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新規事業
2019年5月27日

オープンイノベーションとは?定義と大手2社の事例解説 〜日本の今後を左右するイノベーション手法〜

オープンイノベーションとは?定義と大手2社の事例解説 〜日本の今後を左右するイノベーション手法〜

インダストリー4.0のムーブメントが世界規模で進行するなか、オープンイノベーションのコンセプトが改めて注目を集めています。2003年にUCバークレービジネススクールのヘンリー・チェスブロー教授が提唱したオープンイノベーションは、これまでにインテルやIBMなどに採用され、大きな成果を上げてきました。

そして日本政府も、次世代の産業を生むエコシステムとしてオープンイノベーションに注目しています。オープンイノベーションとは何か、クローズドイノベーションとの違いは何か等々、事例を交えて解説します。

オープンイノベーションの基礎知識

オープンイノベーションとは何か?

オープンイノベーションをご存知でしょうか。オープンイノベーション(Open innovation)は、2003年に現UCバークレービジネススクール教授のヘンリー・チェスブロー氏が提唱したコンセプトです。自らが発案したオープンイノベーションを、チェスブロー氏は「オープンイノベーションとは、目標達成のための知識のインフローとアウトフローを活用して内部のイノベーションを加速し、イノベーションそのものの外部活用によって市場を拡大することである」と定義しています。

ここでいうインフローとは、イノベーションを起こす外部からの知識や情報の社内への流入のことであり、アウトフローとは、イノベーションを起こす社内からの知識や情報の外部への流出のことです。つまり、オープンイノベーションのコンセプトでは、イノベーションを起こすための知識や情報に対する社内外の境界をなくし、自由に流出入させることで実際のイノベーションの創出を目指すのです。

オープンイノベーションとは対極に、知識や情報を社内にとどめ、社内のリソースだけでイノベーションを起こす企業を「クローズドカンパニー」(Closed company)と定義しています。そして、そのようなコンセプトを「クローズドイノベーション」(Closed innovation)とし、オープンイノベーションと対極のコンセプトであるとしています。

クローズドイノベーションとの違い

オープンイノベーションとクローズドイノベーションの違いには、どのようなものがあるでしょうか。

イノベーションは組織の境界を越えて存在すると考える

まずはマインド・考え方の違いです。クローズドイノベーションでは、イノベーションを生み出すのは自分たちであり、自分たちがやらねばならないと考えます。これに対し、オープンイノベーションでは、知識や情報などの良いものはどこにでもあり、社内外にこだわらずに自由に使うべきだと考えます。よって、オープンイノベーションではイノベーションの存在場所は組織の境界を超えて存在すると考える一方、クローズドイノベーションではイノベーションは社内に限定して存在すると考えます。

顧客をイノベーションを生み出す協業者として捉える

クローズドイノベーションでは顧客のスタンスを受動的な受け手であるとする一方、オープンイノベーションでは顧客はイノベーションを生み出す協業者としてとらえます。それとともにクローズドイノベーションでは従業員の機動性は相対的に低い一方で、オープンイノベーションでは従業員の機動性は相対的に高くなります。

外部資本を有効活用する

クローズドイノベーションでは外部資本の関与がそれほど重要ではない一方、オープンイノベーションでは外部資本の関与が重要になるケースがあります。つまり、クローズドイノベーションでは外部資本が社内に投下され、それと共に人材やテクノロジーなどのリソースが注入されるケースがまずない一方、オープンイノベーションではそうしたケースが往々にあります。また、オープンイノベーションのプロジェクトによっては、複数の外部資本が関与するケースもあります。

外部のR&Dを有効活用する

R&Dの役割についてもオープンイノベーションでは外部のR&Dと内部のR&Dが同じ重要度で機能するという特徴があります。オープンイノベーションでは、R&Dについても外部と内部の境界がなく、R&Dの活動そのものや活動によって生み出された成果などが自由に行き来します。クローズドイノベーションの場合、内部のR&Dの方が外部のR&Dよりも重要で、リソースも内部R&Dに偏るケースが多いです。

市場への投入タイミングよりもビジネスモデルの磨きこみを優先する

さらに、クローズドイノベーションではビジネスモデルのアイデアを最初に市場に投入することが重要であるとする一方、オープンイノベーションでは市場でのポジションよりもより良いビジネスモデルをつくることが重要であると考えます。

知的財産の保持に固執しない

知的財産についても、クローズドイノベーションではイノベーションに関する知的財産の帰属は社内に限定する一方で、オープンイノベーションでは社内に限定せず、社外のサードパーティーが所有することもあるとしています。

オープンイノベーションとクローズイノベーションの比較

オープンイノベーションとOSSは同じ?

ところで、オープンイノベーションとオープンソースソフトウェア(OSS)とは同じなのでしょうか?オープンイノベーションとオープンソースソフトウェアとの違いについてチェスブロー氏は、両者は知識や情報を内外で自由にやり取りし、共有する点は共通しているとしています。一方で、オープンソースソフトウェアは多くの場合、ビジネスモデルが欠如していると指摘しています。オープンイノベーションでは通常、ビジネスモデルが産み出され、実際に市場へ投入されます。これが両者における大きな違いです。

オープンイノベーションの事例:IBMのケース

では、オープンイノベーションの事例としてIBMのケースを見てみましょう。これまでのIBMは典型的なクローズドカンパニーで、新製品開発のR&Dはすべて社内でのみ行っていました。ところが、オープンソースソフトウェアのLinuxや、サンマイクロシステムズが開発したJavaなどの外部で開発された新技術を取り込み、新たにユーザーの要請に応じて各種のテクノロジーをフルスタックで提供するグローバルサービスを立上げました。

IBMはさらに、社内に埋もれていた数々のアイデアを社外へ公開し、ベンチャー企業などにライセンス利用させるなどのニュービジネスも生み出しました。IBMは、会社全体をオープンにすることで社内と社外のそれぞれで新たなニュービジネスを生み出しています。

IBMのオープンイノベーションのモデル

オープンイノベーションの事例:P&Gのケース

オープンイノベーションを導入しているのはIBMなどのハイテク企業にとどまりません。日用消費財のグローバルメーカーのP&Gもオープンイノベーションを積極的に導入しています。P&Gの「プリングルズ」は世界中で売れ続けている人気ブランドですが、2000年にかけて売り上げが低迷していました。社内のマーケティングチームが打開策を検討した結果、ポテトチップ一枚一枚にキャラクターなどを描き、消費を刺激するというアイデアが出されました。

社内のリソースでは実現が困難であると判断したチームは外部のイノベーションを探索し、イタリアの大学教授が開発した食品用インクジェットプリンターを発見しました。それを活用し、わずか半年後にキャラクターが描かれたプリングルズの販売が開始され、二桁の売り上げ増を記録する大ヒットとなりました。オープンイノベーション導入以前のP&Gでは考えられなかった事例です。

日本の文部科学省も注目するオープンイノベーション

日本の文部科学省もオープンイノベーションに注目しています。文部科学省は平成29年版科学技術白書の中で、「イノベーションを巡るグローバルな競争が激化するなか、従来のクローズドイノベーションに代わり、組織外の知識や技術を積極的に取り込む『オープンイノベーション』が重要視され始めている」とし、我が国の産業界や教育研究機関が積極的にオープンイノベーションを導入することを提言しています。特にグローバルな競争が激化し、併せて製品ライフサイクルが軒並み短期化するなか、日本企業がオープンイノベーションを導入することなしに世界的な競争力を維持することは困難であると指摘しています。

まとめ:オープンイノベーションと今後の日本経済

文部科学省が指摘するように、オープンイノベーションは今後の日本企業が積極的に導入すべきコンセプトです。特に、人材などのリソースの機動性が高まり、ボーダーレスで自由に移動する人材流動化時代においては、オープンイノベーションの導入が多くの企業に求められるようになるでしょう。

では、社内にオープンイノベーションを導入するために最も重要なことは何でしょうか。それは、オープンイノベーションを導入するという決意を全社で共有し、実際に社外のネットワークを構築するなどの具体的なアクションをとり続けることです。上述のP&Gは、2000年頃から社外の技術を取り込むための担当役員や専門社員を配置し、50%のイノベーションを社外から取り込むという具体的な目標を掲げて行動しました。P&Gでは、単に製品開発のイノベーションを社外から取り込むだけでなく、パッケージデザイン、マーケティング、市場調査などの領域でもオープンイノベーションを実行しています。

オープンイノベーションを成功させるためには、P&Gのように全社を挙げてオープンイノベーションを導入するという決意が何よりも重要です。しかし、実行においては組織間の調整や組織外との連携など、独特なノウハウが求められます。必要に応じて専門家の意見を得るなどして、上手に推進していきましょう。

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