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人材育成・人材開発
2019年1月30日

人材育成の課題と平成世代とも向き合える解決手法~1on1やOKR等シリコンバレー流から学ぶ~

人材育成の課題と平成世代とも向き合える解決手法~1on1やOKR等シリコンバレー流から学ぶ~

人材育成の問題はどこにあるのかでしょうか?「今どきの若手社員」問題から紐解き、経営者や人事担当者と現場との認識の違いによる課題を提示します。

そのうえで解決策のカギとなる、人材育成の両輪のOJTやOFF-JTによる人材育成のあり方や、シリコンバレー系の企業に根付く1on1 やOKRについて紹介します。

 

人材育成の課題はどこに存在するのか~現場のOJT~

企業には新入社員、中堅社員、管理職と複数の階層があり、各階層に対してさまざまな研修を行うことで人材育成を図っています。そこで「今どきの若手社員は…」などと若手社員の仕事への取り組み方が問題視されたり、「教えている時間がない」などと教育・研修ができない状況を嘆く声が聞こえたりしますが、果たしてどこに原因があるのでしょうか。このような人材育成の問題について、独立行政法人労働政策研究・研修機構が2016年に実施した「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(企業調査、労働者調査)(http://www.jil.go.jp/press/documents/20170831.pdf)をもとに、考察していきます。

人材育成の現状~多くの企業ではOJTを重視している~

企業に対するアンケート調査で、「とにかく実践させ、 経験させる」や「仕事のやり方を実際に見せている」は50%超えていました。
これらは「日常業務の中で仕事を効果的に覚えてもらうための取り組み」、つまりOJTによる育成方法にあたります。
一方で、「会社の理念や創業者の考え方を理解させる」は30%程度、「業務に関するマニュアルを配布している」は20%程度で、大企業に絞って見ても、それぞれ、55%、35%にとどまっています。

つまり現場での経験値による教育が中心となっており、会社の理念の浸透や業務の体系的な理解につながる教育は重要視されていない企業が多いことがうかがえます。

人材育成上の課題に対する認識~現場も企業もOJTに課題ありと認識している~

一方、労働者に対するアンケート調査で「能力を高めるうえでの課題」を聞いた問いでは、何かしら課題があると回答した人が約65%となっています。

その内「忙しすぎて、教育訓練を受ける時間がない」、「従業員に必要な能力を、会社がわかりやすい形で伝えてくれない」、「仕事に必要な技能・知識について十分な指導をしてくれる上司や先輩が身近にいない」がそれぞれ20%に上っており、時間不足や人材不足といった、OJTの実施に関する課題を感じている人が非常に多いことがわかります。

また、企業に対する同様の調査で「人材育成・能力開発における現在の課題」を聞いた質問では、何かしら課題を感じているとの回答が約80%となっており、労働者以上に多い割合となっています。

そして人材や時間が不足しているとの回答がそれぞれ30%を超えており、しかも企業の規模が大きくなるほどその傾向は強くなっていることから、企業側もOJTの実施に関する課題を認識していることがわかります。

人材育成の課題の所在~OJTを重視しているのにその体制構築が不足~

現場での教育ーOJTを人材育成の中心とする企業が多い一方で、OJTを実施するための土台が作れていないと認識しているのは、現場で働く従業員も、企業経営者・人事も変わらないようです。

特に従業員規模が300人を超える企業において、人材不足を感じている企業が6割近くにも上っていることを見れば、若手社員等に問題があるとは限らず、企業側の人材育成の体制構築に課題があると言わざるを得ないでしょう。

つまり、多くの企業の人材育成の課題は、現場でのOJTにあるのです

人材育成の両輪 OJTとOFF-JT

企業の人材育成の現状について見てきましたが、現場での人材育成を重視する一方で、その体制構築が十分でなく、思うように人材育成ができていないことがわかりました。では、OJT重視の人材育成体制はそもそも効果的なのでしょうか。

次は人材育成を考えるにあたって欠かせない、現場での教育と現場外での教育-つまりOJTとOFF-JTの使い分けについてみていきます。

OJTとOFF-JTとは?

OJTは「On the Job Training」の略で、通常業務の中で行う教育訓練です。上司や先輩が、業務の進め方や業務の遂行に必要な知識を、手本を示しながら教えていきます。

これに対して、OFF-JTは「OFF the Job Training」の略で、通常業務から離れて行われる教育訓練。主に、人事や人材開発部門など社内の教育担当者や、外部の教育機関の講師が研修を実施するものです。

企業によっては、新入社員研修に始まり、中堅者向けや管理職向けといった形で、各階層別にOFF-JTによる研修を受講する機会が設けられています。

OJTとOFF-JTのそれぞれのメリットやデメリットをもとに、人材育成でOJTとOFF-JTのバランスをどうとるべきか考えていきます。

OJTのメリット・デメリット〜即戦力化と低コスト vs 場当たり的指導と現場負荷〜

OJTは、業務の遂行に必要なスキルを、実践を通じて迅速に身につけられ、即戦力となる人材の育成を行いやすいことがメリットです。

個人の経験や能力、習熟度に合わせて指導を行うことができます。また、上司や先輩が教育にあたるため、育成に関わるコストを抑えられることもメリットに挙げられます。

一方で、OJTは体系的な知識が身につきにくいことや、指導の担当者によって教育の質に差が生じやすいことがデメリットです。

担当者がまとまった時間を確保できないことや計画性のない場当たり的な指導になりやすい点も懸念されます。

また、指導を担う側から見ると、担当業務を持ちながら教育にあたることによる負担が小さくありません。

OFF-JTのメリット・デメリット〜体系的な知識と均一指導 vs 非現場ノウハウと高コスト〜

OFF-JTは、職場から離れて実施するため、学習に集中できる環境のもと、体系的な知識を身につけやすく、通常業務の範囲を超えた専門性の高い内容まで学べることがメリットです。一度に多くの従業員の研修を行うことが可能であり、教育の質が均一です。

ただし、OFF-JTは、研修の内容によっては実務との隔たりが大きく、業務に直接活かせないことがデメリットに挙げられます。

また、外部の教育機関を利用するとコストが掛かり、利用する教育機関の選定をはじめ、日程や内容の調整の手間をとられます。

OJTとOFF-JTのバランス〜OJTを中心にOFF-JTで周辺を埋める〜

高度経済成長期の頃の日本では、人材育成はOJTによることがほとんどで、OFF-JTはここ数十年で言われるようになったものです。

OFF-JTで基礎から専門的な理論まで体系的に学んでインプットした知識を、OJTでアウトプットして業務に反映して身につけるのが理想的とされることもあります。

しかし、OFF-JTは実際の業務とは離れた内容も学ぶことが多く、効率性の良い手法とは一概には言えません。

OFF-JTの効果的な活用例としては、人事戦略上、将来的に必要とされる知識が不足している従業員に対して、OFF-JTで身につけてもらうといった方法が考えられます。

人材育成においては、OJTを主軸として、この質をいかに高めるかが重要であり、OJTを効果的に行える体制・制度の構築が人材育成の課題解決のカギと言えるのです。

そしてどうしてもOJTで実現できないことに対しての補完としてOFF-JTを活用すると良いでしょう。

効果的なOJTが行われる要素〜人が成長するメカニズムとは?~

人材育成の方法として、OJTとOFF-JTという2つの手法について見てきました。そして人材育成において、OJTの質をいかに高めるかが重要だと述べてきましたが、ではどのようにすれば効果的なOJTを実現できるのでしょうか?

次はヒトが成長するための重要な要素をとらえ、そして各要素をフォーカスした人材育成の代表的な手法をみていきます。

効果的なOJTを実現するための重要な3つの要素

OJTにおける成長要素として挙げられるのは、「上司」と「良いミッション」、「やる気を呼び起こす環境」の3点です。

上司は言うまでもなく、部下の手本となり、成長をサポートする存在。また、ただひたすらに案件をこなせばいいものではありません。

成長のためには案件の数だけでなく、質も重要です。大きな案件は様々な調整を必要とすることが多いため、対人対応力や課題対応力が鍛えられていきます。

少し難易度の高い案件に取り組み、トライアンドエラーを繰り返すことは成長につながっていくものです。

さらに、他の従業員と切磋琢磨できる環境に身を置いていると、向上心を持って仕事に臨めます。

そこで、業務の質を高めて、従業員の成長、ひいては企業の成長につながる1on1 meetingとOKRについて紹介します。

いずれも、アメリカのシリコンバレーの企業で導入され、日本の大手IT企業でも取り入れられているなど、注目されている手法です。

OJT環境を良くする 1on1 meeting

1on1 meetingとは、上司と部下がマンツーマンで定期的に実施するミーティングを言います。

ただし、評価のためのものではなく、主に部下の育成とコミュニケーションの活性化を図ることが目的です。

1on1 meetingが注目されている背景にあるのは、近年は管理職がプレイングマネージャーとなっているケースが多く、取引先や他部署との調整に追われ、日常的に部下とコミュニケーションをとるのが難しくなっていることがあります。

1on1の進め方

まず、1on1 meetingの進め方を見ていきましょう。1on1 meetingは部下のための時間であり、基本的に上司が部下の話を傾聴するというスタンスで進めるものです。

上司が部下の成功体験や失敗体験、悩みに対して、一方的に結論づけるようなアドバイスをするのではなく、次の行動を引き出せるようにサポートしていきます。

1on1の効果

1on1 meetingを通して、部下は業務を振り返ることで、日頃の業務の進め方で良い点や悪い点を内省し、今後、目標達成に向けてやるべきことに対する気づきを得る効果があります。

上司は業務の進捗や部下が置かれている状況を把握し、さらに適性やスキルに応じて適材適所に配置し、業務の効率化を図ることが可能です。

また、1on1 meetingで上司と部下の信頼関係が構築されると、部下が上司に悩みを相談したり、業務や職場環境に対する不満や問題点を提起しやすくなったりします。

風通しの良い職場となり、従業員の定着率を向上させる効果もあります。

組織全体として導入すると、管理職を通じて経営サイドと現場の意思疎通を図る場ともなるものです。

上司と部下との関係性において、良い上司と悪い上司の差が軽減され、上司の役割を明確化する効果もあります。

1on1実施の際に上司に求められるスキル

1on1 meetingを効果的に進めるためには、上司の側に部下の話を傾聴するコミュニケーションスキルやコーチング、ティーチングのスキルなどが必要です。1on1 meetingを導入する前に、研修を実施することを検討しましょう。

経験の質を引き上げるOKRメソッド

OKRとは、「Objective and Key Result」の略で、目標と主要な成果という意味。企業やチーム、個人の目標を連動させて明確化する業績管理方法です。

ObjectiveとKey Result / 目標と主要な結果

OKRを導入する際には、まず、一定の期間で達成を目指す「Objective(目標)」を設定しますが、高い目標を設定するのが特徴です。

OKRで設定する目標は100%達成できる水準のものではなく、「野心的」な目標として、従業員が一丸となって目標達成に取り組むことで、70%程度を達成できるものとします。次に、「Objective」に付随する複数の「Key Results(主要な結果)」を設定しますが、定量的に計測ができる達成可能な数値指標とするのがルールです。

例えば通販会社が「海外売上高が経常利益の半分以上の収益体制にする」というObjective(目標)を設定したら、「海外ユーザーを100万獲得」「海外拠点を3つ増やす」「目玉商品の取扱を20個追加」などのような複数のKey Results(主要な結果)を立てるといったものです。

OKRは組織単位に個人までブレイクダウンし社員全員で共有する

組織全体のOKRを設定した後、組織のOKRを達成するためのチームのOKRを設定し、さらにチームのOKRを達成するための個人のOKRを設定していくという形で、連動させます。そして、経営陣から管理職、一般の社員に至るまで、全員のOKRを共有するのもポイントです。OKRの達成に向けて、定期的にコミュニケーションをとって、状況を確認し合い、設定した期間の終了時に数値化された達成度を公開します。

先程の通販会社の例ですと、広報部門において「海外ユーザー満足度をUP」というObjectiveに対し、「海外向けイベント・セールを3回開催」「企業SNSのフォロワーを10万人以上に増やす」「広告費の3分の2を海外向け広告に回す」などのKey Results(主要な結果)を立てるといったものになります。

OKRとKPIの違い

OKRと似たものにKPIがありますが、KPIは「Key Performance Indicator」の略。重要業績評価指標という意味で、目標の達成に必要なプロセスを確認していくことで、目標達成を目指すものです。

また、OKRは企業の組織全体で運用されるのに対して、KPIは部署や部門ごとに運用するという違いもあります。

OKRの効果

OKRの導入によって、企業としての目標と個人の目標がリンクし、担当する業務の意義を認識できるようになります。

目標と目指すべき結果が明確になり、やるべきことがイメージできると、ヒトは意欲的に動きやすいものです。OKRの導入によって、従業員一人一人の日々の「ミッション(業務経験)」をより質の高いものにしていく効果が期待できます。

また、目標達成に向けて、チーム内や他部署との連携を図るため、コミュニケーションが活性化していくこともメリットです。協力したり、時には競い合ったりするようになれば、「切磋琢磨できる環境」にも繋がっていきます。

まとめ~OJTを主軸とした人材育成のベストプラクティス~

企業においてヒトが成長していく糧となるのは、机上の学問よりも、大半が現場から得るもの。そのため、人材育成はOJTの質を高めて、OJTでは実現できないことをOFF-JTで補うのが理想的です。

ただし、「OJT=業務経験」ではありません。OJTとして、単に業務遂行のやり方の手本を示すだけの手法では不十分です。1on1 meetingやOKRを導入するなど、組織として業務の質を高める環境を整えていくことが、人材育成の課題を解決し、企業を成長させることにつながっていきます。

 

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