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新規事業
2019年11月26日

事業提携とは?経営課題を解決する有用な選択肢

事業提携とは?経営課題を解決する有用な選択肢

事業提携は、「他社の技術やノウハウを活用し、自社のビジネスを成長させる」ことを目的として行われます。

事業環境変化の速度が速い現代社会においては、事業提携を行いながら自社の経営のスピードを速めることが合理的な事業戦略のひとつです。この記事では事業提携の目的やメリット、事業提携を行う際に気を付けるべきことなどについてご紹介します。

事業提携とは

事業提携の概念、M&Aとの違い、事業提携の種類ごとの概要について解説します。

事業提携の概念

事業提携とは、複数の企業が、特定の分野に限定をして事業の遂行に関する協力関係を持つことです。

事業提携を行う主要な目的は、他社の技術やノウハウを活用しながら自社のビジネスを成長させることにあります。消費者のニーズや技術革新などの事業環境変化のスピードが速い現代社会において、自社単独での活動や通常の取引関係の枠内だけでの事業遂行では経営に限界が生じてしまう場合があります。

そのため、事業提携は、企業経営の安定化を図るうえで効果的な選択肢だといえます。

なお、事業提携と似た言葉で「業務提携」というものがあります。

一般的に、特定分野における事業の全般に関して複数の企業が協力し合うことが事業提携で、特定の事業における特定の業務に関して協力関係を結ぶことが業務提携だと解釈されています。

事業提携とM&Aの違い

複数の企業が合併や吸収を伴った形で同一事業の遂行に関して協力し合う対応としてM&Aがありますが、事業提携とM&Aには、次の違いが存在します。

事業提携の場合は、相手方の方針にしばられず、契約のルールに則っていつでも協力関係を解消できます。しかしM&Aの場合は、合併・吸収された側の企業は相手方の方針に基づいた事業活動を続ける必要があります。

つまり、事業提携は、M&Aとは異なり相互の経営の独立性が保てます。

ただし、事業提携の場合は、自社が経営危機に陥った場合に相手方から支援をしてもらえる確証はなく、協力し合う関係がいつまで続くかということへの保証もありません。

一方M&Aの場合は、相手方からの支援を得ることができ、協力し合う関係も合併や吸収を行った側の企業が存続する限り継続されます。

つまり、事業提携は、M&Aとは異なり企業同士の関係が不安定な関係だともいえます。

事業提携の種類

事業提携には、生産提携、販売提携、技術提携、資本提携があります。

生産提携

生産提携とは、生産設備がない、もしくは需要が好調な製品に対して生産が追い付かない企業などが、自社製品の生産対応を行える他の企業に生産や製造工程の一部を委託することです。

販売提携

販売提携とは、技術力や商品力はあるものの販売面や営業面でのノウハウがない、もしくは弱い企業や、新商品に関する販売ルートを持たない企業などが、すでに販売ノウハウや販売ルートを持っている他の企業に対して販売を委託することです。

技術提携

技術提携には、共同開発によるものと技術供与によるものがあります。

共同開発というのは、複数の企業が、互いの技術や人材などを提供し合ったうえで、特定分野の技術を協力して開発していくことです。

なお、類似した用語である技術供与とは、特定分野の技術を有する企業が有さない他の企業に技術を供与したうえで、供与した技術を活用した生産活動に対する協力を行うことを言います。

資本提携

資本提携とは、提携を行う企業同士が、より強固な関係を築く目的で、相互が資本面での協力関係を持つことです。

資本提携には、いずれかの企業が相手方に対して資本を拠出する形と、相互に株式を保有し合う形があります。

なお、株式の取得方法には、個別に保有する株式を売買し合う株式譲渡での取得と、特定の第三者に対して新株を引き受ける権利を割り当てる形で増資を行う第三者割当増資を利用した取得とがあります。

この提携方法は、資本の移動を伴う提携であるため、広義のM&Aの一部であると解釈されることもあります。

事業提携のメリットとデメリット

事業提携の種類ごとに、メリットとデメリットの内容を解説します。

生産提携のメリットとデメリット

生産提携を実施することで、次のようなメリットやデメリットの発生が想定されます。

生産提携のメリット

自社製品に対する需要が好調で、自社の生産設備や人員では生産能力が追い付かない場合に、生産能力を持つ他の企業に生産を委託して、販売機会の損失発生を防ぐことができます。

生産の委託を受けた側も、自社設備での生産量が増え、設備の稼働率を向上させられます。

生産提携のデメリット

他の企業に生産を委託したことで、製品の品質が維持できなくなり、自社製品に対するブランドが破損してしまうリスクが存在します。品質を維持するために、詳細な製造仕様書を作成して、生産委託先に遵守するように指示して、守られているかどうかの確認管理を厳しく行う必要があります。

さらに、他の企業に生産を委託することで、生産に関するノウハウが社外に流出してしまうリスクも存在します。ノウハウの社外流出を防止するために、機密保持契約を生産の委託先企業との間で交わす必要があります。

販売提携のメリットとデメリット

販売提携を実施することで、次のようなメリットやデメリットの発生が想定されます。

販売提携のメリット

新たな商品を開発した場合や新規事業への進出を行った場合などに、販売能力を持つ他の企業に販売を委託して、市場への参入スピードを速めることができます。販売提携というと販売代理店制度が代表的です。

販売の委託を受けた側も、自社で取り扱える商材が増え、それにより顧客に対する提案力を上げることができ、新規顧客開拓の機会も拡大します。

販売提携のデメリット

ターゲットにしたい顧客の選定や市場におけるシェアの形成に対する考え方など、自社のマーケティング方針と相いれない販売が行われてしまうリスクが存在します。自社のマーケティング方針との整合性を確保するために、販売の方針を明確化した契約を販売の委託先企業との間で交わす必要があります。

さらに、販売後のアフターフォロー対応が不適切だと、自社の企業イメージの低下につながるリスクも存在します。企業イメージの低下を防止するために、クレーム処理対応の仕組みやメンテナンスサービスの体制を確立したうえで販売の委託を行う必要があります。

技術提携のメリットとデメリット

技術提携を実施することで、次のようなメリットやデメリットの発生が想定されます。

技術提携のメリット

共同で技術開発を行う場合、次のようなメリットが想定されます。

  • 複数の専門技術を融合化させることで、高度な技術の開発が実現できる
  • 技術開発のスピードが向上し、業界内での技術開発競争に打ち勝つことができる
  • 多額な費用の負担などの技術開発リスクを分散させることができる

いずれかの企業による技術供与が行われる場合、技術を供与された側は、費用と時間を費やして技術を開発しなければならないリスクを回避することができます。技術を供与する側も、保有する技術が生み出す収益が高まることで技術開発コストの回収がスムーズに進むというメリットが考えられます。

技術提携のデメリット

共同技術開発を行う場合、提携先の企業に利益を独占されてしまうリスクが存在します。いずれか一方の企業による利益の独占を防止するために、共同で技術開発を行った後の生産計画などに関して事前に双方での取り決めを行い、契約として取り交わす必要があります。

いずれかの企業による技術供与が行われる場合に関しては、供与した技術が社外に流出してしまうリスクが存在します。技術の社外流出を防止するために、機密保持契約を技術の提供先企業との間で交わす必要があります。

事業提携の進め方

事業提携は、次のような手順で実施されることが一般的です。

提携目的の明確化

事業提携交渉を行うというのは、自社のビジネスを成長させるために他社に対して協力関係を結ぶことを持ちかけることです。そのときに、論点を整理しないまま交渉を始めてしまうと、当初の思惑とはかけ離れた方向に話が進んでいってしまう可能性があります。

それを防ぐためには、交渉の場に就く前に次のことを明確にしておく必要があります。

  • 何のために提携を行うのか
  • 提携目的を達成するために自社でできることは何なのか
  • 提携先に求めることは何なのか
  • 想定される提携先のメリットは何なのか

事業提携はWIN-WINの関係が成立しなければ話が前に進みません。そのため提携先のメリットを想定しておくことは非常に重要です。

提携交渉先の確保

提携先を探し基本合意を得るまでのプロセス、並びに提携先を探す方法について解説します。

提携先を探す

さまざまなルートから事業提携の目的や提携先に求める要件に合致する可能性のある企業情報を入手し、個別に相談を持ちかけるのが一般的な対応です。

企業情報を入手するルートとして、次のような方法があります。

  • 金融機関からの紹介
  • 公的支援機関からの紹介
  • ビジネス展示会への参加
  • 公的支援機関が運営するビジネスマッチングサイトの活用(例:ザ・ビジネスモール)
  • 民間の事業パートナー探し支援サービスの活用(例:eiicon)
基本合意契約の締結

事業提携の打診を行った先との間で、考え方のすり合わせを行います。その結果、事業提携の交渉を前向きに進めていくことに関して合意が得られた場合は、事業提携の基本的事項についての確認を行い、基本合意と守秘義務に関する契約を締結するのが大枠の流れです。

基本合意契約書の中身は、事業提携を行う目的や双方の役割分担、事業提携交渉を独占的に進めていくことに対する双方の意思確認などから構成されます。

事業提携契約の締結

基本合意契約を締結した後は、本格的な交渉を経たうえで、事業提携契約を締結します。

契約前準備

提携を希望する企業間で、事業提携の進め方についての検討やリスクの分析、双方の事業計画内容の確認などを行い、事業提携を行うことへの正式な合意を得るための意思の統一化を図ります。

この過程については、双方の協働作業で行うことが重要です。双方が同じ視点で納得し合うことが、事業提携の確実な実現へとつながるからです。

事業提携の正式契約

正式な契約を締結するための事前準備を終え、事業提携を行うことに関する双方の意思が合致した後は、経営トップ同士が面談し、双方が合意を得た内容の確認を行い、事業提携契約を締結します。双方の経営トップの揺るぎない意思を確認し合うことで、契約締結後の関係の強化が実現されます。

事業提携契約締結後の対応

事業提携による最適な成果を得るためには、事業提携契約を締結した後の対応も重要です。一般的に、事業提携は長期間にわたって試行錯誤を繰り返しながら行われることが多いです。

よって、事業提携の進捗や成果を定期的に双方で確認し合い、その都度進め方の最適化を図り、リスクの事前回避を図るための対応を継続する必要があります。

事業提携契約を締結するときのチェックポイント

事業提携後のトラブル発生リスクを防止するために事業提携契約に盛り込むべき内容を解説します。

ただし実際に契約書を作成する場合は、弁護士に相談することが望ましいです。

提携業務の内容と役割分担、責任の所在

事業提携に関する双方の役割分担や責任の所在が不明確な場合、事業提携後に問題が発生した時に責任のなすりつけ合いが生じて紛争に発展するリスクが生じてしまいます。責任の所在を巡る紛争リスクを未然に防止するために、次の内容を事業提携契約に明記する対応が望ましいです。

  • どの範囲までの事業(業務)に関して提携の効力が及ぶのか
  • どの業務をどの企業が実行するのか
  • それぞれの企業にどのような責任の所在があるのか

成果物や知的財産権などの帰属

事業提携には、事業提携を行うことで得られた技術やノウハウ、情報などの成果物を相手方企業が独占することで一方的に利益を得られてしまうリスクが存在します。相手方企業による成果物の独占リスクを未然に防止するために、事業提携を進めていく過程で発生した成果物や知的財産権などの権利がどの企業に帰属するのかを事業提携契約に明記する対応が望ましいです。

秘密保持

事業提携を行うことで、自社の機密事項が相手方企業に知られてしまう可能性が高くなります。それによる、機密事項の外部への漏えいリスクが存在します。機密事項の外部への漏えいリスクを未然に防止するために、相互に機密保持の義務を担う機密事項の範囲や効力が及ぶ期間などを事業提携契約に明記する対応が望ましいです。

費用の負担と収益の分配

事業提携に伴う費用の分担や事業提携によって得られた収益の分配をめぐって紛争が生じるリスクが存在します。費用の分担や収益の分配を巡る紛争リスクを未然に防止するために、提携業務の遂行に必要な費用の負担ルールや事業提携により生じた収益の分配ルールを事業提携契約に明記する対応が望ましいです。

契約の解除

事業提携後に、何らかの理由で、いずれか一方が提携関係を解消したいと考えたときに、契約の破棄を巡る紛争に発展してしまうことがあります。契約の破棄を巡る紛争リスクを未然に防止するために、契約の解除を行える理由を事業提携契約に明記する対応が望ましいです。

一般的に、次のような内容を契約解除の理由とする運用が多く見られます。

  • 相手方企業の義務違反が発覚した場合
  • 相手方企業が他社に買収されたなど相手方企業の支配権が変更された場合
  • 相手方企業と反社会的勢力との間に関係性があったことが判明した場合

契約期間

正式な契約を締結した後は、契約書に書かれた内容が法的な拘束力を持ちます。そのため、事業提携契約に契約期間を明記したうえで、双方の合意のもとで都度契約期間を更新する運用を行う対応が望ましいです。

契約期間の長さに関しては、長期間契約に拘束されるリスクを防止するために一年程度の期間を設定することが多いです。また契約期間の更新に関しては、双方のいずれかから更新をしないという意思表示が示されない場合には自動更新扱いにする運用が一般的です。

事業提携の事例

事業提携の事例を、事業課題、提携目的、提携内容の観点から解説をします。

セガ エンタテインメントによるコメダ珈琲店との提携

アミューズメントメーカーの株式会社セガ エンタテインメントは、ゲームセンターなどのアミューズメント施設を、全国各地に展開しています。そして、2019年10月に予定されている消費税の増税が本業のアミューズメント事業に対する利用客の落ち込みを招くのではないかという懸念を抱いていました。

そのような中、セガ エンタテインメントがカフェチェーンのコメダ珈琲店を運営する株式会社コメダに対して事業提携を打診し、2018年10月に事業提携を発表しました。提携の目的は、セガ エンタテインメントの既存店舗の集客力を向上させるためのしかけを創ることでした。

コメダとの事業提携を果たしたセガ エンタテインメントは、JR秋葉原駅から徒歩0分圏内という好立地にある自社のゲームセンター内にコメダ珈琲店の人気メニューを販売する店舗スペースのコッペパン屋を設置しました。コメダから直接販売する食材を仕入れ、セガのスタッフが販売する形式で店舗の運営を行いました。

魅力のある商品を販売したことで、ゲームセンターへの集客向上が実現しました。

地方のスーパー三社による提携

ネット通販の勢力拡大やドラッグストアの台頭などによる業態間競争の激化が、地方のスーパーマーケット事業者の経営に大きな影響を与えていました。

そのような中、店舗販売だけの経営がいずれ限界を迎えるのではないかという事業リスクを認識した次の三社が協力関係を結ぶことに合意し、2018年12月に事業提携を発表しました。

  • 北海道や東北地方でスーパーマーケット事業を行う株式会社アークス
  • 中部地方や東海地方でスーパーマーケット事業を行う株式会社バローホールディングス
  • 中国地方や九州でスーパーマーケット事業を行う株式会社リテールパートナーズ

提携の目的は、それぞれの事業体制を強化し、スーパーマーケットとしての生き残りを図ることにありました。

協力関係を結んだ三社は、商品の共同仕入れ、資材の共同購入、物流や店舗、カード事業の共同開発、省人化などの次世代店舗に向けた技術の共同開発に関する協業に取り組みました。

今後は三社以外にも提携の輪を広げていき、それぞれの事業ノウハウを共有することを視野に入れています。そうすることで、イオンやセブン&アイ・ホールディングスなどの流通大手に属さない新たな流通再編を実現させることを目指しています。

参考URL

https://www.b-mall.ne.jp/index.aspx

https://eiicon.net/about/service.html

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1810/17/news140.html

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