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仙台に根付く創業110年の印刷会社がSNSマーケティング事業に挑戦!〜プロ人材と共に「泥臭く」変革を起こす〜

新規事業開発
仙台に根付く創業110年の印刷会社がSNSマーケティング事業に挑戦!〜プロ人材と共に「泥臭く」変革を起こす〜

100年を超える老舗企業の今野印刷株式会社。長い歴史の中で蓄積した活版印刷の技術やコンテンツ制作能力の高さを活かしながら地元仙台の企業に寄り添う一方、海外への事業展開など積極的な挑戦も続けていた。 今回新たなプロジェクトとして持ち上がったのが、データベースマーケティングとSNSマーケティング事業。ノウハウが無い中でプロ人材の支援を求め、仙台市とサーキュレーションが運営する「外部のプロ人材による新規事業創出プログラム」に応募するに至った。 プロ人材の採用に関しては過去に失敗経験も持つ同社の代表取締役 橋浦 隆一氏が「最高の巡り会いだった」と語る今回のプログラム。果たして成功の決め手は何だったのか、詳しく伺った。

地域の特性としてマーケティング分野に弱点を持っていた

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当社はDMの企画・展開を得意とする印刷会社ですが、Webに関してはホームページの作成やアクセス解析、SEO対策などを行っていて、取材やライティングも行えるのでコンテンツを作る力は強いと自負していました。ただ、もともと仙台ではデータベースに基づいてターゲットを絞るといったマーケティングの考え方が浸透しておらず、当社もマーケティングには弱みを感じていました。人口が限られているということもあって、DMも全戸配布してしまう傾向があるほどです。しかし、印刷業界は今後どんどん変化していきます。これまでと同じように顧客を訪れて「DMを刷りませんか」という営業だけではもう通用しません。ある程度セグメンテーションを行って、お客様の背景や属性を意識したリードの創出を行っていく必要性が出てくると考え、データベースマーケティングとSNSマーケティングのニ本柱を新規事業として立ち上げることになりました。

「プロ人材は隠しスパイス」の考えに共感し、満場一致で採用を決定

「外部プロ人材による新規事業創出プログラム」に参加したのは、仙台市の事業としてSNSマーケティング事業を開始することへのインパクトを期待したのと、プロ人材の選定にあたってサーキュレーションさんが間に入ってくれるという点も大きかったです。 これまでも当社でプロ人材を活用した実績はありましたが、その中で苦い経験もしました。一度人材派遣会社から紹介されたプロ人材の方にサポートに入ってはもらったものの、全く成果を上げられなかったのです。1年間の雇用契約を結んでいたので、コストだけがかかってしまいました。

その点、サーキュレーションさん経由なら多くのプロジェクトを手掛けた経験から適切なプロ人材を選定できるという点に安心感がありました。 プロ人材に何より期待していたのは「一緒に汗をかいてくれるかどうか」です。どんな大企業に務めた経歴があっても、実力がなかったり、やり方だけ提案して自分は動かないといった事態は避けたかったからです。

面談は計3名と行ったのですが、その点で一番マッチしたのが支援に入っていただいた近藤英倫さんでした。 近藤さんの面談時に印象的だったのが「今野印刷さんは十分美味しい料理を作れる。そこに隠しスパイスを加えるともっと美味しくなる」という言葉です。近藤さんは専門家がスパイスの役割を果たすものだと考えていて、私がプロ人材に期待しているベクトルや役割と非常にマッチしていると感じましたね。その場にいたサーキュレーションの担当者の方や仙台市の担当者の方も満場一致で支援をお願いすることにしました。

泥臭く一緒に汗をかきながら併走してくれる理想の巡り合わせに満足

私は今回のプログラムで、着実に成果を上げることを目標としていました。新規事業の立ち上げということで大きな夢を追いかける方向性ももちろんあったのですが、とにかく泥臭く進めようとしていたのです。その点を近藤さんにはよく理解いただけていて、キックオフのときから「泥臭くいこう」がお互いの合い言葉になっています。

事業に対するスタンスだけでなく、能力面も申し分ありません。近藤さんはデータマーケティング分野の経験値が豊富で、ネットワークも非常に広い方です。何か知りたいことがあったときにどこの情報にアクセスすればいいのか、誰に聞けばいいのか、すぐに答えが返ってくるのは非常に心強いです。 専門家だからと言って偉そうにすることも全くありませんし、お互いが対等なパートナーとして業務を進められていると思います。最高の巡り合わせでしたね。

サーキュレーション登録プロフェッショナル 近藤 英倫 氏

大学卒業後、大手メーカーにて水中音響センサーの開発に従事。退職後、海外でMBAを取得。その後、コンサルティング会社に勤務し、さらに、カルチュア・コンビニエンス・クラブにてビッグデータ関連のコンサルティング営業を行なった後に独立。

マーケティングの有用性を示し、着実に実績を積み上げる

実務については新規事業担当者が窓口となり、近藤さんと日々の打ち合わせを進めています。成果も着実に出ていて、データベースマーケティングに基づくDM企画の提案に加え、大規模なイベントやスポーツ関係、インフラ系などでホームページ制作やSNS施策の受注も実現しています。 新規事業に関する議論が深まったタイミングで当社の営業担当を全員集めて、近藤さんにプレゼンもしてもらいました。データベースマーケティングとはどういうものなのか、SNSマーケティングはどんな仕組みで行い、何に注意すれば効果が出やすいのかといった内容です。というのも、当社を利用しているお客様はチラシやカタログ、会報誌といった形で何らかの発信をしているので、いずれWebやSNSを使った仕組みが必要になると考えているからです。企業のみならず、昔からあるようなカルチャー教室や学校、役所に至るまで、すべてのクライアントにとって我々の新しいソリューションが有効なのです。営業担当にもこの内容はかなり響いたようで、プレゼン後は近藤さんに「もっと詳しく教えてほしい」と質問する人もいました。

媒体にこだわらず、本当に有用な提案ができる印刷会社へ

img左:今野印刷株式会社 代表取締役 橋浦 隆一氏 右:支援したプロ人材 近藤 英倫 氏

会社として今目指しているのは、新規事業のノウハウを社内でしっかり蓄積していくことです。ただ単にSNSを運用するのではなく、データベースマーケティングの視点でWebをどうしていくのか、アクセス解析はどうなのか、リスティング広告を打つべきなのか、SNSを加えるのかどうかといった戦略から提案できるようになればと思います。我々は印刷業ですからもちろん紙媒体が得意ですが、どの媒体でも勝負できるようにするのが究極的な目標ですね。

最もマーケティングの効果が上がるのは、Webと紙を両方上手く使うケースですから。 今後、さらに媒体の形が変わったとしても、人がモノを売りたい、人を集めたいという欲求がなくなることはありません。自分たちの仕事を「印刷まで」と線引きさえしなければ、写真やテキストがあって、それを広めるという目的は変わらないのです。当社はガラケーの時代からインターネットコンテンツの提供も行っていますし、将来的に新しい端末やメディアが登場したとしても、我々に合った形で効果的に採り入れていくと思います。

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