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【イベントレポート】NFTビジネス徹底解剖 ―日本文化の発展にNFTの力で挑む実践者に聞く、NFTがもたらすビジネスの可能性とは―

ブロックチェーン

23,000名(※2023年10月末時点)のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリングサービスを運営する当社では、毎月10回程度のウェビナーを開催しております。

2022/09/07回では、NFTについて興味があるもののよく分かっていないと感じられている皆様に向けて
NFTビジネスを最前線で実践してきたプロフェッショナル 藤野氏に
NFTとは何か?からNFTがもたらすビジネスの可能性まで実例を交えて解説いただきました。
「既存事業にブロックチェーン技術を活用したいが見極め方がわからない」
「ブロックチェーンを活用した新規事業立ち上げを考えているが、社内に知見がない」
こうしたお悩みを持つご担当者様はぜひご覧ください。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

藤野 周作氏

藤野 周作氏

株式会社ORADA・株式会社JPYX 代表取締役CEO、株式会社coinbook COO
ファミリーマートでは法務として商標法/景表法違反防止策検討等に従事、ampm合併時は法務/決済の業務統合を推進。ビットキャッシュにてガバナンス再構築後、世界三大仮想通貨取引所の1つオーケー・コインの日本法人COOに就任、暗号資産交換業者としての登録〜ブロックチェーンを活用したサービスの開発運用を遂行。資金決済法に関する事業開発のプロ。2021年、NFTマーケットプレイス開発運営のため㈱ORADAを、日本円ステーブルコイン発行管理のため㈱JPYXを設立。大手〜スタートアップまで幅広い企業へブロックチェーン活用の新規事業開発を支援中。

村田 拓紀氏

村田 拓紀

株式会社サーキュレーション プロシェアリング本部
FLEXY部マネジャー

中古車のマーケットプレイスシェア首位の企業にて拠点責任者、営業戦略策定、メンバーの採用から育成まで幅広く従事。IT企業を経てサーキュレーションに参画。現在はIT戦略における中期ロードマップ策定、IT企画人材育成に向けた技術顧問活用プロジェクトなどDX推進に舵を切る多くの企業を支援。

網田 悠希

網田 悠希

イベント企画・記事編集
新卒で鉄道系デベロッパーに入社。ショッピングセンターにおける販売促進やテナント誘致に従事後、開業50年を迎える施設の大規模改装プロジェクトでは社内外関係者を巻き込み推進。組織力向上に関心を持ち、全社員対象の周年プロジェクトにも中心メンバーとして参画、複数企画の立案〜実行に携わる。サーキュレーションではプロ人材の経験知見のアセスメント業務とオンラインイベントの企画〜運営を推進。

※プロフィール情報は2022/09/07時点のものになります。

急拡大するNFT市場に対してビジネスモデルはまだまだ未成熟

NFT市場規模の拡大は著しい。世界のNFT市場トレンド予測によると、2022年現在では約30.5億ドルの規模だが、2027年までには約136.8億ドルにまで成長すると見込まれている。年平均成長率で換算すると、実に35%という驚異的な数字だ。

一方で、日本国内のNFT市場はまだまだ成熟しているとは言い難い。NFTが持つビジネスの可能性について、多くの企業は検討段階にあると言っていいだろう。

NFTがもたらすビジネスの可能性とは

今回ご登壇いただいた藤野氏はいち早くNFTのマーケットに注目し、実際に事業の運営も行っている。その経験と知識を基にしながら、NFTにはどんな特徴があり、どんなビジネスモデルが成り立つのか、詳しく説明していただいた。

NFTの5つの特徴

まず、NFTの持つ特徴を5つにまとめると以下のようになる。

「唯一性」や「取引可能性」などについては比較的ポテンシャルが想像しやすいが、そのほか耳慣れないワードも登場している。一つひとつ解説していただいた。

[特徴1]唯一性

藤野:デジタルデータはこれまで容易にコピーができましたが、NFTはデジタルデータにシリアルナンバーを振り、唯一無二のものだと証明できます。資産化が可能になったということですね。
例えば枚数限定のトレーディングカードがあった場合、NFTで1000枚限定の希少性や唯一性を保証できれば、チート行為などで複製はできません。また、ブロックチェーンでつながった複数のプラットフォーム上でも唯一性を証明できるため、メタバース空間のゲーム内でアイテムを交換するといったことも技術的に可能です。

[特徴2]取引可能性

村田:「取引可能性」は特に注目されている部分だと思いますが、どのような特徴なのでしょうか。

藤野:これトークン全体の特徴でもあります。オーナーシップがブロックチェーン上に記載されることになりますから、自分で自由に取引、移転が可能です。国境も関係ありません。例えば自分が使っている仮想通貨ウォレットがMetaMaskで移転先は異なるウォレットだったとしても、同じ規格であれば自由な取引空間が実現されています。

[特徴3・4]規格化・相互運用性

藤野:「規格化」は「相互運用性」に絡んだ概念です。現在NFTは標準化が進んでいるため、相互運用性が担保されているということですね。
世の中に出回っているNFTは発行された時点でさまざまなマーケットやウォレットの中で確認・運用ができますが、これは共通の規格が定められているからです。規格が同じなら、例えば当社が発行したNFTを別の場所でも利用可能になりますから、面白いポイントだと思います。

[特徴5]プログラマビリティ

村田:最後が、意外と見落としがちな「プログラマビリティ」ですね。

藤野:NFTは、一次流通だけではなく二次流通でも作り手に報酬が入るような仕組みを運用できます。例えば絵画を画廊から購入して、別の人に転売するとしますよね。このとき、NFTのプログラムで「転売時に作り手に自動的に報酬が入るようにする」といった設定ができるわけです。著作権を管理する中間団体は不要で、管理コストも発生しません。

実際にNFTを活用したビジネスモデルの実例3選

実際にNFTを活用したビジネスモデルについて、ここでは簡単に3つ紹介していただいた。

1つ目は有名なデジタルアート作品の事例で、大手オークションハウスが約75億円で落札したことが大きな話題になった。以降、アート×NFTはNFTを語る上では外せない分野になっている。

藤野:2つ目の「記憶」は、少し面白い事例です。「イコーランドNFT」といわれるもので、ブランドの製造に関わる方々の署名をしたタグをNFT化しました。生産工程全てにトレーサビリティを持たせ、購入者に提供するのです。
自分の購入した服の素材がどこで生産され、どんな事業者に渡ってどのように織り上げられ、どんな物流業者の手によって移動してきて小売店で販売されたものなのか、全て年月日で確認できます。

もう一つのNBA Top Shotも有名な事例だ。人気スポーツ選手のプレイ動画をNFT化し、マーケット上で自由に取引できるようになっている。

藤野:これまでトレカを集めていた人たちが、世界中の人と交換し合えるようになったのが新しい点ですね。

<事例で学ぶ>日本文化のNFT化とサービス提供のポイント

アートや記憶、トレカなど、NFTと相性が良いとされるマーケットを認識している人自体は少なくないだろう。とはいえ、NFTビジネスはただ単にマーケットを踏襲すれば良いというものではない。実際にNFTを立ち上げる上では、ユーザーがそのNFTに本当に価値を感じてくれるかどうかが非常に重要になる。
「誰かにとっての新しい価値」を探し出すのは容易ではない上に、NFTビジネスの立ち上げにはそのほかにも重要な検討項目がいくつも存在する。それらのポイントに加え、藤野氏自身が手掛ける実例についても詳しく解説していただいた。

NFTビジネスにおける重要な検討項目

NFTビジネスを立ち上げる上で必ず直面するのが、第一にブロックチェーンの選択だ。「自分たちが扱う商材やサービスに合わせて検討する必要がある」と藤野氏。特に、ガス代や開発難易度は直接的なコストに関わるため、非常に重要だといえる。

藤野:またウォレットの選択は、クローズド・オープンどちらでNFTをやりたいのかが絡んできます。海外は基本的にオープンなプラットフォームを作り込んでいますが、日本はクローズドなウォレットを利用しているケースもありますね。指定されたウォレット内でしか取引できないということです。ここは最初の時点で考えておきましょう。
また、現在の日本の民法ではデジタルデータの所有権が保証されていないため、利用規約も整備しなければいけません。弁護士任せにするのではなく、ユーザーへの伝え方をある程度事業側で考えたほうが良いでしょう。

村田:スライドにある「現物NFTの準備」というのは、何が大切なんですか?

藤野:例えばアートであれば、アート作品そのものとNFTの鑑定書が一対のものであると証明する必要があります。NFTでなくとも、鑑定書が偽物だったり、鑑定書は本物でもアートが偽物だったりということはありますよね。ここを解決しなければなりません。
当社の場合は、スマートフォンで読み取れるICチップを現物に貼り付ける、ICチップをカードとしてお渡しするといった形で、一体化に取り組んでいます。貼り付けたチップは、剥がすと読み込めなくなる仕様です。
ただ、絵画の裏に直接チップを貼るのは難しく、現実的には額縁に貼る形になります。ここはアーティストや画商の方々と話し合って折り合いをつけましょう。

日本文化をNFT化するビジネスとは

実際に藤野氏が運営しているのは、日本文化に特化したNFTビジネスだ。芸能や技能、料理、楽器など、さまざまな日本文化にまつわるジャンルをNFT化してマーケットプレイス「ORADA」上で販売し、グローバルに展開している。
例えば書道家や工芸家、位牌作家、浮世絵作家、講談師などの制作した画像や現物、音声、動画がNFT化の対象だ。

藤野:日本には、さほど目立たない領域であっても非常に面白い取り組みをしているアーティストの方々がたくさんいらっしゃいます。その文化的取り組みを記録し、後世に残そうとする方も多い。現物取引は継続して行うとして、我々は日本文化に興味があり、継続に力添えをしたい方に対して商品を提供しようと考えました。
例えば寺社仏閣の保守修繕動画をブロックチェーンでNFT化し、後世に残すのは、売上以上の価値があると考えています。こういう形であれば海外の方にも受け入れられやすく、グローバルで戦えると思っています。

NFTビジネス徹底解剖まとめ

今回のウェビナーのポイントを「最初に検討していただきたいこと」としてまとめると以下のようになる。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。NFTビジネス徹底解剖にご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
NFTビジネス徹底解剖 ―日本文化の発展にNFTの力で挑む実践者に聞く、NFTがもたらすビジネスの可能性とは―
本ホワイトペーパーは、2022年9月7日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。NFTについて興味があるもののよく分かっていないと感じられている皆様に向けてNFTとは何か?からNFTがもたらすビジネスの可能性まで実例を交えてご紹介しております。