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新規事業
2019年1月30日

新時代の新規事業の立ち上げ方〜新規事業開発プロセスとオープンイノベーション〜

新規事業の成功と失敗の境目はどこにあるのか?どうすれば成功確率を上げられるのか?経営者や担当者を悩ます永遠の課題とも言えるこのテーマ。なぜ難しいのかと言えば、0から1を生み出す活動を定常的に行っている企業は非常に“レア”で、知見も経験者も乏しい状態にあるからです。そこでこの記事では、新規事業成功に導く重要なエッセンスを体系的にまとめて提示していきます。

 

新規事業の立ち上げにおけるポイント

多くの課題は、経営資源のヒト・モノ・カネ・情報の要素に集約される

新規事業立ち上げにまつわる課題を集めると、ほとんどがヒト・モノ・カネ・情報に集約されます。つまり、この4要素の扱い方がわかると立ち上げ時の問題は最小化されるとも言えます。これら4要素には、それぞれ具体的にどんな課題が出てくるのかを見てみましょう。

ヒト

どんなスキルの人間に任せて良いかわからない、エース人材を既存事業から引き抜けない、任せられる立ち上げ人材がいない。

モノ

今まで築いてきた資産(特許や技術などを含む)を活用したいと思いつつもどのように活用して良いのかわからない。

カネ

どれくらい予算を確保して良いかわからない、あるいは予算がそれほどない。

情報

どんなプロセスで進めるべきか、どんな枠組み(フレームワーク)で取り組むべきか、どんな企画書を是として評価すべきか、わからない。

 

経営視点で新規事業に最も重要なのは、立ち上げプロセスの決定

この4要素の内、悩みが多く出てくるのは【情報】と言われています。単純に言い換えると、「進め方のノウハウが無い」ということ。プロセスの構築や意思決定をするとき、ノウハウがあれば経営者と担当者の間に共通の認識ができやすいため、円滑に進めることができます。しかしこの土台が定まらないまま手探りで進行すると、雑多な意見がぶつかり合ってアイデアがまとまらず、何度も企画を作り直すことになる可能性が高くなります。その結果、新規事業が上手く立ち上がらないという事態に陥ってしまう会社が多いのです。

新規事業の立ち上げプロセス

失敗を許容し、最小限のコストで進めるリーンスタートアップ

進め方のノウハウとは何なのか?ここで「リーンスタートアップ」というものを参考に説明していきます。

リーンスタートアップの名称は、「無駄がない」という意味の「リーン(lean)」と、「起業」を意味する「スタートアップ(startup)」の組み合わせからできています。そしてこのリーンスタートアップとは、新事業を最小限のコストで小さく始め、これに対する市場の反応を分析して、新事業が成功するかどうかや、改良の余地があるのかを早期に判断し、何度も軌道修正を繰り返す手法を意味します。時間をかけて新規事業を作ったものの、市場ニーズに合わずコストや時間が無駄になってしまった…という状況を避ける目的もあり、失敗を許容して何度もチャレンジできる環境を整え、小さな失敗を何度も繰り返すことで、結果的にコストや時間を抑えることができるのです。

このリーンスタートアップは2010年頃から注目を浴び始めた考え方で、ベンチャー企業の発祥の地であるアメリカのシリコンバレーでも、企業の方法論の一つとして多く取り入れられています。このリーンスタートアップの進め方を参考にしつつ、0から1を作る創出フェーズ、立ち上げ実行フェーズ、1から10を作るスケールフェーズに分けてプロセスを説明致します。

参考:日経ビジネス:知らないではすまされない最新経営手法

リーンスタートアップ系プロセスがトレンド~最小限のリスクで何度もトライ

【0→1】創出フェーズ(企画)

創出フェーズのポイント:新規事業の目的とスコープを先に定める
  1. プロジェクトマネージャーのアサイン
  2. 自社の活用する資産を決める(SWOT/3C/5F/VRIO分析などの経営戦略フレームワークを利用し自社の強みをリストアップする)
  3. アイデアを集める
  4. 事業計画を作る
  5. 事業性を評価する

けれども、「既存のビジネスは売上が春夏に偏りすぎている。もう少し秋冬に分散できるビジネスを立ち上げたい。食品加工技術など自社の資産を活かせるものが良いだろう。売上規模は天候によって食物単価変動によって生まれる分…そうだな、過去最大の損害が出た5年前の10億円程度見込めるものを目安に考えて欲しい。」というように、目的やスコープが定められていれば、後々のアイデアも出やすくなります。「戦は初戦が大事」といわれますが、新規事業でも同じことです。もし、あなたがマネージャ―としてアサインされた際、社長に「今までにない新しいビジネスを考えてくれ」とオーダーされたらどうしますか?「なんだそれは!」と困惑し、何から手を付けていいか戸惑ってしまいますよね。

目的とスコープが定まることで、新規事業経験を持つ社員がいなくても、強く課題意識を持っている社員や、初期検討事項の知見を持った人材をアサインすることが可能になります。また経営者と担当者が共通の視点・認識を持っていれば、事業計画の評価もスムーズかつ正確に行うことができるため、新規事業の成功確率を高めることができます。

立上げ実行フェーズ

立上げ実行フェーズのポイント:評価システムの構築
  1. 資金を確保する(助成金を受けたり、出資を受けたりすることも含む)
  2. 実際に立ち上げるためにメンバーを集める
  3. 開発・販売などの立ち上げを行う
  4. 一定期間を経て評価する

リーンスタートアップでは、事業が成功するかを早期に見極めるだけでなく、改善と軌道修正を繰り返します。そのためには、計画を立てる前に必ず「仮説」を立て、それを「検証」し、「評価」する仕組みが必要になります。例えば、「こうした指向性を持つ顧客には、こういう製品へのニーズがあるのではないか」という仮説をたて、アイデアを練り、必要最小限の製品をコストをかけずに制作し、少人数の顧客に展開して反応をみます。その結果をもとに改良をしていくことで、早期の方向転換が可能になり、成功の確率を上げることができます。

【1→10】スケール化フェーズ

スケール化フェーズのポイント:外部の専門家を上手に使う 
  1. 本格的に事業をスケールさせる計画を作る
  2. 事業をスケールさせていく

専門的な知識やスキル、経験が必要なことには、積極的に外部の専門家を起用しましょう。

新規事業の立ち上げを加速させるためにも、必要に応じて外部の専門家に意見を乞い、正しく評価する組みを作ることが大切です。

リーンスタートアップを新規事業創出に取り入れている具体的な企業例

サイバーエージェントのCAJJとスタートアップJJJ

サイバーエージェントでは、事業創出と成長を促し、事業の撤退基準を明確化した独自の制度があります。「CAJJプログラム」は収益化している事業を対象としており、「スタートアップJJJ」は、原則設立2年以内のスタートアップ事業が対象です。

CAJJプログラムでは、営業利益によって事業をランク分けしており、スタートアップJJJでは、時価総額によって事業をランク分けしています。この2つのプログラムは、撤退もしくは事業責任者の交代といった撤退の基準を明確にしており、不採算事業へ固執することによって損失の拡大を避けるだけではなく、新規事業へのチャレンジを促しており、それによりグループ全体の収益を上げています。

参考:CyberAgent WayCAJJプログラム・スタートアップJJJ

リクルートのRing(旧NewRing)

リクルートグループの会社従業員を対象にしている新規事業提案制度です。1982年に「RING」としてスタートし、改名を経て2018年「Ring」としてリニューアルしました。過去には、「ゼクシィ」「R25」などの主力事業を生み出しており、リクルートの既存領域だけではなく、あらゆる領域を対象としています。

参考:RECRUIT:Ring

富士フイルムステージゲートプロセス

富士フイルムステージゲートプロセスとは、新規事業・新商品開発のプロセスを6つのステージに分類し、その流れに沿って開発を推進する独自の手法です。各ステージで不確実な要因についての仮説検証を行ってその不確実性を減らし、そして各ステージが終わるごとに会議を行い、目標達成度や課題のアクションプランチェックを行うことで、次のステージに進むか判断します。このように仮説・検証をしっかりと各ステージで行い、今後発生するかもしれない課題を早い段階で把握し、都度戦略を見直すことで、ユーザーニーズに合った競争力のある新事業や新商品の開発を目指しています。

参考:富士フイルム:新規事業創出への取り組み

オープンイノベーションによる3つの新規事業の立ち上げ方

オープンイノベーションとは?

社内で閉じた研究を行うよりも、産学連携による研究開発を行うことで、スピーディーに多様な新技術を獲得し、イノベーションを起こすというのが当初のオープンイノベーションの考え方でした。

しかし現在では、新規事業創出におけるアイデアや人材活用、企業間の提携を含む幅広い外部リソースの活用と内部リソースの外部化をさすようになりました。これは、オープンイノベーションの創出方法が成熟し、インバウンドにとどまらずアウトバウンドや企業間の協働・連携が増加したことが背景にあります。

文部科学省科学技術・学術政策研究所 「第4回全国イノベーション調査統計報告」によると、企業規模が大きい企業ほど社内外で研究開発を積極的に実施しています。また「平成28年度産業技術調査事業報告書」によると、3年前と比べた現在の外部連携数は、3年間で約5%も増加しています。

つまり、オープンイノベーションの必要性を認識し、積極的に取り入れている企業が増えており、オープンイノベーションへの注目は益々増していくと考えられるのです。

参考:文部科学省科学技術・学術政策研究所 「第4回全国イノベーション調査統計報告」

平成28年度産業技術調査事業(我が国企業の研究開発活動の支援の在り方に関する調査)報告書

新規事業立ち上げの既存のプロセスがうまくいかない理由〜事業環境が急速に変化する時代〜

VUCAの今の時代、既存の業界を破壊してしまう新技術の出現はどの業界でもありうることです。ブルーオーシャンが急速にレッドオーシャン化した例は数多くあり、更にグローバル化が進んでいくことが予想される今日では、スピーディーかつ多様性を用いて新規事業の立ち上げを行う必要があります。そのため、クローズドイノベーションによる今までの手法に、以下のような欠点が生じています。

  • 移ろいやすい多様なユーザーの嗜好をカバーできない
  • 異業種や新規のスタートアップが自社のマーケットを破壊しにくるリスクに対応できない
  • 新規事業立ち上げにおいて結果的に足りない自社リソースを補完できない

このように、クローズドイノベーションは変化の激しい環境において限界があり、多様性がありスピーディーな事業展開を行うために、オープンイノベーションが注目を浴びているのです。

新規事業の立ち上げにおける3つのオープンイノベーション手法

それでは具体的にオープンイノベーションによる新規事業創出の手法を確認していきましょう。オープンイノベーションの方法を、自社・競合・ユーザーと捉えた時に以下の3つにわけることができます。中でも、大手企業が外部企業と提携する3つ目の方法が多くみられ、「オープンイノベーション」が企業間協働を指すこともあります。

1 外部の経験・知見を活用するために外部のプロフェッショナル人材の支援を仰ぐ

  • アイデアを外から集める
  • 立ち上げ人材を外から集める
  • 外部の知見を使って事業を評価する
  • 外部プロフェッショナルとともにゼロイチに挑む

2 生活者視点を取り入れるために顧客に協力を仰ぐ

  • SNSコミュニティなどを利用したグループインタビューでアイデアのヒントをもらう
  • ユーザーに実際にプロジェクトに参画してもらう
  • ユーザーレビューをしてもらう

3 ゼロイチができている事業を持ってきて一気にスケールさせる

  • 技術提携・事業提携
  • コーポレートアクセラレータプログラムの実施
  • M&A
  • CVC

オープンイノベーションの各手法が新規事業開発に果たす役割

外部人材活用

当社が提唱しているヒト・組織のオープンイノベーションという手法です。各部門の専門家を集め、専門的な知識やスキル、そしてノウハウの提供を受けることで、以下のようなメリットがあります。

  • 全般的な伴走支援
  • 深いアイデアの創出
  • 質の高いインタビュー調査

専門的な知識やスキルを習得した外部人材への報酬は高額になりますが、必要な時にだけスポットで参画してもらうことで、コストを抑えながらビジネスを飛躍的に加速させることも可能です。

ユーザー参加型

古くから広告会社が「生活者視点」などを標榜し、支援してきた新規事業/新商品開発の手法です。特にここ10数年は、インターネットの一般化を通じてより広まってきている手法のひとつで、「共創」とも呼ばれています。

異なる立場や職業の人が協力し合うことで、モノづくりやイノベーションを誘発するだけではなく、話題を作ったりファンを増やしたりといった効果もあります。

別の観点ではアイデアソンやハッカソンもこちらに含まれるとも言えます。

コーポレートアクセラレータプログラム

コーポレートアクセラレータプログラムとは、ノウハウのある特定の企業や自治体などがスポンサーとなり、ベンチャー企業やスタートアップ企業と共同で事業を創生するプログラムです。

足りないリソースを補完しあうことにより、イノベーションを共創し、事業の成長を加速することができます。

M&A

M&Aとは、企業間の買収・合併のことです。自社に足りないリソースや、立ち上げを計画した事業そのものを調達することができます。資本金の移動を伴うのが一般的で、株式譲渡だけではなく、株式の持ち合いや合弁企業の設立などの形があります。

参考:日本M&Aセンター:M&Aとは

CVC

新規事業を自社で行わずに、企業が社外のベンチャー企業等に投資をすることや、その投資を行う組織のことを指します。企業によっては、CVCのためにファンドを設立することも多くあります。大きなキャピタルゲインを目的としたベンチャーキャピタルとは異なり、協業や本業とのシナジー効果を目指します。

参考:企業tv:CVCとは?用語の解説や国内の代表的なCVCとその投資事例を紹介します

まとめ

オープンイノベーションは、極端に言えば「足りないリソースを必要に応じて調達する」手法です。そのため、事業企画ベースで新規事業を進めるには非常に有効です。特に「外部のプロフェッショナル人材活用」は小回りが効くため、ますます広がっていくと考えられています。

クローズドイノベーションに限界を感じている方や、新規事業立ち上げを志しているけれどノウハウがないと感じている方は、オープンイノベーションに目を向けてみてはいかがでしょうか。

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