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【イベントレポート】大手企業×D2Cブランド ―ファンケルグループのD2C立ち上げを支えたプロが語る、成功事例で学ぶ3つの成功ポイント―

D2C・EC強化

新規事業としてD2Cに取り組んでいるものの、既存事業との整合性が取れずリリースに至らない……。特に大手BtoC企業の経営者、新規事業開発責任者の方々は、このような壁に頭を抱えているのではないでしょうか。また、D2Cという新規領域において注力すべきポイントがわからないケースも多いかと思います。

そこで、D2C事業成功の秘訣をお届けすべくウェビナーを先日開催。講師には数々のD2C支援を手掛ける株式会社SUPER STUDIOのCROをお招きし、実践から学んだ成功のポイントについて伺いました。

当日参加できなかった方、もう一度内容を振り返りたい方のために内容をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

真野 勉氏

真野 勉氏

株式会社SUPER STUDIO 取締役CRO
学生時代からITベンチャー企業にインターンとして入社し、新規事業の営業に従事。同社の急成長に貢献し、東証マザーズへの株式上場を機に退職。2014年12月24日に株式会社SUPER STUDIOを代表林氏・花岡氏と共に共同創業。自社サービスである「ecforce」を広告宣伝なしで100ショップ導入実現の立役者である傍ら、採用人事として5年間で組織を100名程度まで拡大。現在は大手クライアント開拓などの営業と並行し、取締役CROとして企業間アライアンスをリードしている。

樋口 達也氏

樋口 達也

株式会社サーキュレーション プロシェアリング本部マネジャー
金融コンサルティング企業を経て、サーキュレーションへ入社。製造業界を担当するセクションの責任者を務め、自らもB2Cのコマース領域を中心にプロシェアリングコンサルタントとして、100件以上のプロジェクトを担当。特に、(株)ユーグレナグループのD2C企業への支援では、経営者の戦略パートナーとして、社員ゼロ30名全員が業務委託のプロ人材という革新的な経営スタイルの実現に貢献。

板垣 和水

板垣 和水

イベント企画・記事編集
慶應義塾大学在籍中にITベンチャーでのインターンに2年間従事。オウンドメディアのSEOやチームマネジメント、100本以上の記事ディレクション/ライティングに携わる。卒業後サーキュレーションに入社し、プロ人材の経験知見のアセスメント業務とコンテンツマーケターとしてオンラインイベントの企画〜運営を推進。

※プロフィール情報は2022/02/02時点のものになります。

D2C市場の成長に反して伸び悩む日本の大手企業の現状

現在、日本のD2C及びEC市場は著しい成長を見せている。特にコロナの影響により巣ごもり需要が発生し、2020年には2019年比で市場規模が20%以上も拡大。12兆円以上の巨大な市場となっている。

実際にD2Cの成功事例も数多く登場しており、目立つところではメンズコスメブランドのBULK HOMME(バルクオム)がコロナ禍で売上を200%伸長しているほか、例えば食品関係ではおやつの定期便snaq.meや完全栄養食のBASE FOOD、パーソナルフードのGREEN SPOONなどが著名だ。BASE FOODについては現在コンビニ展開も行っており、D2Cを足がかりとした新たな展開も見られる。
上記に挙げたような数々のD2Cブランドは、全てスタートアップ企業である点に注目したい。D2C市場が盛り上がりを見せる中で、なぜ大企業はなかなか躍進できないのか。講師である真野氏に、実際に大手企業の事例を通して見えてくる成功・失敗のポイントを教えていただいた。

大手D2C事業の裏側とは?

自社で培ったノウハウを基にD2C立ち上げを支援するSUPER STUDIO

最初に、真野氏がCROを務める株式会社SUPER STUDIOについて簡単に解説したい。同社は法人向けECカートシステム「ecforce」の開発・提供や、D2C事業の立ち上げ・運営を支援する「ecforce teams」というコンサルティング&オペレーティングサービスを提供している企業だ。その一方、自社のD2Cブランドをいくつも展開しているのが特徴で、猫の健康管理ができる猫砂、マヨネーズ、ホームケア用品、子供向け睡眠サポート機器、白スニーカーのサブスクリプションなど、ユニークかつエッジの効いた切り口で製品開発及び販売を行っている。
もともと自社でEC・メーカー事業を手掛けており、支援サービスは後発だったという背景はあるが、「自分たちでD2Cをやったほうが最新の情報に日々触れることができ、システムのブラッシュアップに活かせる」と真野氏は語る。

【成功事例】ファンケル子会社ネオエフのD2Cブランド「BRANCHIC」

SUPER STUDIOが自社で培ったノウハウを活かして手掛けた事例の一つが、ファンケルの子会社であるネオエフのD2Cブランド「BRANCHIC(ブランシック)」だ。

もともとファンケルにはD2Cブランド立ち上げのニーズがあり、D2Cに特化した子会社が設立された。ネオエフはこれまでファンケルでは未開拓だった、高価格帯のプレステージブランドの製品をリリースした形だ。
SUPER STUDIOが携わったのは、商品の定期販売システム構築からWebサイトのリリースまで。依頼からわずか半年でブランドのローンチが実現した。
本事例が特徴的だったのは、母体であるファンケルグループのスタイルとは異なり、外部リソースを積極的に活用した点だ。ecforceを導入したほか、代理店を変更してコスト削減を図るなど、スピード感を持ってD2Cを展開するためにさまざまな工夫を行っている。
ファンケルグループには独自の通販システムが存在したが、その環境下で新たにECサイトを立ち上げると高額な投資が必要になってしまうため、ファンケルとは切り離した形で制作に至ったのだ。

大手企業のD2Cブランド立ち上げにおいてよくある落とし穴

では実際に大手企業がD2Cブランドを立ち上げる際には、どのような点に気を付けるべきなのか。ここでは失敗する3つの要因について簡単に教えていただいた。

代理店・コンサルの言いなりになってしまう

真野:ありがちなのは、代理店に丸投げになる状態です。しかし、D2Cのような新しい市場や手法において機動力を発揮するには、やはり内容の深い理解が必要なケースがほとんど。特に専門領域などの場合は、企業の担当者がしっかり解像度を高めていく必要があります。

樋口:若手担当者の方で、気概やスタンスはあるけれど知識が追いついていないケースもあると思います。

真野:手前味噌ですが、そういうときこそ我々にご相談いただきたいですね。やはり最先端の事例を知っている人から、しっかり情報収集をするというのが大事です。やる気があればスピードは上げられますし、インプットとアウトプットのバランスを取れば問題ないと思います。
ネオエフさんの担当者の方も、もともとは全く知識がない状態でした。そこからかなり勉強されて解像度高く事業推進をしていただいたので、我々としてもやりやすかったです。

D2Cをやることが目的になってしまう

真野:2つ目もありがちですね。お客様に直販で届けることに盲目になりすぎてしまい、「それ以外はやらない」というのは、少し違います。勝手にD2Cの概念を自分で変えてしまうと、誤った方向に進んでしまうのではないでしょうか。

樋口:こだわりが強すぎるとスタンスも失ってしまいかねないんですね。

真野:海外のD2Cブランドの事例を見るとキラキラして見えてしまうのですが、実際のD2Cは非常に泥臭いです。成功している企業にならって一度固定概念を壊し、柔軟な対応をするのがいいのではないでしょうか。

樋口:BULK HOMMEさんも商品を小売など一般流通にも出されていますし、別の手法と組み合わせながら市場を大きくしていく動きは多くの企業が取っていますね。

真野:D2Cの良さはWeb広告などデジタルを活用して掛け算ができる部分が大きいので、棚の売上がデジタル方向にも寄与するということがデータとして見えてくると、多方向で販売する意味が見えてきそうです。

海外のD2Cブランドを参考にしすぎてしまう

真野:3つ目もよくあるのですが、それこそ日本よりも海外の事例のほうが綺麗に見えてしまうんですよね。AllbirdsやCasperなど上場する企業も増えているのですが、それを見習いすぎても日本の商習慣に合わない部分が多いです。文化などを見誤ると急に売れない状態が続くこともあるので、調査が必要です。

樋口:逆に日本でもロングセラー商品は多いですよね。

真野:カスタマーサクセスが秀でている企業も多いです。コールセンターの方々の声なんかを聞くと、すごく勉強になると思います。

大手企業がD2C立ち上げを成功させる3つのポイント

失敗する要因を受けて、今回は成功させるポイントについても3つ伺った。大切なのはコスト構造を理解すること、顧客獲得&LTV戦略の解像度を上げること、そしてペルソナは変わると認識することだという。

[Point.1]コスト構造を理解する

樋口:先ほどD2Cはかなり泥臭いというお話がありましたが、初期は以下にあるようなコスト構造の細かい部分まで設計することが大事なのでしょうか?

真野:コストの全体像を頭の中で理解できているかどうかは重要ですね。D2Cは総合格闘技であり泥臭いということが、このスライドに表れています。プロダクトを作った後にやらなければならないことを整理した上で、どのように進捗すれば商品を運用できるのかを調整。それぞれにかかるコストをしっかり算出して、相場に合っているのかを定点観測するのが大事です。

[Point.2]顧客獲得&LTV戦略の解像度を上げる

2つ目のポイントは、顧客獲得&LTV戦略について。集客・接客・フォローにおける考え方やKPI、その達成手段などは、早期構築が必須だという。「最初に設計して常にチューニングするPDCAのスピードが、事業拡大においてレバレッジが効いてくるポイント」と真野氏は語る。
その中で顧客の高継続率を生むために必要な取り組みを、以下のように挙げていただいた。

樋口:上記のような取り組みのいずれかのポイントが押さえられていないと、高継続されない、ファンが作れないといった状態になるんですね。

真野:そうですね。ブランディングだけ、広告だけに寄っていてはいけません。バランスが難しいところですが、先駆者であるBULK HOMMEさんは、このあたりを非常に上手く取り組まれているかと思います。CMを出すタイミングや、そこからの引き上げも巧みですね。

[Point.3]ペルソナは変わると認識する

樋口:3つ目のポイントが「ペルソナは変わると認識する」ということですが、従来型のマーケティングではペルソナの生い立ちから家の中で使っている家具まで、非常に細かく設定している企業もあるかと思います。ここではどの程度の粒度のペルソナを設定しておけばいいのでしょうか?

真野:特にD2Cだと、商品がローンチした後にペルソナが変わっていくケースは多いと思っているので、決めすぎないほうが精神的にも含めてやりやすいのではないかと思っています。

真野氏はペルソナ設定について、コンセプトテスト後にペルソナを設定し、それをさらにブラッシュアップして確定させていく以下のようなステップを提示している。

真野:最初にクラウドファンディングを行い、その中で見えてくるファン層からペルソナ設計をしていく企業も多いですね。

大手企業×D2Cブランドまとめ

今回のウェビナーのポイントを、「すぐに取り組んでいただきたいこと」として以下の3つのポイントにまとめた。

今回ご紹介したウェビナーで使用した資料は、未公開部分も含め以下のリンクからDLできます。大手企業×D2Cブランドにご興味を持たれた方は、ぜひご活用ください。

【無料ホワイトペーパー】
大手企業×D2Cブランド ―ファンケルグループのD2C立ち上げを支えたプロが語る、成功事例で学ぶ3つの成功ポイント―
本ホワイトペーパーは、2022年2月2日に開催したウェビナー資料のダイジェスト版となります。D2C事業に壁を感じ頭を抱える、大手BtoC企業の経営者、新規事業開発責任者の皆様に向けて、ファンケルグループの新ブランド立ち上げ事例を元に、D2C事業成功の秘訣についてご紹介しております。