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人材育成・人材開発
2019年11月28日

1on1とは?~ 部下の成長を即す新たなコーチングの形

1on1とは?~ 部下の成長を即す新たなコーチングの形

1on1(ワン・オン・ワン)という上司と部下の面談形式があります。ヤフー・ジャパンが行っていることで注目を集め、採用する日本企業も増えています。

1on1とはどのような面談なのでしょうか、そして多くの企業で従来から行われている業績面談とはどう違うのでしょうか?

この記事では注目を集める1on1とは何か、メリット・デメリットは何かを説明し、1on1を効果的に実施するためのポイントをご紹介します。

1on1とは?

1on1という、上司から部下へのコーチング手法への注目が高まっています。メディアなどで、大手IT企業であるヤフー・ジャパンが導入していると報じられ、採用する日本企業も増えているようです。1on1とは、どのようなミーティングなのでしょうか?

上司と部下が1対1で定期的に実施するミーティング

1on1は上司と部下が、文字通り「1対1」で実施するミーティングです。できる限り会議室などで、フェース・トゥ・フェースで実施します。部下の勤務地が遠隔地であるような場合、ビデオ通話などを利用することもありますが、電話やチャットではなく顔の見える形で行うことが基本です。

ミーティングの目的は、部下の目標達成や成長を上司が支援することで、一般的に行われている具体的な業務事項に関する進捗確認や指示を行うミーティングとは異なります。部下の成長のためのミーティングですので、テーマ設定などミーティングのイニシアチブを握るのはどちらかと言えば部下になります。

1on1の実施例~ヤフー・ジャパン~

日本で1on1を実施している企業として有名なのは、ヤフー・ジャパンです。ヤフー・ジャパンでは2012年から全社で1on1を実施しており、対象社員は6,000人という大きな規模になります。

ヤフー・ジャパンでは上司と部下が、週1回30分の1on1ミーティングを行っています。この面談は「部下のための時間」と定義づけられていて、部下の成長を促進することを目的にしています。

ミーティングは基本的に部下が自分の考えを話したり、困っていることなどを説明したりするなど部下主導で進められ、上司は部下の問題解決や成長サポート役を担います。会社は1on1を効果的なものをするために、部下からの話の聞き方やフィードバックの仕方といったコーチング研修を上司に対して実施しています。

6,000人を対象に毎週実施するのですから、人によっては週の業務時間の半分くらいを1on1に使うといったことも起きます。しかしヤフー・ジャパンではそうした一見非効率に見える時間を使っても、社員の成長による会社としてのメリットを重視しています。

従来の業績面談との違い

上司と部下が定期的に面談をするという制度は、多くの日本企業にも業績面談という形で存在しています。しかし1on1と日本企業の伝統的な業績面談には、以下のような違いがあります。

実施頻度の違い

まず、実施頻度が異なります。業績面談は通常、半期毎(年2回)や年1回実施されますが、1on1の頻度はそれよりかなり高くなります。前述のヤフー・ジャパンの1on1は週1回でしたが、そこまではいかなくても、多くの1on1実施企業では、隔週とか月1回といった頻度でミーティングが実施されています。

面談のテーマ・内容の違い

次に面談のテーマや内容です。業績面談は文字通り業績に関する面談です。そこでは部下の業務実績評価のフィードバックや異動希望や家庭の事情など、人事関連の定型的確認事項がテーマの中心です。一方、1on1では部下の成長支援のために、部下が抱えている問題の共有や、解決策についてのアドバイスなどを目的にします。

イニシアチブの所在の違い

こうした面談目的を反映して、1on1のイニシアチブを取るのは部下です。ミーティングのテーマを設定したり、複数テーマの間の優先順位を決めたりして、ミーティングをリードするのは原則として部下の役割です。

上司はそうした部下のニーズを聞きながら、部下の状況を把握したり、必要なアドバイスを与えたりします。上司には部下がイニシアチブを取るなかでも、必要な情報を把握し適格なアドバイスを与えられるスキルが求められるので、その意味では、上司にとってチャレンジングなミーティングです。

「アフター5の相談」との違い

伝統的な日本企業で、上司が部下の悩みを聞いたり、仕事のアドバイスをしたりする場としてはもうひとつ、「アフター5の相談」(もしくは「飲みニケーション」)があります。

形式的で、上から下への伝達の場になりがちな業績面談よりは、部下の本音を上司に届けるチャンスになりやすいかもしれません。しかし1on1はこうした非公式な面談とも、もちろん性格が異なります。

まずアフター5の相談はあくまで非公式なもので、対象者も一部の部下に留まることが多くあります。また、頻度も決まっている訳ではなく、「思い立った時」「上司が気付いた時」になりがちです。

1on1が注目される背景は?

なぜ今、1on1に注目が集まっているのでしょうか?その背景には日本企業を取り巻くさまざまな環境の変化があります。以下ではそうした環境変化をご説明します。

職場の価値観の多様化

現代は、人々の価値観が多様化している時代と言われます。こうした世相を受けて、職場における価値観も多様化し、仕事に対する考え方や取り組み姿勢もさまざまです。昔の日本企業のように、みんなが仕事再優先で進む訳ではありません。職場内で意見や情報共有を頻度高く行わないと、仕事の進み方にギャップが発生するなどの問題が発生するリスクが高くなっています。

さらに、誰もが新卒で入社してその企業のカルチャーにどっぷり染まって育った昔と違い、転職が一般化した現在では、職場にさまざまな企業カルチャーが混在しています。仕事の進め方や、個人のキャリアプランの立て方、自分の成長に対するスタンスなどについて、上司と部下の間にギャップが生じるのはむしろ普通のことと言えます。こうしたギャップを埋めるためにも、上司と部下の間の十分な意思疎通を確保する必要が高まっています。

働き方の多様化

「働き方改革」は現在のビジネスを語る際の重要なキーワードになりました。働く女性や高齢者の増加、非正規雇用社員の増加などもあって、職場における社員の働き方も多様です。職場では、フレックスタイム制や時短勤務といった多様な働く時間や、リモートワーク、サテライトオフィスのような多様な働く場所が存在しています。

こうした中では、上司と部下が直接接する時間が減ることは必然です。また、上司が部下の働きぶりを観察して状況を把握することも困難になります。従って、1on1のような場を定期的に設けることが必要になるのです。

年功序列の衰退

かつて日本企業では年功序列の人事制度の下、年上の上司が年下の上司を公私ともに指導するという風景が普通のことでした。しかし、能力主義が拡大して日本企業でも年功序列制度は衰退しています。さらに転職の一般化もあって、上司と部下の年齢が逆転するというケースも普通になりつつあります。

こうした中では、かつてのような年上の上司がアフター5なども含めて部下の相談にのるといった構図は、自然体では成立しにくくなります。制度として、上司が部下としっかりとコミュニケーションをとる機会を設ける必要性が高まっているのです。

仕事の専門性の高まり

現代の職場は、コンピューターを使った作業が増えたり、技術の進化でやり方が変わっている仕事があったりと、仕事の専門性が高まっています。同じ職場にいる上司と部下でも、ある専門的分野については部下の方が上司よりスキルが高いといったことが起きています。

こうした環境では、上司が部下の仕事の内容や進め方の良否を、傍から見ているだけで完全に理解することは困難です。1on1のような形で頻度高くすり合わせをすることは、上司と部下の間で仕事に関する認識をすり合わせるためにも役に立ちます。

1on1を導入する際に決めておくことは?

1on1を導入しようと思い立っても、何の準備もなく導入したのでは当然ながら上手くいきません。単純に現状の業績面談を頻度高くやれば良いというものではなく、事前に検討しておくべきことも多くあります。特に、1on1の対象範囲(社員の階層)、実施頻度、上司への教育方針については、事前に十分な検討を行う必要があります。

1on1の対象範囲(社員の階層)

まず、1on1の実施対象は社員のどの階層までとするかを決めます。極端な例を言えば、社長と取締役の間でも上司と部下として1on1を実施することも可能です。そこまで極端でなくても、部長と担当役員、課長と部長といったレベルで1on1を実施するのかを決めておきます。

対象範囲が広いほど社内の意思疎通が進み、社員への成長を促進するというメリットがあります。しかし当然ながら対象範囲が広いほど、1on1に費やされる全社としての時間・労力は大きくなるので、会社にとってのコストも大きくなります。自社の社員の状況(階層別の人数や、役割分担など)を考慮して必要な実施範囲を決定します。

1on1の実施頻度

1on1をどの程度の頻度で実施するかです。前に例としてご紹介したヤフー・ジャパンでは、週1回30分間の1on1を実施しています。

頻度が高い方が上司と部下の相互理解は深まり、細かなレベルでタイムリーに上司が部下をサポートすることが可能です。しかし頻度を高めれば、1on1に使う時間の量は多くなり、特に多くの部下を持つ上司の負担は大きくなります。自社の1on1は、毎週実施するのか、隔週にするのか、それとも月1回程度に留めるのかを、実施のために費やされる時間や、現場の負荷も考慮して決めます。

上司への教育方針

すでに説明しましたが、1on1でイニシアチブを取るのは部下です。上司主導の業績面談に慣れた日本企業に1on1を導入する場合、この点についての認識を上司に徹底する必要があります。さらに上司には、部下がイニシアチブを取る中でも、必要な情報を把握し、適格なアドバイスを与えるスキルが求められます。

こうした点を勘案すれば、1on1を導入する際には上司の側への教育を実施しておかないと、1on1から十分な成果を得ることはできません。例えばヤフー・ジャパンの場合、上司が部下の話に耳を傾け共感を示す「傾聴」や、上司が部下の課題指摘やアドバイスを部下が納得できる形で伝える「フィードバック」についての研修を上司に提供しています。1on1は部下が主役のミーティングではありますが、上司の側のスキル向上策も成功のポイントです。

1on1に臨む上司の心構え

1on1は上司と部下の1対1の場です。それだけに1on1を有意義なものとするためには、上司にも部下にも相応の心構えが必要です。1on1は単に従来の業績面談を頻度高く行うだけと捉えているような姿勢では、1on1を有効に活用することはできません。

心構え①:スケジュールは予め入れておく

1on1は定期的に頻度高く行うことが大前提です。しかし日常の業務に追われる中では、間近になってから日程を調整しようとしても都合が合わなくなるリスクがあります。従って、1on1のスケジュールは、予めある程度先の予定まで決めておくことが望ましいと言えます。もちろん、業務の状況によりどうしても予定を変更する必要がある場合は、変更して構いません。事前にスケジュールを決めておくことには、予定の調整しやすさ加えて、部下に対して上司が1on1を重視していることを示すことができるというメリットもあります。

心構え②:事前にテーマを考えておく

1on1の主役は部下です。話すテーマを決めるイニシアチブも部下にあります。とはいえ上司が、部下に何を話すかについて全くイメージを持たずに臨むことは好ましくありません。

理想的な形は1on1が始まるまでに、上司と部下が事前のやり取りをしてテーマについて合意しておくことです。ただし、忙しい業務の中では、こうした事前調整が十分にできないこともあります。最低でも、上司と部下がそれぞれ話したいテーマのリストを考えてきて、1on1の最初の数分ですり合わせをできるようにしておきます。ただし、優先するのはあくまでも部下が話し合いたいテーマです。

心構え③:聞くことを意識する

1on1で上司は、主役である部下の話をまず聞くことを優先しなければなりません。上司と部下という関係上、どうしても上司は部下を「指導」してしまいがちです。しかし1on1のポイントのひとつは、部下が現状や悩みを上司に吐き出して、上司が自分のことを理解してくれているという信頼感を醸成することです。ですから、上司はまず聞くということに集中して、部下の意見の尊重と、部下への共感を示すことが必要になります。

アドバイスを行う場合も、まずは部下の話を聞いた上で、その内容を踏まえたアドバイスを行うようにします。事前に「これを言っておこう」と準備した上司の言いたいことを、部下に押し付ける形にならないよう注意が必要です。

心構え④:ポジティブな雰囲気を意識する

上司と部下が1対1という状況は、部下にはプレッシャーになりがちです。また、部下は自分が抱える問題や悩みを説明していると、知らず知らずのうちにネガティブな気分になってしまうことがあります。まして、上司が1on1を部下へのダメだしや注意を行う場と勘違いしたのでは、かえって部下にプレッシャーをかけます。

こうした状況では上司が良いアドバイスをしても、部下の側は素直に受け入れて消化することができません。ですから、上司はできるだけミーティングをポジティブな雰囲気で進めるように心がけなくてはなりません。例えば1on1を、最近部下が達成した目標や、上司が気付いた部下の良い行動の話から始めるといった工夫をしてみるのも有効です。その上で部下の課題に対しては、「どうすればできるか」「こうしたらできるのではないか」と言った、できることを前提とした前向きな姿勢で話を進めます。

心構え⑤:時間は延長せずきっちり終わる

1on1は頻度高く行いますから、一回一回の面談に長い時間をかけていると、上司も部下も業務時間を圧迫してしまいます。そうしたことが重なると、部下は1on1を「面倒なもの」「できれば避けたいもの」と捉えてしまうリスクがあります。

面談の終了予定時間が来たら、原則として延長せずその場は一旦終了します。もし必要であれば、1on1で話しきれなかったテーマについて、個別コーチングセッションを別途セッティングします。

1on1に臨む部下の心構え

繰り返しになりますが、1on1の主役は部下です。部下が1on1に前向きな姿勢で臨むことが、1on1が効果をあげるためには必須です。以下では部下の心構えについて説明します。

心構え①:事前にテーマを考えておく

上司の心構えでも触れたように、1on1で話したいテーマを考えておくようにします。事前に上司とテーマをすり合わせする時間が無ければ、1on1の最初の数分ですり合わせをします。

心構え②:自分がミーティングをリードするつもりで進める

部下が1on1に受け身の姿勢で臨み、上司の話を鵜呑みにするだけでは、1on1の目的である上司と部下の相互理解に基づく部下の成長加速は図れません。部下は1on1の主役は自分だと認識した上で、上司に知って欲しいこと、困っていることや、サポートして欲しいことを、積極的に伝えることが必要です。

心構え③:中長期の自分の成長を考える

部下の中には、上司と面談して自分の抱える問題を説明しているうちに、単なる愚痴になってしまう人がいます。また、目先の業績目標やノルマの達成ばかりに目が行き、自分が将来どうなりたいのかという視点を失ってしまう人もいます。

1on1は部下の成長サポートに主眼を置いたミーティングです。日々の仕事での成功はもちろん重要ですが、せっかくの機会なので中長期的な自分のなりたい姿から「逆算」し、今、何をすることが必要なのかという議論が必要です。

まとめ~人財の差が競争力の差となる時代に備えて

注目が高まっている1on1についてご説明してきました。今後の日本は、少子化・生産年齢人口の減少により労働力の減少が予想されます。また、AIなどの技術革新で職場での人の役割が変わり、人がやることの差がこれまで以上に企業競争力の格差につながる可能性もあります。

こうした中、企業が自社の「人財」に投資をすることの重要性は高まるばかりです。1on1もそうした流れの中で、導入する企業が増加していくと予想されます。

1on1の実施は上司・部下の時間を消費するので、短期的には広い意味で企業の「コスト」を押し上げます。しかしその「投資」を今するかどうかが、数年後の企業の競争力の差になって跳ね返ってくるのです。経営者は中長期的な投資とリターンという観点から、1on1の導入を検討する必要があるでしょう。

参考URL

https://diamond.jp/articles/-/144403

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