【イベントレポート】Web3×NFT×メタバース ―新規事業担当者のための注目トレンドビジネス活用と事例解説―
23,000名(※2023年10月末時点)のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月10回程度のウェビナーを開催しております。
2022/06/28回では、Web3、NFT、メタバースなどの最先端トレンドの自社活用を検討されている皆様に向けて
Web3事業を複数立ち上げるなど最先端技術活用のシリアルアントレプレナーである 小林氏に
NFTを活用した新規事業のお話も交え、Web3・NFT・メタバースの活用術をご紹介いただきました。
「Web3×NFT×メタバースなどの最先端トレンドが自社にどんな影響を与えるのかわからない」
「先端技術の活用を検討しているが、サービスと技術の結びつけ方がわからない」
こうしたお悩みを持つご担当者様はぜひご覧ください。
当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。
小林 慎和氏
株式会社bajji ファウンダーCEO ビジネス・ブレークスルー大学 ITソリューション学科長 教授
野村総合研究所で経営コンサルタント、グリーで海外事業責任者を経て独立しアジアで複数社起業。帰国後、LastRootsを起業し金融庁認可日本初の暗号資産「c0ban」立ち上げ。(株)bajjiファウンダー兼CEOとしてセルフケアアプリ”Feelyou”を開発しリリースから3ヶ月でGoogle Play ベストオブ 2020「隠れた名作部門」大賞を受賞。2022年にブロックチェーン、NFTを活用したWeb3気候テックアプリ「CAPTURE X」がMUFG ICJ ESGアクセラレーターにて日本IBM賞、東京センチュリー賞、ICJ賞の3冠を獲得。
村田 拓紀
株式会社サーキュレーション プロシェアリング本部
FLEXY部マネジャー
中古車のマーケットプレイスシェア首位の企業にて拠点責任者、営業戦略策定、メンバーの採用から育成まで幅広く従事。IT企業を経てサーキュレーションに参画。現在はIT戦略における中期ロードマップ策定、IT企画人材育成に向けた技術顧問活用プロジェクトなどDX推進に舵を切る多くの企業を支援。
酒井 あすか
イベント企画・記事編集
新卒で大手人材紹介会社に入社し、中途採用における両面マッチング型の法人・個人営業、グループ会社・地銀とのアライアンス連携業務に従事。丸の内エリアに本社を構える企業への採用支援、100名単位のグループ会社社員に対して営業企画、地銀への人材紹介事業レクチャーに携わる。サーキュレーションではプロ人材の経験知見のアセスメント業務とオンラインイベントの企画〜運営を推進。
※プロフィール情報は2022/06/28時点のものになります。
Contents
新たなビジネスモデルを生み出すWeb3.0の重要性
Web3.0関連の市場は注目度が高まり続け、年間成長率はメタバースが43%、NFTは35%といずれも世界規模の急速な成長が予測されている。Web3.0市場の新規事業は、充分な成功可能性を秘めていると言えるだろう。
実際に、ショッピングでメタバースを用いる事例は見聞きしたことがある人も多いはずだ。そのほかメタバースは販売系や技術系の業務研修などでも活用が見られる。
新技術を活用した新規事業の早期着手は、今後各企業の勝負の分かれ目となる。いかに素早くWeb3.0について情報をキャッチアップし、ビジネスモデルまで落とし込むか――今回は、そのヒントについて探っていく。
Web3.0とは何か
バズワードでもあるWeb3.0は、そもそもどのような意味合いを持つ言葉で、事業展開の上では何がポイントになるのか。まずはそんな基本的な部分から、小林氏に教えていただいた。
「Web2.0」VS「Web3.0」?既得権益を破壊するためにテクノロジーは生まれる
Web3.0は、インターネットの在り方そのものを示す大きな概念だ。「分散型インターネット」とも呼ばれ、Web1.0、Web2.0に続く「次なるインターネット」を意味する。
ホームページを閲覧するのみだったWeb1.0、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が誕生しプラットフォーマーが飛躍したWeb2.0。その次の段階として、非中央集権化やUCGの発展と所有、手続きの自律化を促すのがWeb3.0だ。
Web2.0ではGAFAをはじめとする巨大企業がWeb経済圏を独占しているが、Web3.0ではメタバースやブロックチェーン、NFT、などの技術によって、分散的で透明性の高いWeb経済圏を築く動きが生まれるとされる。これについて小林氏は、「技術的な変化と社会から求められる変化の両方が混ざっている」と述べる。
村田:例えばFacebookにユーザーが投稿しても報酬が生まれないといった文脈も含め、世の中に対するアンチテーゼとしてWeb3.0に移っているイメージがあります。
小林:テクノロジーは既得権益を壊すために発展します。GAFAの存在があまりに大きくなったため、既得権益を民主化するために新たなテクノロジーが登場しました。
村田:非中央集権化によって指揮系統がなくなると、それはそれでリスクがあるように思います。小林さんの見解はいかがですか?
小林:ピュアな非中央集権はどれだけ技術が下支えしても成立が難しく、ビジネスにもなりにくいでしょう。Web3.0にも提供者がいて、そこに参加している人たちがDAO型のコミュニティによって影響力を及ぼすことができる……という流れになるのではと考えています。
Web3.0を展開するために見つめ直すべき3つのポイント
Web3.0で注目される技術や考え方は、ここまでにも何度か登場したようにメタバース、NFT、DAOなどだ。メタバースはデジタル上の仮想世界でさまざまなコミュニケーションが可能となる技術で、NFTはIPなど著作権や知財などの唯一性を証明し、権利確保が可能な技術。DAO(分散型自立組織)は自律型のユーザーコミュニティを指し、参加者の意思決定が分散的に尊重される。
それぞれの要素はいわば「パーツ」のようなものであり。何をどう組み合わせて使うかが、事業化の鍵を握ると言えるだろう。その中で見つめ直すべきポイントは、以下の3つだ。
・ユーザーを「応援者」にできているか
・今は売り物ではないが、「売り物になるはず」のものに気付けているか
・今は対価を生む労働ではないが、実は「稼ぐことができる行動」に気付けているか
これらの要素を踏まえつつ、次の項目からは実際にどのような新規事業を展開できるのか、事例を伺った。
事例で学ぶWeb3.0の新規事業
小林氏が現在リリースしたのは、「CAPTURE X」という事業だ。コンセプトは「環境改善に貢献する設備をデジタルツインNFTにすることで、脱炭素社会を加速する」。文字通りデジタルツイン――現実世界のあらゆるデータをデジタル上で再現する仮想モデルとNFTを組み合わせた事業であり、環境をテーマにしている。
デジタルツインとNFTを活用した新規事業「CAPTURE X」が解決する課題
村田:CAPTURE Xは簡単に言えば、カーボンニュートラルの実現に貢献しながらユーザーにマイルが貯まるサービスになっているということですが、具体的にご説明いただけますか?
小林:これは先ほどご紹介した「Web3.0を展開するために見つめ直すべき3つのポイント」を全て組み込んだサービスで、Web3.0にカーボンニュートラルを結び付けました。
カーボンニュートラルの必要が迫られる中、小林氏は企業努力だけでは達成は無理だと考え、「消費者も応援する」形を発想したという。
小林:企業はカーボンニュートラルに対して血の滲むような改善をすでに実施していて、車も工場もどんどんクリーンになっています。それは株主総会などで発表されるわけですが、一般の方はあまりIR情報に触れませんよね。また、日常生活においてレジ袋を購入せずエコ活動をしても、毎日暑くて「効果がない」と感じてしまいます。
こうした課題に対して、本来は売り物ではなかった物を売り、消費者を応援者にして巻き込む形でカーボンニュートラルの実現をデザインしたいと考えました。
キーワードとなるのはカーボンニュートラルの「自分ごと化」だ。小林氏は環境改善を行う設備をCAPTURE XによってデジタルツインNFT化し、世界中にデジタル設備オーナーを増やす形でカーボンニュートラルの自分ごと化を図ったという。
環境問題を自分ごと化するCAPTURE Xのビジネスモデル
具体的なビジネスモデルは、以下のスライドにある通りだ。環境対策をしている法人は自社の稼働管理データをCAPTURE Xに提供し、CAPTURE XはNFTの購入者にクーポンを配布する。環境設備がCO2削減・回収を行えば行うほどマイレージが貯まるため、ユーザーは環境問題を自分ごと化できるという仕組みだ。
村田:「CAPTURE X」というサービス名は、このビジネスモデルのスケールを考えて名付けたとお伺いしています。
小林:そうですね。多くの方は環境対策の設備や工場といってもなかなかイメージができないと思いますが、わかりやすいのがメガソーラーです。ほかにも風力発電やCO2回収設備など、人知れず環境に貢献している設備や工場は多数存在します。
そういったさまざまな設備をCAPTURE Xの「X」に当て込んでコミュニティ化し、ユーザーと企業の距離を近付け、カーボンニュートラルを目指したいと考えています。ありとあらゆる「X」を探すため、現在もさまざまな企業とやり取り続けているところです。
Web3.0だからこそできること
これまで経営者が「売れない」と思っていた物が価値を持ち、コミュニティ形成につながるWeb3.0の世界だからこそできる要素を抜き出すと、以下のようになる。
この中でも特にパラダイムシフトを起こすと考えられるのが、「X to Earn(Xを行うことで稼ぐ)」――例えばスニーカーを購入して歩くことで稼ぐ、といった「モノ売り」から「コト売り」へのアップデートだ。このとき一つ大きな要素となるのが、「株式」の存在だという。
村田:Web3.0のX to Earnによって、これまでは投資家しか手に入れられなかった「創業期の株式」も保有できるようになるのが真のパラダイムシフトだとお伺いしています。これはどういうことですか?
小林:日本は規制があってやりにくい部分ではあるのですが、トークンは金銭的価値を持つため売買が可能で、サービスに付与できます。さらに1トークンの価値は、サービスが広まれば値上がりの可能性があります。例えばGoogleが検索サービスを始めた当初に1回の検索あたり1トークンを株式のようにもらえていれば、Googleのおかげで裕福になれる人が大勢いたかもしれません。
だからCAPTURE XやそのほかのWeb3.0関係のプロダクトも、初期段階でトークンを配るんです。サービスを使う、コミュニティで発信する、ジョギングをする……。行動一つひとつに対してトークンを配り、大事に育てて価値を持たせ、世界中で取引できるようにする。そのトークンは、ブロックチェーンやNFTによって保有を証明できる。そういった形で、今後ビジネスが進んでいくでしょう。
Web3.0×NFT×メタバースまとめ
今回のウェビナーのポイントを「すぐに取り組んでいただきたいこと」として以下のようにまとめた。
今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。Web3.0×NFT×メタバースにご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。