引き継ぐことが求められます。そのために人事担当者を採用し、彼らが各職種を採用していくことになります。
このフェーズは創業して間もないこともあり、創業者や経営陣のビジョンに共感し、同じ熱量を持って推進できる人材が求められます。採用の際には専門スキルの調達という観点だけではなく、「どのような人と一緒に働きたいか」や「どのような企業文化を創りたいか」など人事の方針を決めることが大切です。
近年は、人事の最高責任者CHO(チーフHRオフィサー)やCWO(チーフワークスタイルオフィサー)などを設けるケースも増えています。規模が小さい時期こそ、採用にこだわることが重要です。並行して、顧客の声を聞くアフターサービス部門の設立や生産ラインの拡大、販売部門の組織化など業務の組織化も進めていきます。
【安定期(10⇒100)】多様な職種が求められる
安定期に入っても、高い成長率を継続しなければすぐに衰退が始まってしまいます。そのため、創業事業に固執することなく新事業を創出したり、基幹事業のさらなる拡大や効率化を進めたりする必要があります。
安定期では、経営陣に求められる役割はさらに大きくなります。経営陣のサポートのためにも、経営管理部門の強化や新事業推進室の発足などの組織変革が求められます。
また管理部門の細分化、組織化もこのフェーズの特徴です。例えば、全社でのコスト管理から製品に特化した原価管理部門の新設や、各地域別の人事管理などが挙げられます。
安定期における人材採用の特徴として、新卒採用の開始があります。新卒採用は、強固な企業文化の構築につながります。同時に、新卒採用専任の人事や研修担当者も必要になります。
また、働き方改革の流れが加速する中で、ダイバーシティ推進の部署や勤務形態のモニタリングをする人事統括などの職種を設ける企業も増えています。
それぞれ企業フェーズにマッチした人材活用をサポートするサーキュレーションのサービス
ここまで、企業の成長ステージ別に求められる人材や機能を見てきました。とはいえ、成長ステージにマッチした人材や機能をすぐに採用することが難しい場合も多いでしょう。人材採用に課題を感じている企業の方は、外部のプロ人材の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
サーキュレーションには、企業の成長フェーズのあらゆるシーンに対応できる経験豊富なプロ人材が多数登録されています。専門コンサルタントが課題テーマを具現化し、各テーマ解決における最適な人選を実施します。成長ステージにマッチした人材活用にぜひお役立てください。
執筆者:IR
人材業界に身を置き15年。専門は企業分析と働き方マーケティング。個人のやりたい事を実現し、世の中の役に立ち、そしてお金を貰える仕事が好きで堪らないサラリーマン。